最終更新日 25/05/28
国内スタートアップ

【生成AI導入事例4選】業務効率化を実現する注目スタートアップ

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生成AI(ジェネレーティブAI)は、AIが文章や画像、音声などのコンテンツを自動生成する技術で、ビジネスにおける変革の原動力として大きな注目を集めています。特にChatGPTの公開以降、この技術を活用した生成AIスタートアップの事例が世界中で急増し、経営者や新規事業担当者、投資家から熱い視線を浴びています。

例えば、日本国内の生成AI関連市場規模は2023年時点で約1,188億円ですが、2030年には約1兆7,774億円(約15倍)に達する予測です。また世界市場でも同様に急拡大が見込まれており、2023年約106億ドルだった市場が2030年には約2,100億ドル規模に達する見通しです。

こうした市場拡大の背景には、生成AIが営業(セールス)コンテンツ制作(マーケティング)業務効率化(オペレーション)など幅広い分野で従来の手法を刷新しうる可能性があります。また、顧客対応のチャットボットから創造的なコンテンツ制作、教育や医療・メンタルヘルス領域まで、あらゆる業界で生成AI活用の動きが活発化しています。

本記事では、以下の生成AIを活用して特に注目されている分野のスタートアップ4社を取り上げます。これらはすべてスタートアップ情報メディア「New Venture Voice」で紹介された企業です。

  • LegalOn Technologies(リーガルテック×生成AI)
  • AI model株式会社(バーチャルモデルでコンテンツ革命)
  • 株式会社mugendAI(教育DX×生成AI)
  • つながりAI株式会社(相談支援×生成AI)

各社の概要・事業内容や生成AIの活用例についてわかりやすく紹介し、共通点や今後の展望についても考察します。生成AI時代における最新のスタートアップ動向を知り、自社のDXやイノベーションのヒントとしてぜひご活用ください。

株式会社LegalOn Technologies:リーガルテック×生成AI

(引用:LegalOn Technologies公式HP)

株式会社LegalOn Technologies(以下、LegalOn Technologiesリーガルテクノロジーズ))は、企業法務の領域で生成AIを活用する注目のリーガルテック(法律×テクノロジー)スタートアップです。同社は2017年創業で、法律事務所出身の弁護士が立ち上げた背景を持ち、「法とテクノロジーの力で安心して前進できる社会を創る」というパーパスのもと、法務の専門知識と最先端の生成AI技術などを組み合わせたソフトウェアを開発・提供しています。

具体的なソリューションは契約書レビュー支援の「LegalForce」契約管理システム「LegalForceキャビネ」などです。このようなAIによる契約書チェック・管理サービスを展開し、煩雑な法務業務の効率化と質の向上を実現しています。こうしたサービスは企業の法務担当者の負担軽減に直結し、リスクの見落とし防止にも貢献します。

同社の生成AI活用によるソリューションは市場から高い評価を得ており、国内外で急速に導入が進行中です。2024年8月末時点で既に6,000社以上の企業がLegalOnのサービスを利用しており、日本国内のリーガルテック市場をけん引する存在となっています。さらに米国やイギリスにも進出し、各国の法制度に対応したサービス提供を開始するなどグローバル展開も加速中です。法務という専門性の高い分野に生成AIを取り入れることで、大量の契約書チェックや法令リサーチを高速化し、企業のコンプライアンス強化と業務効率化を両立するLegalOn Technologiesの取り組みは、今後ますます重要性を増すでしょう。さらに詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。

AI model株式会社:バーチャルモデルでコンテンツ革命

(引用:AI model株式会社公式HP)

AI model株式会社(以下、AI model)は、広告・マーケティング領域で生成AIを活用し、「実在しないモデル」を生成して企業プロモーションに新風を吹き込むスタートアップです。同社は独自開発した生成AI技術によって、企業ごとのニーズに応じたバーチャルなモデルやタレント(いわゆるAIモデル)を作り出すサービスを提供しています。これにより、従来は人間のモデルやタレントを起用して行っていた広告写真・動画の制作に革新をもたらし、撮影不要で高品質なビジュアルコンテンツを制作可能にしました。ファッションECサイトの商品画像、企業の販促用ポスター、SNS広告用の動画クリップなど、様々な場面で活用できる柔軟さも特徴です。

AI modelのサービスはすでに大手企業にも採用が進んでおり、その効果が注目されています。例えば、伊藤園、三越伊勢丹、しまむらといった有名企業が専属AIモデルを導入しており、コスト削減やモデル起用に伴うリスク回避だけでなく、顧客体験の向上やブランド表現の新たな可能性といった利点も報告されています。

実際に、ある導入企業ではAIモデル活用後に広告のクリック率が最大418%向上し、売上が最大380%増加したケースもあり、マーケティング効果の高さが数字で示されています。クリエイティブ業界における生成AI活用の好例として、AI model株式会社はコンテンツ制作の効率化と表現力強化を両立するユニークな存在と言えるでしょう。より詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。

株式会社mugendAI:教育DX×生成AI

(引用:株式会社mugendAI 公式HP)

株式会社mugendAI(以下、mugendAI(ムゲンダイ))は、教育現場に生成AIを持ち込み、教師と生徒双方の体験を革新しようとしている東大発のスタートアップです。2024年創業の新しい企業ですが、少子化や学習ニーズ多様化による学校現場の課題(教材準備や個別対応の負担増大など)に着目し、「教育の可能性を無限大に」というビジョンを掲げて生成AIを活用した革新的な教育ソリューションを開発しています。

具体的には、教師向けには「AI教材生成プラットフォーム」を提供し、授業単元や学習目標を入力するだけで補助教材・練習問題・解説スライド等を自動生成できるようにしました。これにより教材準備にかかる時間を大幅短縮し、教師が生徒と向き合う時間を増やせるよう支援しています。一方、生徒向けには「対話型AI学習アシスタント」を開発し、チャット形式で質問に答えたり個別に最適化された学習支援を行ったりすることで、どの生徒にも“もう一人のAI先生”が付くような学習環境を実現しています。

mugendAIのユニークな点は、教育分野に特化した生成AIサービスを通じて、教員の業務効率化生徒一人ひとりに合わせた学習の両立を目指していることです。例えば、AIが生徒の理解度に応じて問題の難易度を調整したり、多様な例題を提示したりすることで、個別最適化学習を支援します。これらの取り組みは日本の教育DXを力強く後押しするものとして期待されており、実際に教育系スタートアップコンテストで最優秀賞を受賞するなど高い評価を得ています。教育という社会的意義の大きい領域で生成AIの可能性を切り拓くmugendAIの挑戦は、今後のEdTech業界においても重要なロールモデルとなるでしょう。気になった方はこちらの個別記事をご覧ください。

つながりAI株式会社:相談支援×生成AI

(引用:つながりAI株式会社

つながりAI株式会社(以下、つながりAI)は、行政や学校など公共領域での相談支援に生成AIを活用し、「孤独・孤立ゼロ」の社会実現を目指すスタートアップです。2024年設立の新興企業ながら、「孤立をなくせ」というミッションを掲げ、誰もが気軽に悩みを相談できる社会インフラの構築を目指しています。

同社は自治体向けに「相談AI」学校向けに「友達AI」と名付けた2種類のサービスを展開しており、いずれも最新の生成AI(大規模言語モデル)技術を活用した対話システムです。特徴的なのは、単なるFAQ型のチャットボットとは異なり、人の悩みに寄り添う“傾聴対話”に特化している点です。AIがユーザーの相談内容に共感しながら対話できるようチューニングされており、まるでカウンセラーや親友に話を聞いてもらっているかのような安心感を提供します。また、深刻な内容の相談の場合はユーザーの許可を得て専門の人間カウンセラーや地域の支援機関と連携する仕組みも備えており、AIの24時間対応力人間の判断を組み合わせて安全性と信頼性を高めている点も大きな特徴です。

つながりAIのサービスは、高齢化や人手不足が進む日本社会において極めて意義深い取り組みと言えます。行政の相談窓口や学校のスクールカウンセラーでは対応しきれない相談事が増える中、生成AIを活用した同社のプラットフォームは誰もが必要なときに必要な相談支援を得られる環境を整えようとしています。実際、姫路市や柏市など一部の自治体では既に「相談AI」の実証実験が行われ、住民から概ね好評な結果が報告されています。国内の自治体の約68%が生成AI活用に前向きとの調査結果もあり、今後こうした公共分野での生成AI導入は加速していくでしょう。つながりAI株式会社は、AIテクノロジーで社会課題を解決するソーシャルテックの新星として、行政×AI、教育×AIの最前線で注目される存在です。興味を持った方はこちらの個別記事をご覧ください。

まとめ:生成AIスタートアップが拓く未来と展望

今回紹介した4社は、生成AIをそれぞれの専門領域に応用し、従来は難しかった課題の解決や新たな価値創出を実現している点で共通しています。法務、コンテンツ制作、教育、福祉といった分野で、現場のニーズを深く理解しながらAIと専門知識を融合させた実践的なソリューションを提供しており、それが競争力の源となっています。

今後、生成AIはさらに高性能化し、活用できる領域も広がっていくことが予想されます。その中で、こうしたスタートアップの存在感はますます強まり、各業界における「ルールチェンジャー」としての役割を果たしていくことになるでしょう。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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