最終更新日 25/06/26
国内スタートアップ

【宇宙テック最前線】3Dプリントロケットから宇宙物流まで。注目スタートアップ4社を徹底解説

AI宇宙物流
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近年、「宇宙テック」と呼ばれる分野が世界的に大きな注目を集めています。かつては国主導だった宇宙開発が、スタートアップによるイノベーションによって様変わりしつつあります。打ち上げコストの低下や小型衛星コンステレーションの普及などを背景に、宇宙ビジネスは飛躍的な成長が見込まれており、2040年までに世界の宇宙産業の市場規模約140兆円に達するという予測です。宇宙空間は、通信や観測データを通じて防災・環境対策や産業効率化に役立つ新たな社会インフラとなりつつあり、経営者や投資家にとっても見逃せない分野となっています。

本記事では、宇宙テックの最前線で活躍する、以下の注目スタートアップ4社をご紹介します。それぞれユニークな技術やビジネスモデルで宇宙開発に挑戦しており、ロケット製造から衛星データ解析、さらには宇宙を活用した物流サービスまで、多彩な取り組みを展開しています。宇宙ビジネスの可能性について詳しく解説しているため、ぜひご一読ください。

  • Relativity Space(リラティビティ・スペース
  • インターステラテクノロジズ株式会社
  • 株式会社Synspective(シンスペクティブ)
  • Inversion Space(インバージョン・スペース)

世界初、3Dプリントでロケットを造る革新企業【Relativity Space】

Relativity Space(リラティビティ・スペース)は、世界で初めてロケットを丸ごと3Dプリンターで製造することに挑むアメリカの宇宙スタートアップです。2015年に南カリフォルニアで創業された同社は、金属3Dプリンティング技術と自動化を駆使してロケットの部品数を大幅に削減し、製造期間とコストを劇的に短縮することを目指しています。

将来的にはわずか2ヶ月で打ち上げ可能なロケットを作るという大胆な目標を掲げており、その革新的なアプローチが宇宙業界で大きな注目を集めています。

主力のTerran 1は、85%が3Dプリント製で、2023年に史上初の3Dプリントロケットによる宇宙空間到達を達成しています。次世代機Terran Rは再使用可能な大型ロケットで、2026年に打ち上げられる予定です。将来的には月・火星ミッションを視野に入れており、エンジンには火星でも入手可能な液体メタンを採用しています。

同社はブルーオリジンスペースXでの経験を経て独立したティム・エリス氏とジョーダン・ヌーン氏によって創業されており、設立以来、累計約11.5億ドルを調達し、企業評価額は42億ドルに達しています。

より詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。


誰もが宇宙に手が届く未来を【インターステラテクノロジズ株式会社】

(引用:PR Times)

インターステラテクノロジズ株式会社は、「誰もが宇宙に手が届く未来」を実現することをビジョンに掲げる日本発の宇宙スタートアップです。2003年に実業家の堀江貴文氏らによって設立され、北海道大樹町に本拠を置く同社は、民間単独でのロケット開発にいち早く挑戦してきました。

2019年には自社開発の観測ロケット「MOMO」の打ち上げに成功し、日本の民間企業として初めて宇宙空間(高度100km)に到達する偉業を達成しています。この実績により、国内の宇宙ベンチャーの先駆けとして一躍脚光を浴びました。

また、同社は小型ロケット「ZERO」と大型機「DECA」の開発に取り組んでおり、設計から打ち上げまでを一貫対応しています。また民生部品や3Dプリントの活用により、低コスト・高頻度の打ち上げを目指しています。また、独自の通信衛星群「OUR STARS」では、ピンポン玉サイズの超小型衛星でブロードバンド通信網の構築を進行中です。

2024年にはシリーズE39億円、2025年にはトヨタグループから約70億円の出資を受けるなど、官民連携による事業拡大も加速中、「宇宙の総合インフラ企業」として、日本の宇宙産業を牽引しています。

より詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。


宇宙から衛星データで地上の課題を解決【株式会社Synspective】

株式会社Synspective(シンスペクティブ)は、宇宙から取得した衛星データで地球上の課題解決に挑むスタートアップです。2018年に現CEOである新井元行氏によって創業され、小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用と、そのデータ解析ソリューション提供を中核事業としています。

SAR衛星はレーダーによって地表を観測するため、天候や昼夜を問わず広範囲を撮影可能であり、これを活用することで自然災害のリスク軽減やインフラ管理の効率化に貢献できるのがSynspectiveの強みです。

これまでに「StriX-α」など3機の衛星を打ち上げ、地盤変動を検出するLDMや、冠水状況を分析するFDAといったサービスを展開しています。さらには全天候観測が可能なSAR衛星の特性を活かし、社会インフラの監視を効率化も行っています。

2024年には東証グロース市場に上場し、累計調達額は約291億円に到達。今後は衛星30機体制を構築し、海外市場への展開も視野に入れています。

より詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。


宇宙を「地球の物流拠点」に【Inversion Space】

(引用元:https://www.inversionspace.com/news

Inversion Space(インバージョン・スペース)は、宇宙を「地球のための物流拠点」に変えるという独創的なコンセプトで注目される米国スタートアップです。2021年に大学発のベンチャーとしてカリフォルニアで創業され、わずか設立3年目にしてアメリカ宇宙軍(SpaceWERX)から7,100万ドル(約100億円)の大型資金調達を実現しました。

同社が開発中のサービスは、「1時間以内に地球上どこへでも荷物を届ける宇宙配送」です。具体的には、低軌道上に物資を保管できる小型無人カプセル(スペースカプセル)を宇宙に配備し、必要なときに大気圏再突入させて目的地近くに投下・回収するという物流プラットフォームを構想しています。

従来のロケット企業が「宇宙へ物資を運ぶ」ことに注力してきたのに対し、Inversion Spaceは逆転の発想で「宇宙から地球へ物資を届ける」仕組みを作ろうとしており幅広い用途が期待されています。まずは軍事・災害用途への提供を想定し、将来的には商用物流への応用も計画中です。まさに“宇宙から届ける”という逆転発想で、新たな物流市場を切り拓こうとしています。

より詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください


まとめ

今回は、宇宙テック分野で注目される4つのスタートアップ(Relativity SpaceインターステラテクノロジズSynspectiveInversion Space)をご紹介しました。ロケット開発、衛星データ、宇宙物流と領域は異なりますが、いずれも「宇宙をビジネスのフロンティア」として捉え、革新的な価値を生み出している点で共通しています。

宇宙産業は今まさに成長フェーズにあり、日本国内でもスタートアップや投資の動きが加速しています。今後の宇宙テックの進展に、ぜひご注目ください。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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