本記事では、以下のお菓子に関するベンチャー企業4社について紹介します。
お菓子を作る会社から、お菓子のサブスクを提供する会社まで、国内外問わず活躍している会社を集めました。
- 【株式会社ICHIGO】日本の文化と世界を繋ぐサブスクリプション
- 【株式会社スナックミー】体と心にやさしい「体験型のおやつ」を提供するサブスク
- 【Bokksu株式会社】日本のお菓子を海外へ届ける、NY発のスタートアップ
- 【株式会社BAKE】5年で国内外に100店舗を展開した大人気お菓子のスタートアップ
【株式会社ICHIGO】日本の文化と世界を繋ぐサブスクリプション
今回紹介する株式会社ICHIGOは、世界180ヵ国に日本のお菓子を詰め込んだボックスを毎月届けることを通して、日本の文化を発信している企業です。
また、日本のお菓子だけではなく、雑貨や化粧品の販売もしており、「世界中をJAPANにする」をミッションに急成長しているベンチャー企業です。
今回は、そんなICHIGOの取り組みに注目し、事業内容だけではなく、起業ストーリーなどにについても紹介していきます。
事業内容:海外向けのサブスクからクレーンゲームまで提供中
ICHIGOは、日本の駄菓子やスナック菓子、チョコなど5つの種類を箱に詰め込んだボックス「TOKYO TREAT」や、テーマと商材が変化するサブスクリプションサービスを提供しています。
他にも、海外向けのECサイトやオンラインクレインゲームなどの提供も広く行っています。
サブスクリプションサービス
ICHIGOには、主に以下の4種類のサブスクリプションサービスがあります。
- SAKURACO
日本全国の老舗和菓子メーカーの和菓子や日本茶を定期課金にて全世界向けに販売する会員制サブスクボックスサービスです。地方メーカーに海外販路を提供することで地方活性化への貢献も目指しています。
6か月契約の場合、最安の月額33.50ドルからサブスクを始めることができます。 - TOKTO TREAT
日本のお菓子・ソフトドリンクを定期課金にて全世界向けに販売する会員制サブスクボックスサービスです。主にメジャーブランドの期間限定や日本限定アイテムを取り扱っています。
「ICHIGO」の看板サービスで、料金は月額32.5ドル・約5,000円から。(2024年12月現在)頻度は、3か月・6か月・12か月・毎月から選択することができます。 - Yume Twins
日本のキャラクター雑貨を定期課金にて全世界向けに販売する会員制サブスクボックスサービスです。有名キャラクターとのコラボレーションにてブランドオリジナルアイテム作成の実績が多数あります。
12か月契約の場合、最安の月額32.5ドルからサブスクを始めることが可能です。 - nomakenolife
日本と韓国のコスメやビューティーグッズを全世界向けに販売する会員制サブスクボックスサービスです。
12か月契約の場合、最安の月額31.5ドルから始めることができます。
【TOKYO CATCH】オンラインクレーンゲーム
スマートフォンアプリとウェブで遊べる英語・日本語対応のオンラインクレーンゲームです。 獲得した景品は無料で配送されます。
【JAPAN HAUL】ソーシャルコマース
日本の高クオリティーな商品を全世界から購入できるEコマースサイトです。最新アイテムや限定品を多く取り揃え、配送スピードにもこだわっており、全ての商品が3日以内に発送されるのが特徴です。
沿革:事業拡大を通して日本文化を世界へ発信中
ICHIGOは、近本あゆみ氏によって、2015年にムーブファストという名称で設立されました。
その後、「一期一会」を由来とした現社名の株式会社ICHIGOへと改称されます。
おかしや雑貨のサブスクリプションサービスを通して、2022年には年商40億円を達成しました。
この時点で、世界に届けたボックス数は累計200万個、定期購買者数もメルマガ会員を含め180万人を超えます。
2023年には、2021年3月から開始した老舗メーカーの和菓子とお茶を詰めたオリジナルサブスク「Sakuraco」が日本サブスクリプションビジネス大賞2023でシルバーを受賞しました。
海外に向けた圧倒的な販売実績や 、数々の自治体とのコラボレーション企画
起業ストーリー
株式会社ICHIGOの創立者である、近本あゆみ氏と起業の経緯について紹介していきます。
近本氏は、早稲田大学卒業後にリクルートへ入社し、通販事業に携わっていました。その時期に、通販の面白さにのめり込んでいったそうです。
その時の経験を活かして、当時日本にはまだない「サブスクボックスブーム」に目をつけ、起業しました。サブスクの内容としても、日本のキャラクターグッズや家電、お菓子などが「爆買い」されている様子を見て、日本の商品をより世界に届けられるようなサブスクを作ろうと考えたそうです。
さらに詳しくICHIGOのことを知りたい方は、こちらから記事をご覧ください。
企業情報
会社名 株式会社ICHIGO
代表者 近本あゆみ
本社所在地 東京都港区芝五丁目13番18号いちご三田ビル7階
設立年月日 2015年8月3日
資本金 1000万円(2021年10月1日現在)
従業員数 80人
【スナックミー】体と心にやさしい「体験型のおやつ」を提供するサブスク
スナックミーは「新しいおやつ体験を想像し、おやつの時間と価値を高める」をミッションとして掲げています。 テクノロジーを活用し、お菓子というものではなく、おやつという「体験」を提供することを目指している企業です。
事業内容:体と心にやさしい「体験型のおやつ」
スナックミーは、毎月変わる100種類以上のおやつから、食べきりサイズで8種類のおやつを届けるサブスクサービス「snaq.me」を行っています。
snaq.meのおやつは、体と心にやさしいを基準に開発されたもので、人工甘味料や合成香料、合成保存剤などが使われていません。
これらのおやつは、サブスクサービスだけではなく、オンラインや実店舗でも広く販売されています。これまで、全国240以上の生産者と開発したおやつを20万人以上の人々に届けてきたそうです。
次に、スナックミーの具体的なサービスについて見ていきましょう。
おやつ体験BOX【snaq.me】
snaq.meでは、食べきりサイズの8種類のおやつを2週間か4週間に1回の頻度で届けています。
届くおやつは選べないのですが、おやつ診断やリクエスト、おやつへの評価制度を通して、一人ひとりにぴったりなおやつが届くようになっています。
「苦手なおやつが届いたらどうしよう」と思われる方もいるかもしれませんが、おやつ診断で食の好みや除外したい食材などの情報を入力することができたり、嫌いで食べれないおやつが届いた場合には割引ポイントを受け
沿革:オンライン~オフラインまで事業を拡大中
スナックミーは、2015年に服部慎太郎氏が創業しました。
2016年には、主力サービスであるsnaq.meの提供を開始します。
2020年には約2.6億円の資金調達を行い、2023年には約5.5億円の資金調達を実施しました。これにより、累積資金調達総額は約11.5億円へと到達します。
2024年には、「できたてのおやつ」を提供するsnaq.me standをオープンしました。
起業ストーリー
ここでは、スナックミーの創業者かつ代表である服部慎太郎氏の起業ストーリーについて紹介していきます。 服部氏は、慶応義塾大学・大学院を卒業後、日本総合研究所に入社します。その後、ボストン・コンサルティング・グループへ入社し、パプティック株式会社や株式会社ディー・エヌ・エーでの勤務を経て、スナックミーを創業しました。大学院卒業後から約10年後に、snaq.meのサービスを立ち上げています。
服部氏がスナックミーを創業したきっかけは、「おやつ食べたいのだけど、コンビニとかスーパーに買いに行ってもたべたいものないんだよな~」と思ったことだそうです。
その後、ネット業界出身者と協力し、テクノロジーを活用することで新しい価値を生み出そうとたどりついたのが、snaq.meでした。 実際にsnaq.meではお菓子の評価データやリクエストデータ、普段の間食に関するアンケートなどをフル活用した、満足度の高いサービスとなっています。
さらにスナックミーについて知りたい方は、こちらの記事で資金調達や将来展望について紹介しているので、ご覧ください。
企業情報
会社名 株式会社スナックミー
代表者 服部 慎太郎
本社所在地 東京都中央区日本橋箱崎町44-1 イマス箱崎ビル 8F
設立年月日 2015年9月16日
資本金 1,000万円
従業員数 37人
【Bokksu株式会社】日本のお菓子を海外に届ける、NY発のスタートアップ
今回紹介するBokksu株式会社は、NY発の日本法人です。
日本の中小企業や家族経営のお菓子メーカーを支えることをミッションに、こだわりを持って作られた伝統的なお菓子とそのストーリーを世界中に発信しています。
主力サービスは、日本のお菓子とお茶をボックスに詰め合わせて届けるサブスクリプションです。
今回は、そんなBokksu株式会社の取り組みに注目し、事業内容だけではなく、Bokksuの沿革、資金調達、起業ストーリーなどについても紹介していきます。
事業内容:日本の美味しい食品を世界に発信する
Bokksuのサービスは、日本国外では購入が難しい食品を、海外でも購入することを可能にします。
現在は、ニューヨークと日本それぞれに拠点を持ち、日本菓子のサブスクリプションサービス「Bokksu」と、日本やアジアの食品を扱うECプラットフォーム「Bokksu Grocery」を運営しています。
この章では、これらのサービスについて詳しく紹介していきたいと思います。
Bokksu
Bokksuは、海外に向けて、毎月1回、日本のお菓子とお茶が詰め合わされたボックスを提供するサブスクリプションサービスです。
「日本全国から仕入れた美味しいお菓子に加え、その文化的背景やストーリーを箱いっぱいに詰めて全世界にお届けする」というコンセプトをもとに提供されています。
海外では入手が難しい日本のお菓子を手に入れることができる人気なサービスとなっています。
2023年には世界100ヵ国、累計100万箱を突破するサービスへと成長しました。
Bokksu Grocery
Bokksu Groceryは、日本やアジア地域の美味しい食品を扱うECプラットフォームです。 サブスクリプション同様、海外では入手が難しい食品を購入できる場として、活用されています。
沿革:世界100ヵ国、累計100万箱を突破するサービスへと成長
Bokksuは、創業者かつCEOのDanny Taing(ダニー・タン)氏が、2015年にニューヨークで始めたサービスです。
2016年には、法人化されサブスクサービスの提供を開始します。
2021年には、主力であるサブスクだけではなく、日本及びアジアの食品を中心としたオンライン・グローサリー「Bokksu Grocery」の提供を開始します。
2022年には、約25億円の資金調達に成功し、2023年には世界100ヵ国、累計100万箱を突破するサービスへと成長しています。
起業ストーリー
Bokksuの創業者・CEOのである、Danny Taing(ダニー・タン)氏の起業ストーリーについて紹介していきます。
Danny Taing氏は、アジア系アメリカ人としてニューヨークで育ちます。スタンフォード大学を卒業後、Googleでの勤務を経て来日します。
早稲田大学で日本語を学び、楽天株式会社に2年勤務する間、日本各地を旅して周り、日本食、特に日本のお菓子の美味しさと種類の豊富さに魅了されます。
その時の経験から、日本の美味しいお菓子を世界の人に届けたい、食やメディアを通じて世界の人々をつなぎ、文化をサステナブルなものにしたい、という想いを抱き始め、創業に至りました。
さらにBokksuについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
資金調達やBokksuの将来展望について解説しています。
企業情報
会社名 Bokksu株式会社
代表者 小谷 真一
本社所在地 東京都港区虎ノ門1丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
設立年月日 2018年5月
従業員数 48人
【株式会社BAKE】5年で国内外に100店舗を展開した、大人気お菓子のスタートアップ
今回紹介する株式会社BAKEは、BAKE CHEESE TARTで有名なお菓子のベンチャー企業です。
BAKEは洋菓子の販売だけではなく、お菓子店を紹介するWebメディア「CAKE.TOKYO」の運営なども行っています。
そんなBAKEは創業から5年で国内外に100店舗を展開し、いくつものヒット商品を生み出している今注目のベンチャーです。
今回は、BAKEの取り組みに注目し、事業内容だけではなく、BAKEの沿革、起業ストーリーなどについても紹介していきます。
事業内容:自社ブランドの展開とスイーツメディアでの発信
株式会社BAKEでは、自社ブランドの展開とスイーツメディアの展開を行っています。「BAKE CHEESE TART」が主力商品として知られており、他にもアップルパイやバターサンド、フロランタンなどの洋菓子を提供しています。
ここでは、人気商品の一部と自社スイーツメディアの「CAKE.TOKYO」について紹介していきます。
人気ブランド紹介
BAKEの人気ブランドを3つ紹介していきます。
- BAKE CHEESE TART(ベイク チーズタルト)
ベイク チーズタルトは、BAKEの主力サービスです。
オリジナルブレンドのクリームチーズや、二度焼きしたタルト生地が使用されている、こだわりの一品です。
全国の店舗や、ECでの取り扱いがあり、1ピース250円(税込)、6ピース1,446円(税込)で販売されています。
- クロッカンシュー ザクザク(CROQUANTCHOU ZAKUZAKU)
クロッカンシュー ザクザクは、シュークリームの中身だけではなく、外側のシュー生地をもっとおいしくしたいという発想から生まれたお菓子です。
原材料にこだわっており、牛乳やバターは北海道産のものを使用して製造しています。
また、焼きたての味を届けたい想いから、工房一体型の店舗で全て焼き上げてからの提供がされています。
1個250円(税込)、4個950円(税込)で販売中です。
- RINGO(リンゴ)
RINGOは、焼きたてカスタードアップルパイの専門店です。
クロッカンシュー ザクザクと同様、工房一体型をコンセプトとして、店舗で焼き上げ、いつでも出来たてのアップルパイを提供しています。
自家製のサクサクパイ生地や、後入れでたっぷりはいったカスタードクリーム、食感と香りを楽しめる大きめのリンゴなど、さまざまな工夫がされています。
1個450円(税込)、4個1,716円(税込)で販売中です。
CAKE.TOKYO
「cake.tokyo」は、スイーツ業界を盛り上げるためにBAKEが立ち上げた、スイーツ専門メディアです。「人生で一番美味しいお菓子」をコンセプトに毎月特集として1つの街を取り上げ、編集部が実際に食べ歩いて厳選した10個のスイーツを紹介しています。
お菓子のスタートアップとしてお菓子業界全体を盛り上げる存在となるべく、お菓子屋さんであるBAKEだからこそ伝えられる、様々なお菓子とそのこだわりを紹介しています。
沿革:時代の変化に対応し、国内外問わず事業を拡大中
BAKEは2013年に、長沼真太郎氏によって設立されました。2013年当初、メンバーは3人でしたが、2年後の2015年には120人以上に増え、初の海外進出を果たします。香港や韓国に店舗をオープンし、国外でも売上を伸ばしました。
2017年には、BAKEは投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループに買収され、上場に向けた収益拡大を進められていました。実際に、2017年に発売したプレスバターサンドは発売開始から数年で年間1000万個以上を売り上げる人気ブランドになるなど好調で、年間の売り上げは百数十億円規模にまで成長しています。 しかし、2020年からコロナ過の直撃によってBAKEの売上が激減したことで、上場を断念し、販売戦略を刷新する運びとなりました。2021年には、CI(企業理念や文化、事業内容等)やロゴの一新、顧客接点を増やすことなどを通して、全ブランドを「BAKEが手掛けるお菓子」として見せる戦略を取り始めました。その結果、BAKEのファンを獲得することができ、徐々に売上も回復していきました。
2024年3月からは、サステナブルプロジェクトである「Re:BAKE(リベイク)」を開始します。 リベイクは、フードロスや環境問題への取り組みであり、規格外のお菓子の商品化や、環境に配慮したパッケージの取り扱いを行うことです。お菓子を製造する中で、割れや欠けなどで規格外になってしまうものや、切れ端が発生することがあります。このような、お菓子を無駄にせず、美味しいお菓子として蘇らせたいという想いで行われているプロジェクトです。
起業ストーリー
ここでは、BAKEを創業した長沼真太郎氏の起業への経緯を紹介していきます。 長沼氏は、北海道の洋菓子屋「きのとや」の家に生まれ、「将来もずっとお菓子に関係するしごとをしたい!」という想いを抱いていたそうです。
慶応義塾大学商学部に入学し、卒業後は、商社の中で最も製菓部門のシェアが大きい丸紅に、2010年に新卒入社をしています。丸紅の中でも、第一希望だった食品流通部の菓子食品課に配属されましたが、洋菓子店を上海で開くために1年で退職したそうです。
その後、長沼氏は、上海で起業するために出張や物件探しを重ねていましたが、プロジェクトは頓挫してしまいます。それでも、長沼氏は「必ずお菓子屋さんをやりたい」という想いで、地元の北海道に戻り、父親の会社でゼロからお菓子作りの勉強を始めます。
北海道での最初の仕事は、きのとやの新千歳空港店の売上をあげることで、そこでの販売を通して「焼きたてチーズタルト」が生まれます。熱々の鉄板に並んだタルトをその場で箱に詰めてみたところ、たちまち話題になり、テレビでも取り上げられ、1日1000個も売り上げるまでに成長しました。 そこで「焼きたてチーズタルト」をより専門店化しようと動き出します。
その後、長沼氏はきのとやを辞め、「株式会社BAKE」として独立することとなります。
長沼氏は、連続起業家として、最近では「UTOPIA AGRICULTURE」といった酪農のあり方を変える持続可能な放牧経営事業に取り組んでいます。詳しく知りたい方は、こちらのリンクからご覧ください。
企業情報
会社名 株式会社BAKE
代表者 山田純平
本社所在地 東京都港区白金台3丁目19番1号興和白金台ビル
設立年月日 2017年7月18日
資本金 1億円
従業員数 967名(アルバイトスタッフ 2023年9月末時点)
まとめ
今回は、以下4つのお菓子のベンチャーを紹介してきました。
- 【株式会社ICHIGO】日本の文化と世界を繋ぐサブスクリプション
- 【株式会社スナックミー】体と心にやさしい「体験型のおやつ」を提供するサブスク
- 【Bokksu株式会社】日本のお菓子を海外に届ける、NY発のスタートアップ
- 【株式会社BAKE】5年で国内外に100店舗を展開した大人気お菓子のスタートアップ
New Venture Voiceでは、これらの企業ごとに、資金調達や将来展望などさらに詳しい記事を紹介しているので、上のリンクからぜひご覧ください。