
デジタル時代において、ユーザーに優れた体験(UX)を提供することは企業の競争力の鍵となっています。しかし、自社だけで最適なUI/UXデザインを構築するのは容易ではありません。
こうした課題に応える形で、株式会社ニジボックス(以下、ニジボックス)はリクルート社の社内新規事業提案制度「Ring」から2010年に誕生したUI/UXデザイン会社です。もともとリクルートの新規事業実験組織(Media Technology Lab)から独立分社化して生まれた経緯があり、デザイン思考に基づくUX/UI設計から開発・運用まで一気通貫でサービスを提供する体制を備えています。
現在では親会社リクルートを含む幅広い企業の新規事業立ち上げやサービス成長支援に伴走し、ユーザー中心のものづくりで課題解決を支援しています。本記事ではその事業内容や資金調達について紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。
事業内容:UI/UXを中核とした多角的サービス

ニジボックスは、UI/UXデザインを軸としながらも、開発やデータマネジメント、クリエイティブ制作など多様な領域でサービスを展開しています。ここでは主な事業を以下の4つのカテゴリーに分けて紹介します。
- UI/UXデザイン
- 開発支援(Web・アプリ)
- データマネジメント
- クリエイティブ制作(イラスト・動画)
UI/UXデザイン

UI/UXデザインは、ユーザー視点に立ったサービス体験の設計を通じて、企業の競争力を高める中核事業です。ユーザーリサーチを基にした課題抽出から、UX設計、UIデザイン、プロトタイピング、ユーザビリティテスト、そして実装フェーズまで一貫して対応しています。新規事業の立ち上げフェーズから参画し、サービスコンセプトの設計や継続的な改善提案も行っています。UXに関する専門的な知見と豊富な実績により、多くの企業から信頼を集めることが可能です。
開発支援(Web・アプリ)

開発支援は、UI/UX設計と連携したWeb・アプリ開発にも強みを持ちます。ニジボックスにはフロントエンドからバックエンドまで対応できる開発チームが在籍しており、デザインと実装をスムーズに繋ぐ体制を整えています。ReactやFlutterなどの最新技術を活用により、柔軟かつスピーディーな開発の実現が可能です。単なる受託開発にとどまらず、運用・改善フェーズまで視野に入れた開発パートナーとして機能しています。
データマネジメント

データマネジメントによってサービス改善や経営判断に不可欠な「データの見える化」や分析基盤の構築も手がけています。ログデータや行動データの収集・整備・可視化を通じて、ユーザー行動の定量的な把握が可能です。また意思決定に資するインサイトを提供しており、リクルートで培われた知見を活かしてデータ活用の内製化支援やBIツール導入支援も行っています。
クリエイティブ制作(イラスト・動画)

最後はクリエイティブ制作です。この事業によりゲームやアプリ向けのイラスト、SNSや企業向けの動画制作も展開しています。社内に専属のデザインチームを抱え、短納期・大量発注にも柔軟に対応可能です。またコンセプト設計から制作・編集・納品までを一貫して担うことで、ブランディングやマーケティング活動をビジュアルの力で支援しています。
資金調達:リクルートグループ発、独自成長の歩み
ニジボックスはリクルートホールディングスが100%出資する非上場企業であり、その創業は親会社内の社内ベンチャーとしてスタートしました。2010年11月にリクルートの新規事業研究機関「Media Technology Lab.」から分社化して設立され、当初からリクルートグループのリソースとネットワークを活用しながら事業を展開してきました。リクルートの完全子会社であるため創業以来いわゆる外部からの資金調達は行っておらず、親会社のバックアップの下で着実に事業拡大を図ってきた経緯があります。
実際、資本金1億円で設立された同社は現在まで株式公開も行っておらず、グループ内の安定した基盤を活かして自社の成長に reinvestment する戦略を取っています。創業当初はグループ内のWeb制作受託などから事業を開始し、時代の変化に合わせ事業領域を柔軟にシフトしてきました。例えばスマートフォン普及期にはアプリ開発事業を強化し、近年のDXブームではUXコンサルティングや新規事業支援サービスへと比重を移すなど、自社の強みを活かせる領域で成長フェーズを重ねています。その結果、現在はUI/UXデザインとエンジニアリングを核に据えた総合的なデジタルサービス企業へと進化しています。
市場規模:世界のUXサービス市場規模と成長率
近年、ユーザーエクスペリエンス(UX)サービス市場は急速に拡大しています。Business Research Insightsのレポートでは、世界のユーザーエクスペリエンス(UX)のサービス市場規模は2024年に26億4,400万米ドルであり、2033年までに2033年までに5179億米ドルに触れると予測されています。
そのようなUXサービス市場の成長を促進する主な要因は、以下の3つです。
- デジタル製品とサービスの急増:企業がデジタル化を進める中で、ユーザー中心の設計が求められています。
- モバイルマーケティングの成長:スマートフォンの普及により、モバイル向けのUX最適化が重要視されています。
- オンラインコマースの拡大:eコマースの成長に伴い、ユーザーエクスペリエンスの向上が競争力の鍵となっています。
さらに、地域別では、北米が最大の市場シェアを保持しています。この地域における市場の拡大要因は、オンラインコマースの増加、UX分析のニーズの高まり、モバイルマーケティングの成長です。また、アジア太平洋地域でも、ソーシャルメディアプラットフォームの増加やデジタルプラットフォームの開発、中流階級の購買力の高まりなどにより、UXサービス市場の拡大が期待されています。
これらのデータは、UXサービス市場の急速な成長と、今後のビジネス展開におけるUXの重要性を示しています。企業が競争力を維持・向上させるためには、ユーザー中心の設計とUXの最適化が不可欠となるでしょう。
会社概要
- 会社名:株式会社ニジボックス(NIJIBOX Co., Ltd.)
- 所在地:東京都中央区銀座7丁目3-5 ヒューリック銀座7丁目ビル 4階
- 設立:2010年11月1日
- 代表者:代表取締役社長 山田 英樹
- 資本金:1億円
- 株主:株式会社リクルート(100%出資)
- 公式HP:https://www.nijibox.jp/
まとめ
ニジボックスは、UI/UXを中心にWeb開発、データ活用、ビジュアル制作まで支援する“総合クリエイティブ企業”として成長を遂げてきました。リクルート発の安定基盤を活かしつつ、社外向けの新規事業支援も数多く手がけています。今後は国内UX市場の拡大に伴い、さらに存在感を高めることが期待されます。
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