最終更新日 25/07/15
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【株式会社Queue】ノーコードDBと遠隔管理ツールで企業DXを支援

ITシステム開発
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(引用:PR TIMES

データの利活用リモートワーク推進は、多くの企業にとって喫緊の課題です。膨大なデータからビジネス価値を引き出すには高度な分析環境が必要ですが、従来のBIツールでは専門知識や多大な時間が求められる場合がありました。また、新しい働き方として定着したリモートワークでは、チームメンバーの業務状況を把握し信頼関係を築くことが難しく、経営者や管理者にとって頭痛の種となっています。

こうした課題を解決するべく登場したのが、Queue株式会社(以下、Queue)です。同社は、エンジニア向けのコードファーストな設計と、ノーコード支援機能を両立したデータ活用プラットフォームや、遠隔チームのパフォーマンス管理ツールなどを開発し、企業のDXを支援しています。本記事では、株式会社Queueの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。

事業内容①:Morph – コードファーストのデータ活用プラットフォーム

Morphは、SQLやPythonなどのプログラミング言語を活用しながら、直感的にデータアプリケーションを構築できる柔軟なデータワークスペースです。従来のデータ分析ツールやBIでは、独自の拡張プログラミングや複雑な設定を要するため、エンジニアが高い学習コストと構築時間をかけて分析を行う必要がありました。エンジニアチームのデータ分析の負担が大きいだけではなく、ビジネスチームは分析結果を手に入れるまでに待たなければなりません。

さらにビジネス現場で求められるデータ活用は高度化しており、単純なダッシュボードだけでなくデータアプリケーションが求められるようになり、従来のツールの柔軟性では対処できないレベルに達しています。

このような課題に対処するため、MorphではSQL, Python, マークダウン, Reactを用いて高い柔軟性とアジャイルなデータ活用を実現します。

具体的な機能は以下の通りです。

  • マークダウンベースのデータアプリケーション構築
  • SQL・Pythonを活用したデータ分析環境
  • VS Codeベースのクラウドエディター
  • Morph AI: コーディングをサポート

マークダウンベースのデータアプリケーション構築

マークダウンの拡張形式であるMDXを用いてデータアプリケーションを簡単に構築することができます。Reactのコンポーネントが既に用意されているので、SQLやPythonで分析した結果を活用して動的なデータアプリケーションを構築します。

ビジネス要件で複雑なUIが必要な場合にもReactコードをカスタマイズすることで柔軟なアプリケーションの構築が可能になります。

SQL・Pythonを活用したデータ分析環境

MorphではSQLPythonをそのまま活用してデータ分析が行えるフレームワークを提供しています。SQLではJinjaを活用して動的なSQL文を記述することで、複雑なパイプラインの構築も可能です。また、Pythonの実行環境ではpipのエコシステムを活用して自由にパッケージのインストールも可能なため、グローバルなエコシステムの力をそのまま分析環境に活用できます。

VS Codeベースのクラウドエディター

MorphのクラウドIDEは、VS Codeをベースにしています。そのため、エンジニアの方が普段使用している環境と同じ環境でコーディングを行うことが可能です。さらに既存のVS Code Extensionに加えてMorphが独自に作成しているExtensionを使用することによって、よりリッチな開発環境を手に入れることができます。

Morph AI: コーディングをサポート

Morph AIは、接続しているDBのスキーマや前処理のロジックを理解してコーディングを手助けしてくれます。分析のステップに分解してパイプラインにおける自律的な分析業務の補助を行っており、今後はステップの自動化も視野にいれています。

事業内容②:Remonade – リモートワークのパフォーマンス可視化ツール

Remonade(レモネード)は、世界中どこにいても、安心して、 効率よく、自由にチームで働くことを可能にするチームのためのパフォーマンス可視化ツール・チームマネジメントツールです。コロナ禍以降リモートワークが普及する一方で、離れた場所で働く従業員の業務状況が把握しづらく、コミュニケーション不足による孤独感・エンゲージメント低下が課題となっていました。Remonadeは、リモートワーク制度導入の不安やリスクをなくし、誰もが自由に、安心できる空間で、チームとして効率よく働くことができる未来のワークスタイルを実現します。

Remonadeには以下の3つの機能があります。

  • (1) 毎日のタスク管理 「Today」
  • (2) 進捗共有とスタッツ
  • (3) マネージャー ダッシュボード

(1) 毎日のタスク管理 「Today」


Today毎日のタスク管理機能です。 これまでのタスク管理では、長期のプロジェクトやチーム全体のタスクは管理できていましたが、メンバー それぞれの毎日のアクションは捉えられていませんでした。 Today を使えば、それぞれのメンバーがその日何をやるのかを把握することができます。

(2) 進捗共有とスタッツ

これまでのタスク管理では、長期のプロジェクトやチーム全体のタスクは管理できていましたが、各自の毎日のアクションは捉えられていませんでした。リモートワークは同じ空間にいないため、プロジェクト進捗が把握しきれないという不安が生じます。個々の作業を細かく監視してしまい、結果的に心理的安全性が低くなってしまうケースを耳にすることもあります。

Remonadeは進捗を可視化します。Todayに記入されたタスクの達成は、リアルタイムにチームに伝えられ、可視化されます。その達成率やタスクの内容を分析し、各メンバーとマネージャーへスタッツレポート が届きます。 わざわざレポートや日報を書いて送信する必要はありません。それぞれのメンバーがタスクを管理するだけで、日ごと、週ごと、月ごとのパフォーマンスが可視化されます。
 

(3) マネージャー ダッシュボード

チームメンバーのタスクの内容・粒度・達成率や、毎日のメンタル面の変化を集積・分析し、マネージャー向けにダッシュボードとして提供しています。そのため、リモートワーク制度を導入するにあたって、日報や進捗管理などのレポーティングをする必要はありません。 またこれまで難しかった、メンバー単位でのパフォーマンスの可視化・分析を活用し、適切なタイミングでチームにコミュニケーションをとることによりチーム全体の最適 化を行うことが可能です。

事業内容③:SUNRYSE – 海外スタートアップ情報データベース

(引用:公式HP

SUNRYSE. は海外のスタートアップ・イノベーションの最新情報を取得できるデータベースです。

日本語での情報が圧倒的に不足している海外スタートアップ情報を、 独自の取材とグローバルネットワークによりリサーチしています。世界30ヵ国以上のスタートアップ企業情報を日本語にて累計6000社以上配信する、 (法人)会員型データベースで、新規事業のリソース探しや、M&A•CVCでの利用に加え、オープンイノベーションへの人材育成等、海外スタートアップを探すさまざまな目的で活用が可能です。

SUNRYSEには以下の3つの特徴があります。

1. 9,000件以上のデータベースから、業界・テクノロジーなどで事例を検索

  • モビリティ・リテール・広告などの業界タグ
  • 機械学習・位置情報・VR/ARなどのテクノロジータグ
  • SaaS・マーケットプレイスなどのビジネスモデルタグ
  • NoCode・チャレンジャーバンク・SDGsトレンドタグ
  • 大学発・オープンイノベーションなどの特徴タグ
  • リモートワーカー・ヴィーガン・LGBTQなどのアクタータグ

などの様々なタグを組み合わせてスタートアップ事例を検索するころが可能です。条件を細かく縛れるため、自分の求める情報を簡単に見つけることができます。

2. 世界中の最新ニュースから、チームに必要な情報をお届け

世界中のメディア・スタートアップエコシステムより、最新の海外ニュースを日本語にて配信しています。また、ニュース記事に対して、チーム内でコメントやリアクションを残すこともできます。インプットだけの学びに止まらず、これからの新しい市場・ビジネスへと繋げていくケーススタディ集として利用することが可能です。

3. グローバルで1300万社の企業データを有するデータベースOwler社と連携し、投資・ファンディング情報も提供。

世界中で1300万社の企業データを有する世界最大級のスタートアップ企業データベースであるOwler社と連携しています。このパートナーシップにより、掲載スタートアップの資金調達情報、また投資ファンディング情報もを提供しています。

事業内容④:開発・コンサルテーション(共同R&D事業)

(引用:公式HP

Queueは、プロダクト提供だけでなくクライアント企業との共同開発(R&D)事業にも力を入れています。クライアント企業とともに、新たなソフトウェア・ソリューションを開発しており、共同研究・論文執筆から、社内ツールWebアプリケーションまで、一部のパートナー企業と個別にR&Dを進めています。

資金調達:BasisTechからプレシリーズA実施、累計調達総額1.7億円に

(引用:PR TIMES

Queueは2024年12月16日、テキスト解析などデータ分析基盤で知られている、米国ボストン拠点のソフトウェア企業BasisTechをリード投資家とするプレシリーズAラウンドの資金調達を実施しました。調達額の詳細は非公開ながら、このラウンドにより累計調達総額は約1.7億円に達しています。

今回調達した資金は、グローバルでのソフトウェア開発者コミュニティに対してのマーケティングや開発強化などに充てられる予定です。また、BasisTechの持つデータ分析、ソフトウェア開発者コミュニティへのネットワーク・知見を活用し米国での展開を加速させるとも発表しています。

今回のプレシリーズAは、海外投資家を迎えて事業拡大フェーズに入ったことを示す転機といえるでしょう。資金調達を機に、Morphのグローバル展開や他サービス強化を加速しており、さらなる活躍が期待されます。

市場規模:ローコード/ノーコード開発市場、812億2000万に達する

(引用:ITR

株式会社Queueの主力プロダクトであるMorphが属する国内ローコード/ノーコード開発市場規模は、近年急速に拡大しています。調査会社ITRによれば2023年度の国内ローコード/ノーコード開発市場規模は812億2000万円(前年度比+14.5%)に達しました。グラフのように今後もクラウド型の普及を中心に成長が続き、2028年度には2023年度比で1.8倍規模に拡大する見込み(年平均成長率約12.3%)と予測されています。生成AIとの連携機能を持つ新ツールの登場も追い風となり、この市場は今後ますます存在感を高めていくでしょう。

会社概要

  • 会社名: 株式会社Queue(キュー) / Queue, Inc.
  • 所在地: 東京都渋谷区渋谷1丁目22−10 第二東邦ビル 4F
  • 設立年月日: 2016年11月
  • 代表者名: 柴田 直人
  • 公式HP: https://queue-inc.com/

まとめ

株式会社Queueは、企業のDX推進を支援するスタートアップで、「Bridge the Innovation Divide.」をビジョンに掲げイノベーションの格差を埋めること目指しています。研究開発型のアプローチと実証済みの技術力を武器に成長を遂げ、今後は海外展開やサービス拡充を通じて更なる成長が期待されます。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社Queueのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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