
現代の金融業界では、デジタル技術による革新が急速に進んでいます。スマートフォンの普及やキャッシュレス決済の浸透を背景に、消費者はより便利で身近な金融サービスを求めるようになりました。また、従来の銀行サービスでは手数料の負担や手続きの煩雑さなど課題も多いです。そのような社会情勢の中で現在、IT技術を駆使してそのような金融の問題の解決に挑む新興企業「フィンテック(Fintech)」が注目されています。
(フィンテック(FinTech)…「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語。)
本記事では、国内外で注目を集める以下のフィンテック系スタートアップ4社をご紹介します。それぞれの企業が提供するサービスは、家計管理やキャッシュレス決済の促進からオープンAPIによる金融データ活用、デジタルバンキングによる金融包摂まで多岐にわたり、金融業界に新風を吹き込んでいます。本記事では、ご覧企業ごとの個別記事も紹介しているためそちらも併せてご覧ください。
- スマートバンク(SmartBank):プリペイドカード×家計簿アプリで簡単支出管理
- ナッジ株式会社(Nudge):Z世代にぴったり!推しを応援できるスマホ連動クレカ
- マネーツリー(Moneytree):複数口座を一元管理する資産管理アプリ&金融データプラットフォーム
- Chime(チャイム):手数料ゼロで700万人超が利用する米国最大のネオバンク
スマートバンク:プリペイドカード×家計簿アプリで簡単支出管理

株式会社スマートバンク(以下、スマートバンク)は、誰もが簡単に「お金を使う・貯める・増やす」ことができる未来を目指して活動する注目のフィンテックスタートアップです。
同社はチャージ式プリペイドカードと家計簿アプリを一体化した新しい支出管理サービス「B/43」を開発・提供しています。こちらは日常の支払いを専用のB/43カードで行うだけで支出が自動的にアプリに記録される仕組みのため簡単にお金の流れを管理できる点が特長です。
2021年4月のサービス開始からわずか3年でアプリ累計100万ダウンロードを突破し、月間の取扱高も数十億円規模に拡大するなど高い支持を集めています。こうした革新的な家計管理サービスが評価され、スマートバンクは2024年11月にシリーズBラウンド(1stクローズ)で約40億円の資金調達に成功しました。この大型調達により、同社は家計管理のDXをさらに加速させ、より多くのユーザーがお金の流れを簡単に把握できる社会を目指しています。
詳細はこちらの個別記事をご覧ください。
ナッジ株式会社:Z世代にぴったり!推しを応援できるスマホ連動クレカ

ナッジ株式会社(Nudge)は、2020年創業のフィンテック企業で、スマートフォン連動型の次世代クレジットカード「Nudge」を提供しています。専用アプリと連動したVisaカードで、利用履歴の確認やカードのロック、支出管理などすべてスマホ上で完結できる手軽さが特徴です。
特にユニークなのは「クラブ」機能と呼ばれる仕組みで、カフェやコンビニなど日常の支払いにNudgeカードを使うだけで、好きなアーティストや団体への支援(いわゆる推し活)に繋がる点です。利用額に応じてアーティストから限定特典がもらえるため、Z世代を中心に「応援しながら支払いができるクレカ」として支持を集めています。
また、ナッジはTIS株式会社との資本業務提携を含むシリーズAラウンドで累計約50億円の資金調達を達成しており、大企業との連携によるサービス拡充にも期待が高まっています。柔軟な発想と確かな資金基盤を武器に、同社は日本のキャッシュレス化と新しい金融体験の創出に挑戦し続けています。
詳細はこちらの個別記事をご覧ください。
マネーツリー:複数口座を一元管理する資産管理アプリ&金融データプラットフォーム

マネーツリー株式会社(Moneytree)は、2012年に設立された日本のフィンテックスタートアップです。
個人向けには複数の銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどの残高・取引を一箇所で見える化できる資産管理アプリ「Moneytree」を提供し、家計の状況把握や資産運用を簡単にしています。さらに企業向けには金融データ連携基盤「Moneytree LINK」を展開しており、銀行・カード会社・会計ソフト等から取引明細を自動取得・分析できるサービスを2015年から提供しています。
同社のAPIは金融・会計業界で標準的な存在となっており、55億件超の取引データと2,200万件の口座情報を扱う国内トップクラスのデータプラットフォームへと成長しました。このような金融データエコシステムの構築力が評価され、マネーツリーは累計約47億円の資金調達に成功しています。豊富なデータと資金を背景に、同社は金融機関や企業と連携しながら金融DXのインフラを支える存在として躍進を続けています。
詳細はこちらの個別記事をご覧ください。
Chime(チャイム):手数料ゼロで700万人超が利用する米国最大のネオバンク

Chime(チャイム)は、米国発のデジタルバンク(ネオバンク)で、スマートフォンのアプリから手数料無料の銀行サービスを提供しています。当座預金口座やデビットカードに月額維持費や残高要件がなく、給与の早期受け取り(給料日の数日前に前払い)といったユニークな機能も備えており、従来の銀行にない利便性で急成長を遂げました。特に年収10万ドル以下の一般労働者層を主要ターゲットに、口座維持手数料ゼロ・最低残高条件なしという利用しやすさが支持され、2024年5月時点で700万人以上のアクティブユーザーを抱える米国最大のネオバンクとなっています。
2012年の創業以来、Chime社は9回の資金調達ラウンドを通じて総額23億ドル(約3,300億円)以上を調達しており、企業価値は250億ドル規模に達しています。現在はIPO(新規株式公開)を視野にさらに事業拡大と国際展開を計画しており、誰もが銀行サービスにアクセスできる未来に向けて挑戦を続ける注目企業です。
詳細はこちらの個別記事をご覧ください。
まとめ:フィンテックが拓く未来
今回は、国内外のフィンテック系スタートアップ4社をご紹介しました。これらの企業が提供するソリューションは、個人の資産管理を効率化したり若年層のキャッシュレス利用を後押ししたりと、金融サービスの在り方を大きく変えつつあります。まさに金融DXを牽引する存在であり、今後もさらなる成長が期待できるでしょう。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
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