最終更新日 25/05/17
国内スタートアップ注目企業

建設業界のDXにAIエージェントで挑戦、東大発スタートアップ株式会社EdgeLab

AIDX
Share this post
(引用:PR TIMES

日本の建設業界は約60兆円超という自動車産業に次ぐ巨大市場でありながら、デジタル化の遅れが指摘されています。現場の人手不足や生産性の低迷も深刻で、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が求められています。一方で、最先端技術の導入は他業界に比べ進まず、「建設テック」と呼ばれるITソリューションの浸透率も低い状況です。

こうした社会課題に挑むのが、東京大学発のスタートアップである 株式会社EdgeLab(エッジラボ)です。

株式会社EdgeLab(以下、EdgeLab)は生成AIや画像認識技術を駆使し、建設業界に変革をもたらすAIシステム開発に特化しています。「建設業界でAIエージェントが当たり前に活躍する世界を実現する」ことをミッションに掲げ、遅れている建設現場のDXを推進しようとしています。

本記事では、EdgeLabの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。

事業内容①:建設現場の課題を解決するAIエージェントと画像解析技術

(引用:株式会社EdgeLab ホームページ)

EdgeLabは、建設業界の業務に特化したAIエージェント(対話型AI)や画像認識システムの開発を手掛けています。現場監督の業務効率化、安全管理、設計図書のチェックなど、建設現場で発生する様々な課題にAIでアプローチし、作業効率の向上とリスク低減を実現するものです。

例えば、過去の施工データや図面を学習したAIが計画書作成を支援したり、カメラ映像を解析する画像AIが危険箇所を自動検知したりと、人手に頼っていた作業の自動化を進めます。建設業の専門知識と最先端AI技術を融合させることで、熟練者のノウハウを継承しつつ業務効率を飛躍的に高める点が特徴です。

事業内容②:建設×AI×コンサルの三位一体で現場定着を実現

(引用:株式会社EdgeLab ホームページ)

EdgeLabの強みはそのチーム構成とアプローチにあります。

同社には東京大学や外資系コンサル出身のエンジニアが集い、企業の既存システムと融合させる高度なAIシステム設計・開発力を有しています。また、元ゼネコン(大手建設会社)出身者や一級建築士など建設業界のドメイン知見を持つメンバーが在籍し、現場の実情に即したソリューション提案が可能です。さらに、外資系コンサルティング会社出身者による導入・運用支援型のコンサルティングも提供しており、現場への定着まで見据えたフォロー体制を敷いています。こうした「テクノロジー × 建設知見 × コンサル」の三位一体の体制により、顧客企業ごとにカスタマイズしたAIソリューションを現場に根付かせることに成功しているのです。

実際、大手ゼネコンや建設機械メーカーとの実証実験も進行中で、AIエージェント導入による生産性向上やヒューマンエラー削減といった具体的成果が現れ始めています。利用企業にとっては、作業時間の短縮や安全性の向上、人手不足の緩和など多くのメリットが期待できるでしょう。

資金調達:TRUST SMITH & CAPITALから出資、建設DX推進へ加速

(引用:PR TIMES)

2025年5月、EdgeLabはシードラウンドの資金調達を実施しました。シード特化型VCであるTRUST SMITH & CAPITAL社を引受先とした第三者割当増資で、調達額は非公表ながら数千万円規模とみられます。創業から半年程度でのベンチャーキャピタル投資受入れとなり、EdgeLabへの期待の大きさがうかがえます。

本調達により得た資金は、AI開発エンジニアや建設業専門人材の採用強化に充てられるほか、現在提供中の建設業向けAIエージェントの機能拡充・高度化に投入される見込みです。実際、同社は優秀な人材確保のためエンジニアやプロダクトマネージャーの積極採用を進めており、最先端技術を社会インフラに実装する志を持つ人材を募っています。

出資元のTRUST SMITH & CAPITALは2025年設立の新興VCで、EdgeLabへの投資を通じて長期的な成長支援を約束しています。代表パートナーの安藤氏は「建設業界という巨大市場でAIによる革新的ソリューション提供に挑む志高いチーム。技術力と業界理解、現場に根付かせるコンサル力は建設DXの鍵になる」とEdgeLabチームを評価しています。

EdgeLabの八木亮嘉CEOも「ミッション実現へ大きな一歩。優秀な人材採用とプロダクト開発を加速し、建設現場の生産性向上と安全性確保に寄与するAIソリューション提供を推進していく」とコメントし、今回の資金調達を飛躍の契機と位置付けています。

今後の成長戦略として、EdgeLabは2025年内にエンジニアやコンサル人員を倍増し、新サービスの開発にも着手する計画です。また、大手建設企業やゼネコンとのパートナーシップを一層深め、AIシステムの実証実験(PoC)や本格導入案件の拡大を目指します。出資者であるTRUST SMITH & CAPITALのネットワークや経営支援も活用し、国内のみならず海外の建設プロジェクトへのAI適用も視野に入れています。創業者自身が「15年後にアフリカに巨大ビルを建てる」といった大胆なビジョンを掲げるように、EdgeLabは長期的視点で建設業界にイノベーションを起こす覚悟です。今後の資金調達フェーズでは、更なる事業拡大に向けた追加出資の検討や事業提携も進めながら、ミッション実現への道を着実に歩んでいます。

市場規模:国内の建設業界DX市場は2030年度には約1,250億円にまで拡大

(引用:矢野経済研究所「建設現場DX市場(5分野計)予測」

世界の建設AI市場は2025年に約48億6千万ドル規模と推定され、2032年には約226億8千万ドルに達する見通しです。年平均成長率にして約24.6%という急成長が予測されており、建設業へのAI適用が今後一層加速すると期待されています。

国内に目を転じても、建設業界のDX(デジタル変革)市場はまさに拡大期にあります。矢野経済研究所の調査によれば、2024年度の建設現場DX市場(自動化、遠隔操作、遠隔臨場、ドローン活用、建設用3Dプリンターの5分野計)の市場規模は約586億円で、2030年度には約1,250億円にまで拡大する見通しです。

背景には、人手不足の深刻化や生産性向上ニーズの高まりに加え、政府によるDX推進策があります。国土交通省は「i-Construction」などの施策で建設現場へのICT活用を後押しし、従来のアナログ規制の見直し・撤廃も進めています。これにより、遠隔臨場(リモート監督)やAIによる自動化技術の現場実装が加速しつつある状況です。

総じて建設業界は今、DX・AI導入の転換期を迎えており、EdgeLabのようなスタートアップにとっても大きなチャンスが広がる市場と言えます。実際、投資家からも「現場に根付くAIソリューションは今後の建設DXの鍵」と評価されており、EdgeLabはこの有望な市場で国内発イノベーションの牽引役となる可能性を秘めています。

会社概要

  • 会社名:株式会社EdgeLab
  • 所在地:東京都港区六本木3丁目3-22-303
  • 設立:2024年11月
  • 代表者:代表取締役CEO 八木 亮嘉
  • 公式HPhttps://edgelab.co.jp/

まとめ

建設業界におけるDXの遅れという大きな課題に対し、EdgeLabは産学融合の強みを活かしたAIソリューションで挑んでいます。事業内容では建設現場の具体的ニーズに根差したAIエージェント開発とコンサル提供によって、効率化・安全性向上など実利的な価値を創出しています。国内外の建設DXマーケットが拡大する中、EdgeLabがその波に乗り、建設業界の生産性革命をリードする存在となることが期待されます。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社EdgeLabのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

目次に戻る

タイトルとURLをコピーしました