最終更新日 25/06/25
インタビュー

「現場とともに歩む」経営コンサルの新常識──AtZ臼井浩洋氏が語る“伴走支援”の本質

AIコンサル
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経営環境が目まぐるしく変化する今、企業が真に必要としているのは、課題を“指摘する存在”ではなく、現場に寄り添い、実行まで並走してくれる“伴走者”のような支援です。
今回お話を伺ったのは、現場に深く入り込み、クライアントとともに課題解決に向き合うことを信条とする、AtZ Business Partners株式会社(所在地 : 東京都渋谷区、以下「AtZ」)の代表取締役・臼井浩洋氏です。
本インタビューでは、創業に至った背景から、顧客との信頼の築き方、業務における生成AIの活用方法、そして今後求められるコンサルタント像まで、臼井氏の“伴走する仕事観”に迫ります。

「現場に寄り添う」──AtZのコンサルティングスタイルと創業の原点

まずはじめに、臼井さんが展開されている事業について教えてください。

弊社では、経営コンサルティング事業と合わせて、プロジェクトマスターというフリーランス人材と企業をマッチするサービスを実施しています。コンサル業務のクライアントは皆さんが見聞きしたことのあるような大手企業から中小ベンチャーまで幅広く、現場へ入り込む形で、実行フェーズまで伴走するスタイルを重視しています。営業支援組織構築支援業務設計支援などを実施しており、さらには官公庁向けの支援も実施しています。

私自身は代表として、主に経営戦略の立案支援業務改革プロジェクトの推進、それらを下支えするDX推進に関するコンサルティングを行っています。並行して、社内のチームマネジメントや新規顧客の開拓、人材育成にも日々取り組んでいます。

AtZ Business Partners株式会社を立ち上げた背景や、創業の動機を教えてください。

新卒で入社した大手コンサルティングファームでは、さまざまなプロジェクトに従事し、コンサルタントとしての基礎を築くことができました。しかしその一方で、業務を通じて「クライアントの本質的な変革には、もっと現場に深く入り込む支援が必要だ」という想いが強くなりました。小手先の支援やフレームワークではなく、社内外のステークホルダーを巻き込み、調整や準備、ネゴシエーションまで含めて支援することが重要であると感じました。そうした課題意識を背景に「クライアントの現場にもっと寄り添い、真の伴走者として変革を支える存在になりたい」という想いを抱き、独立を決意しました。

また、もうひとつの創業動機として、「自分自身の経験や知見を、次世代に還元できる場をつくりたい」という願いがありました。自分一人がプロフェッショナルとして動くだけでなく、同じ志を持った仲間とチームを組み、企業や社会に対してより広く価値を提供していく──その仕組みを創ることが、私にとって創業の大きなモチベーションになりました。現在でも顧客と共にものごとに取り組むことが大切であるという信念をもとに、業務に取り組んでいます。

企業で働いていた経験が今に活きていると感じますか?またどんな時に感じますか?

はい。特に新卒で入社したコンサルティングファームでの経験は、現在の仕事の大きな土台となっています。中でも、プロジェクトマネジメントの実務経験や、業務プロセスを深く理解する力を養うことができました。Project Management Professionalをはじめとする各種資格もサラリーマン時代に取得しました。クライアントの課題を構造的に捉え、関係者を巻き込みながら物事を前に進めるスキルは、現在のコンサルティング業務においても非常に重宝されています。また、単なる課題解決だけでなく、企業文化の違いや組織内政治のような、いわゆる“見えにくい構造”を読み解く感覚も、サラリーマン時代に現場で培った貴重な財産です。こうした経験があるからこそ、表面的な支援にとどまらない「本質的な伴走支援」が可能になっていると感じています。

コンサル業務の中で、クライアントと接する際に気を付けていることはありますか。

弊社の経営コンサルは、従来のコンサルのように方法論に則って何かを進めていくのではなく、顧客視点に基づいて伴走支援をすることが特徴です。先ほどもあったように(インタビューに伺った当日も、ちょうどAtZの社員の方が急遽クライアント先に駆けつけるという場面がありました)呼ばれればすぐに駆けつけるなど、単なるアドバイザーとしてではなく、膝と膝を突き合わせた関係性の構築に勤しんでいます。弊社の経営コンサルは、従来のコンサルのように方法論に則って何かを進めていくのではなく、顧客視点に基づいて伴走支援をすることが特徴です。

働いていく中で壁にぶつかった時の克服法を教えてください。

起業当初は、信頼も実績もほとんどゼロの状態からのスタートだったので、最初の案件を獲得するまでには多くの困難がありました。特に、自分がかつて所属していた企業の肩書が全く通用しない場面においては、「自分自身にどれだけ価値があるか」を真正面から問われるような感覚に直面しました。そうした状況の中でも、一つひとつの案件に対して誠実に向き合い、クライアントの期待を超えるアウトプットを積み重ねていく。そうすることで、少しずつ信頼が築かれ、やがてその信頼が新たな案件やご縁へと繋がっていくという、前向きな循環が生まれていきました。

もちろん、今でこそ経験の蓄積とともに、クライアントとの信頼関係も築きやすくなりましたが、若手時代には外部のコンサルタントという立場ゆえに、“見えない壁”を感じることもしばしばありました。クライアントの組織内に完全に溶け込むことは簡単ではなく、「内部」「外部」の隔たりがコミュニケーションに影響を及ぼす場面もしばしばありました。

しかし、そうした経験があったからこそ、私は今の「伴走支援」を軸とした経営スタイルにたどり着いたのだと感じています。お客様と同じ資料を見ながら、同じ目線で悩み、考え、議論を重ねていく──そうしたプロセスを経ることで、対立構造ではなく“共創の関係”が生まれ、見えない壁も自然と取り払われ、一緒に成長できていると感じています。

AIと共に働く──変化に適応する力と組織の在り方

業務の中に生成AIは取り入れていますか

ChatGPTが流行しはじめた時に調査目的で初めて利用し、そこから業務にも取り入れるようになりました。現在は、資料のドラフト作成仮説立案の補助、議事録や報告書などの定型的な文書作成に積極的に活用しています。特に、初期段階のアイデア出しや複数の視点からの分析案を出す際に非常に役立ちます。また、社内ではナレッジ共有にも応用しており、過去のプロジェクトログから要点を抽出してくれるなど、情報整理にも有効です。

具体的なツールとしては、基本的にはChatGPTを使用していますが、Grokも併用しています。金融市場に関する最新の情報のアップデートやマーケット関連の情報収集という観点から見るとGrokの方が得意だと思うので、それぞれのツールの特徴を把握し場面によって使い分けています。社内でも積極的に使うように促進していますが、生成AIが出力した結果は一度人の目で検証することを徹底するように指示しています。

これからのコンサルティング──「知の活用」と“共感力”の時代へ

コンサルティング業界は今後、どのように進化していくと予想されていますか?

今後のコンサルティング業界は、「知の独占」から「知の活用と実装支援」へとシフトしていくと考えています。「知識を持っていること」そのものよりも、それをどう活用し、クライアントの現場に落とし込んで実行まで支援できるかが問われる時代に入っていくと考えています。AIやデジタルツールの進化により、情報収集や資料作成といった作業は自動化されつつあり、コンサルタントに求められる役割は「共感力」や「変革を推進する力」といったより「人間にしかできない」ものになっていくと思います。

その中で、クライアントと同じ目線で課題に取り組み、成果にコミットする“実行支援型”のコンサルティングの価値は、これまで以上に高まっていくでしょう。また、生成AIが普及する現在では、いわゆる「歩く図書館」のような、知識量が多いだけの人材というよりも、知見・知識をうまく活用することで物事を能動的・主体的に進められる人が必要な人物像が求められていくと感じています。

仕事をする上でのこだわり、大切にしていることはありますか?

「現場とともに歩むこと」、そして「成果に責任を持つこと」を何より大切にしています。どれだけ良い提案でも、実行されなければ意味がありません。クライアントの現場に深く入り込み、一緒に悩み、時に汗をかきながらゴールを目指す、そうした姿勢を常に忘れずにいたいと考えています。

会社概要

  • 会社名: AtZ Business Partners株式会社
  • 所在地: 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町1-12パークコート渋谷ザタワー1405
  • 代表者名: 臼井浩洋
  • 従業員数:25人
  • 公式HP: https://atz-bp.co.jp/

まとめ

臼井氏の言葉からは、「成果に責任を持つ」「クライアントとともに歩む」という信念が一貫して伝わってきました。
時代やツールが変化しても、本質的な価値とは何か──その問いに真摯に向き合いながら、経営支援の在り方を日々アップデートし続ける臼井氏。
今後のコンサルティング業界においても、実行力と共感力を兼ね備えた“伴走者”の存在が、ますます重要になることを感じさせるインタビューでした。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

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