
近年、日本では「副業解禁」の流れが広がり、多くの企業が副業を容認するようになりました。2018年には「副業元年」とも呼ばれ、234万人以上が副業・兼業に取り組むなど、働き方の多様化が進んでいます。副業には、個人にとっての収入・スキル向上の機会、企業にとっての柔軟な人材確保といったメリットがありますが、一方で副業人材の採用ノウハウや労務管理の整備といった課題も浮き彫りになっています。
こうした背景のもと誕生したのが、副業マッチングサービスを展開する株式会社シューマツワーカー(以下、株式会社シューマツワーカー)です。2016年にサービス提供を開始し、2017年7月に正式ローンチした同社は、エンジニア・デザイナー・マーケターなどのハイスキル人材と、採用難に悩む企業をつなぐプラットフォームを構築しました。また、それによって週末や平日夜などの空き時間に働ける副業人材とスタートアップを中心とする企業のニーズをマッチングしてきました。
「働き方改革」や「リモートワーク」の追い風もあり、2025年1月時点で累計取扱案件数は1万件を突破、登録人材は17万人以上と国内最大級に成長しており、「ハタラクを自由化し、人生の可能性を広げる」というミッションのもと、柔軟な働き方の社会実装に取り組んでいます。本記事ではその事業内容やシューマツワーカーの歩みについて詳しく紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
事業内容①:シューマツワーカー(副業マッチングプラットフォーム)

副業の“はじめの一歩”を支援するマッチングサービス
「シューマツワーカー」は、副業・複業を希望する個人と、副業人材を活用したい企業をマッチングする副業紹介サービスです。2017年7月に正式ローンチされ、以来、“週末(シューマツ)に働く”というコンセプトで、週1〜2回の稼働で関わるプロジェクト参画を支援しています。
社会課題:人材不足 × 柔軟な働き方ニーズ
このサービスが解決するのは、慢性的な人材不足に悩むスタートアップ・ベンチャー企業と、スキルを活かしながら柔軟に働きたい個人のミスマッチです。特にIT・マーケティング・デザイン領域においては、フルタイム雇用では難しい専門スキル人材を**「副業」や「スポット参画」**という形で柔軟に活用できる点が評価されています。
差別化ポイント:副業特化とサポート体制
類似の業務委託マッチングサービスと比べて、「シューマツワーカー」には以下のような独自性があります:
- 副業特化の設計:週1日〜OK、平日夜・土日など柔軟な稼働条件の案件が多数
- 専属コンシェルジュによる案件提案:個別面談により希望やスキルに合う案件を提案
- 副業初心者にやさしい設計:面談対策や報酬交渉、稼働後のサポート体制が充実
こうしたサポートにより、「副業を始める第一歩」として選ばれることが多く、ユーザーの中にはここから副業をきっかけに独立・起業した事例もあります。
ターゲットと利用メリット
登録者層は20代後半〜40代のIT・Web系職種が中心で、大多数がエンジニア、デザイナー、マーケター、PMなどです。利用企業もスタートアップやSaaS企業、DXを進める地方企業などが多く、短期かつ即戦力となるプロ人材を求めています。
副業人材にとっては、次のようなメリットがあります:
- 本業と両立できる働き方(空き時間活用)
- スキルアップ・実績作りの場として有効
- 副収入による安定化や将来の選択肢拡大
企業側にとっても、高いスキルを持つ人材を短期間・低コストで活用できる点は大きなメリットです。
実績と評価
2025年1月時点で、累計登録ユーザー数は17万人以上、マッチング案件数は1万件超に達し、日本最大級の副業プラットフォームの一つとして位置付けられています(※フリーランスデイズと合わせた数値)。また、案件の継続率も高く、「副業から本業化」「週1→週3への拡大」「副業人材→業務委託契約」といったスムーズなステップアップ事例も多く報告されています。
事業内容②:フリーランスデイズ(フリーランスのマッチングサービス)

高稼働フリーランスに特化したマッチングサービス
「フリーランスデイズ」は、シューマツワーカーが提供する週3日〜フルタイムで働くフリーランス人材のマッチングサービスです。2018年11月にローンチされ、副業マッチングで得た知見を活かし、より長期・高稼働での参画を希望するプロ人材と企業とを結びつけています。
リモート×柔軟稼働の働き方に対応
同サービスでは、90%以上の案件がリモートワーク可能で、週2日〜5日の稼働に対応可能。地方や海外に在住していても、時間や場所にとらわれずに仕事に参画できます。
このような柔軟な稼働スタイルにより、企業はフルタイム雇用に比べてコストを抑えながら、即戦力人材を「週3日からのコアメンバー」として迎え入れることが可能です。
ターゲットはスキルに優れたIT人材
取り扱う職種は、主に以下のようなIT・クリエイティブ系専門職です:
- エンジニア(Webアプリ・インフラなど)
- デザイナー(UI/UX、グラフィック等)
- マーケター・ディレクター・PM
登録者はRuby on Rails、React、Illustrator、Sketchといったスキルを持つ人材が多く、DX推進に取り組む企業やスタートアップとの親和性が高いことが特徴です。
利用フロー:エージェント型で安心の支援体制
「フリーランスデイズ」はエージェント型のサービスで、ユーザー登録後は以下のような流れでサポートされます:
- 登録・スキル入力
- キャリア面談(専属コンシェルジュ)
- 案件紹介・マッチング
- 契約・稼働サポート
- 稼働中フォローアップ
特に、専属コンシェルジュによる丁寧なヒアリングと案件提案が高評価を得ており、初めてフリーランスに挑戦する人でも安心して利用できます。
フリーランス・企業双方のメリット
フリーランス側のメリット:
- 希望条件に合った高単価リモート案件に出会える
- 柔軟な働き方で生活と仕事のバランスが取れる
- 専門職としてのキャリア形成やスキルアップが可能
企業側のメリット:
- 採用リスク・コストを抑えた即戦力確保
- 必要な期間・稼働量での柔軟な契約が可能
- 高度専門人材を短期間でアサインできる
高い継続率と定着実績
同社によると、フリーランスデイズ経由でマッチングされた人材の多くが、長期の継続契約やリピート依頼に繋がっているとのこと。これは、ヒアリングや条件調整を丁寧に行い、ミスマッチの少ない仕組みを構築していることの成果です。
このように、「フリーランスデイズ」は高スキル×リモート×柔軟な稼働という条件にマッチする人材と企業を結びつけ、新しい働き方の選択肢を広げるサービスとして注目を集めています。
資金調達:成長と提携で進化を遂げる
シューマツワーカーは、2018年5月にシードラウンドで4,000万円を調達(出資元:KLab Venture Partners、CyberAgent Capitalほか)し、本格的に事業拡大を開始しました。2019年にはエン・ジャパンと資本業務提携を結び、顧客基盤と人材サービスの連携を強化しています。
その後、2020年のコロナ禍により副業需要が急増します。これを追い風に同年7月、プレシリーズBで約4億円を調達し、その資金を新規事業や組織体制の拡充に活用しました。併せて、業務管理クラウド「フリーランスフォース」や即日払い支援などサービスも拡充しています。
さらに2023年3月にはクラウドワークスの連結子会社となり、強力な事業・資金支援を獲得しました。同社とのシナジーにより、副業市場のさらなる開拓とプロ人材の活用促進が進められています。シューマツワーカーは創業から着実な資金調達と提携を重ね、現在は業界をリードする体制を整えています。
市場規模:急成長する副業・フリーランス領域

日本のフリーランス人口は2024年時点で約1,303万人、経済規模は20.3兆円に達し、10年前と比べて約39%増加するなど、拡大基調が続いています。2020年のコロナ禍で一時的に急増した後、現在は安定成長に転じていますが、フリーランス新法の施行や副業解禁の広がりにより、今後も市場の裾野は拡大していくと見込まれます。
中でも、シューマツワーカーが注力するIT系フリーランス人材の領域は特に成長が著しく、2024年に約35.3万人、2028年には45万人を超えると予測されています。これに伴い、フリーランスエージェント市場も現在2,562億円から、2028年には4,300億円規模にまで拡大する見通しです(CAGR10%超)。
グローバルに見ても、アメリカでは労働人口の36%がフリーランスとして就業しており、世界市場は2025年までに約5,000億ドル規模に達する見込みです。日本でも企業の人手不足を背景に、業種・地域を問わず、プロ人材の柔軟な活用が急速に進んでいます。
このような市場動向の中、シューマツワーカーは副業マッチングの先駆者として優位な立ち位置を確立しています。17万人超の人材DBと1万件以上の実績を強みに、スタートアップ特化・週数日常駐型という独自性で差別化を図っています。また2023年のクラウドワークスグループ参画により、今後は案件量やマッチング精度のさらなる向上も見込まれ、成長市場の中で存在感を一層高めていくと期待されています。
会社概要
- 会社名: 株式会社シューマツワーカー
- 所在地: 東京都渋谷区円山町28-3 いちご渋谷道玄坂ビル5F
- 設立: 2016年9月12日
- 代表者: 代表取締役 中山 恵太
- 公式HP: 株式会社シューマツワーカー
まとめと今後の展望
株式会社シューマツワーカーは、副業マッチングを軸に柔軟な働き方を支援し、個人と企業の双方に新たな価値を提供してきました。今後はクラウドワークスとの連携を活かし、サービス拡充や企業支援の強化を進める方針です。副業市場が広がる中、同社の動向は「これからの働き方」を考えるうえで大きなヒントになるでしょう。
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