
朝の目覚めや仕事の合間など、多くの人々に親しまれているコーヒーですが、抽出後はその約7割ものコーヒー豆が産業廃棄物として捨てられてしまうという、大きな課題を抱えています。この食品ロス問題は、環境への負担だけでなく、貴重な資源の無駄遣いでもあり、持続可能な社会の実現に向けて解決が急務となっています。
そのような状況で、「コーヒーを食べる」という全く新しい食体験を提供し、こちらの課題解決に挑むスタートアップが誕生しました。 それが、今回ご紹介する株式会社モカブル(以下、モカブル)です。同社は、大企業の安定したインフラとスタートアップの機動力を確保し、コーヒー豆が本来の美味しさを余すことなく楽しむことで、これまでの「飲む」文化を一変させる可能性を秘めています。
本記事ではその事業内容や資金調達について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
【事業内容:食べるコーヒー「モカブル」(MOKABLE)】

モカブルが提案するのは、これまでの常識を覆す「食べるコーヒー」です。 こちらは「大切に育てられたコーヒー豆の個性を余すことなく楽しんでいただきたい」という思いから開発された商品で、コーヒーをまるごと食べることができます。
従来の“飲む“スタイルは豆の約70%がフィルターに残ってしまっていたのに対して、モカブルはコーヒー豆をまるごと微粉砕し使用することで、豆が持つ豊かな香りや美味しさなどの貴重な成分をとりこぼさず、一切の無駄なく最大限引き出しています。
見た目や口どけはチョコレートのようですが、ひと口で広がるのは、コーヒーの華やかな香りとリッチな味わい。コーヒーを“食べる”という今までにない体験と特別な時間をお届けします。
サステナビリティと美味しさの両立

モカブルは、新しい食体験を提供するだけでなく、持続可能な社会への貢献も目指しています。 コーヒー豆をまるごと使うことで、後に大量に廃棄されるコーヒーかすを大幅に削減します。 これは、世界のコーヒー産業が懸念する大きな食品ロス問題への有効なアプローチとなり、環境負担の軽減に大きく貢献します。
また、製品に使う植物油脂もサステナブルな環境に配慮したものを選び、地球に優しいモノづくりを実践しています。
世界のプロフェッショナル場にも採用

コーヒー愛好家はもちろんのこと、SDGsへの意識が高い消費者や、ユニークな食材を求める製菓業界のプロフェッショナル(製菓業務用「カフェレート」)にも力を入れており、世界のトップパティシエやミシュラン星付きレストランをはじめ、日本および北米のプロフェッショナルな方々に採用されています。
モカブルが気になった方こちらから
【資金調達:シードラウンドで総額1.5億円を調達】

モカブルは2025年10月、サントリーグループの社内ベンチャー制度「FRONTIER DOJO(フロンティア道場)」を経てカーブアウトし、シードラウンドで総額1.5億円の資金調達を実施しました。
今回調達した資金によって、主軸事業であるモカブルの開発および販促活動の強化を行うとともに、2025年7月に設立した北米法人の体制を強化し、グローバル展開を加速。また、コーヒーの産地への開発投資も行うことで、より持続可能かつ美味で多様性豊かなサプライチェーン構築へと発展させると発表しています。
【本資金調達概要】
- 調達額:総額1.5億円
- 資金使途:モカブルの開発および販促活動の強化・北米法人の体制強化・コーヒーの産地への開発投資
- 引受先:
・Genesia Venture Fund 4号投資事業有限責任組合
・サントリーホールディングス株式会社
・みずほ成長支援第5号投資事業有限責任組合
・Kconイノベーション1号投資事業有限責任組合
【市場規模:巨大コーヒーな市場とフードテックの未来】
世界で拡大するコーヒー市場の現状

コーヒーは、水に次ぐ世界で最も消費量の多い飲料であり、その市場規模は非常に巨大です。straits researchの調査によると、2024年には977億1,000万米ドルと評価され、2025年には1,029億8,000万米ドル、2033年には1,568億5,000万米ドルに達すると予測されています。予測期間(2025~2033年)中は年平均成長率(CAGR)5.4%で成長します。
品が段々とありますが、この巨大な市場が驚くべき課題の一つが、コーヒー豆の大量廃棄です。 抽出後に残るコーヒーかすは、そのほとんどが産業廃棄物として処理されており、これは環境負荷だけでなく、本来利用価値のある資源の無駄でも生まれますモカブルは、この遠慮され続けてきた「コーヒー豆の隠れた価値」に着目し、「食べるコーヒー」という全く新しい形で市場にアプローチしています。これにより、皆さんのコーヒー市場に新たな消費の形を提案し、市場全体の可能性を広げています。
「食べるコーヒー」が切り拓く新たな市場の可能性
モカブルが書ける市場は、従来の「飲料としてのコーヒー市場」に加えて、「新しい嗜好品市場」や「サステナブルフード市場」、「ヘルシー・ウェルネス食品市場」など、複数の成長市場にもまたがってます。 特に、ワインやチョコレートのように、産地や製法によって多様な風味やストーリーを楽しむという体験は、高い感性的な消費者の新たなニーズに応えるものです。将来的には、チョコレートメーカーへの原料提供といったBtoB事業のスケール化も視野に入れており、コーヒー豆の新たな活用法を行うことで、多角的な市場開拓を進めていくことが期待されます。
【会社概要】
- 会社名: 株式会社モカブル
- 所在地: 東京都渋谷区円山町5番5号Navi渋谷V3階
- 設立年月日: 2025年4月
- 代表者名:糸山 彰徳
- 公式HP URL:https://www.mokable.jp/
【まとめ】
株式会社モカブルは、食品ロス削減や環境負荷軽減といった地球規模の課題に対して、「コーヒーを食べる」という新しいアプローチで貢献しており、その姿勢はまさに新時代のフードテック企業としての役割を体現していると言えます。ぜひ、この新しい感覚のコーヒー体験を試してみて、その可能性を肌で感じてみてください。
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