
総務省によると、1995年から日本の生産年齢人口(15~64歳)は減少し続けており、2050年には5275万人(2021年から29.2%減)を記録すると予測しています。日本全国で「人手不足」問題が深刻化しており、少子高齢化の対策はもちろん、業務を効率化するサービスの開発も欠かせません。
今回紹介する株式会社IVRy(以下、IVRy)は、AIによって電話応答を効率化するSaaSを提供しています。お客さんからの問い合わせに対してAIが自動応答してくれるため、労働力を削減することが可能です。
この記事では、2024年5月にシリーズCラウンドにて資金調達を達成するなど、注目を集めるIVRy(アイブリー)について紹介していきます。
事業内容:AIを活用した電話自動応答サービス「IVRy」の提供

IVRyの事業内容は、AIを活用した電話自動応答サービス「IVRy」の提供です。お客さんからの問い合わせにAIが自動応答するため、現場の業務を止める必要がなくなり、業務効率化や人手不足解消など、企業が抱える多くの課題解決につながります。
IVRyの機能は多岐に渡り、たとえば電話応答の分岐を自由に設定することが可能です。他にもSMS返信や電話転送、アプリ転送、多言語対応など、フロントオフィスの業務を支える機能を幅広く利用できます。また「月額3480円〜で利用できるうえに24時間365日対応可能」という、コストパフォーマンスの高さもIVRyの魅力です。
現在47都道府県の80業界以上で、累計15,000以上のアカウントを発行しており、着電数2,000万件を突破するなど、*T2D3を上回るペースで事業成長を果たしています。
*T2D3:クラウド領域で著名なNeeraj Agrawal氏が提唱した、SaaSの理想的な成長モデル。経常収益をを毎年3倍、3倍、2倍、2倍、2倍のペースで成長させていくのが理想。 |
AIによる電話予約自動化の実証実験を開始

IVRyは2023年11月からリクルートと共同で、AIによる電話予約自動化の実証実験を開始しました。
飲食業界は「人手不足」が深刻化する一方で、原材料の高騰や円安の影響により各種コストが上昇しており、少ない人手でのサービス品質維持が難しくなっています。そこで飲食店の予約や空席状況、顧客情報を一元管理することができる予約台帳アプリ「レストランボード」と共同開発することで、飲食業界の課題に取り組むそう。
今回の取り組みが成功すると、24時間いつでも電話から飲食店を予約できるうえ、予約台帳アプリと連携し、即時予約を確定することが可能です。忙しい時間帯や営業時間外の電話対応業務を削減し、予約の取りこぼしも防げるので、売上増加が見込めるとCEOの奥西氏は語ります。
またAI技術を活用した自然な発話での会話対応も実現できるそう。たとえば、日付や時間、人数などを入力するのではなく、「明日の19時に2人で」と電話するだけで予約が完了します。
飲食店の業務効率化に取り組むIVRyの、今後の機能拡充には目が離せません。
資金調達:シリーズCラウンドにて30億円を獲得

IVRyは2024年5月にシリーズCラウンドにて30億円を獲得し、累計資金調達額49.5億円を記録しています。今回の資金調達は第三者割当増資によるもので、ALL STAR SAAS FUND、フェムトグロース・スリー投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル、BRICKS FUND TOKYO、Boost Capitalが参加しました。
今回調達した資金は次の3つに活用していくそう。
<シリーズCラウンドの目的> ・「音声コンパウンドAIシステム基盤」を実現するための、AI技術を中心としたR&D人材の採用 ・ビジネスや組織体制の強化に向けた人材採用 ・利用事業者の拡大を図るためのマーケ&セールス費用 |
市場規模:コンタクトセンターソリューションは約5000億円規模

2023年度の国内コンタクトセンターソリューション市場は、前年度比4.0%増の4,811億円と堅調に推移しました。この成長の主な要因は、クラウド型コンタクトセンターの導入拡大と、在宅勤務対応のためのセキュリティ強化ソリューションの需要増加です。
特に、生成AIを活用したオペレーター支援や、音声認識・自動要約機能の導入が進んでおり、これらの技術は人手不足の解消や24時間対応体制の実現、CX(カスタマーエクスペリエンス)拠点としての役割強化に寄与しています。
2024年度以降も、クラウド型コンタクトセンターの普及やWebチャネルとコールセンターの統合が進むと予想され、市場は引き続き拡大傾向にあると見込まれています。
企業概要
- 企業名:株式会社IVRy
- 代表者:奥西 亮賀(CEO)
- 設立:2019年3月
- 所在地:東京都港区三田三丁目5-19 住友不動産東京三田ガーデンタワー29F
- 公式HP:https://ivry.jp/company/
まとめ
本記事では、クラウド型電話自動応答(IVR)サービス「IVRy」を運営する、株式会社IVRyについて紹介しました。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
株式会社IVRyのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。