最終更新日 25/10/24
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海洋データ革命!株式会社UMIAILEが拓く「高度0mの人工衛星」への挑戦

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(引用:公式HP

私たちの地球の約7割を広大な海は、多くの謎に包まれた領域です。 気候変動による環境変化深刻化する海洋汚染、そして安全保障といった地球規模の課題は山積みですが、これまでの海洋観測は莫大なコストと人の資源を確保し、密かつ即なデータ取得が困難でした。 この状況が、海の未来を守るための迅速な意思決定を考慮することにもなっています。

このような現状に一石を投じるのが、2025年1月に設立されたスタートアップ、株式会社UMIAILE(以下、ウミエル)です。Hondaの新事業創出プログラム「IGNITION」から誕生した同社は、「高度0mの人工衛星」というコンセプトを掲げ、海洋ロボティクスなどの開発を通して「海の見える化」に挑戦しています。ウミエルの革新的なアプローチは、海洋観測のあり方を根本から変え、私たちの海の未来を大きく動かす可能性を秘めているのです。

本記事ではウミエルの事業内容や資金調達について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

事業内容:自律型海洋モビリティによる大規模海洋センサープラットフォーム

UMIAILEが提供するのは、独自の自律型モビリティを「群」で活用し、短期間かつ高密度な海洋データを収集する「大規模海洋センサープラットフォーム」です。そして、このプラットフォームの中核を担っているのが、小型が開発・販売する小型無人ボート「UMIAILE ASV」(Autonomous Surface Vehicle:自律航行型無人船)です。

従来の有人船による海洋観測は、高コストで時間と人手がかかるという大きな課題を抱えていました。しかしUMIAILE ASVは、独自の船体姿勢制御技術により、小型でありながらも高速で水上を自律航行するこがとできるため

広がるUMIAILE ASVの分野活用

UMIAILE ASVが収集する高密度な海洋データは、多岐にわたる分野での活用が行われています。例えば、地震や津波の予測に定められた「海底地殻変動観測」です。こちらでは、地震に伴う地殻変動を観測し、メカニズムの解明に必要なデータを提供しています。

また、気候変動対策として注目される、海中のCO2吸収源である「ブルーカーボン」の定量化を含む環境アセスメントにも貢献しています。こちらでは、ブルーカーボンクレジット生成に必要な改装・海草の観測データや、海洋生態系解明に必要なデータを提供しています。

資金調達:シードラウンドで15.75億円を調達

ウミエルは、2025年10月16日、総額15.75億円の資金調達を実施しました。 
今回の資金調達は、インキュベイトファンド株式会社をリード投資家とした、UntroD Capital Japan株式会社および本田技研工業株式会社を含む3社を引受先としたエクイティファイナンスと、株式会社みずほ銀行よりデットファイナンス(融資枠を含む)から成っています。

また今回の調達資金は、以下の用途に重点的に活用し、産官学連携を含む多様なパートナーとともに、量産・社会実装に向けた仕様構築および体制強化を加速していくと発表しています。

海洋ロボティクス技術の高度化
・実証フィールドの拡大
・量産化を見据えたプロトタイプ開発
・産官学連携プロジェクトの推進
・組織体制の強化

【本資金調達概要】

  • 調達日:2025年10月16日
  • 調達額:総額15.75億円
  • 入手方法:シードラウンド(エクイティ)、デットファイナンス
  • 調達先
    エクイティ:
    ・インキュベイトファンド株式会社(リード投資家)
    ・UntroD Capital Japan株式会社
    ・本田技研工業株式会社
    デットファイナンス:
    ・みずほ銀行

市場規模: 海洋DXが拓く巨大ナフロンティア

UMIAILEが参入する海洋関連市場は、地球規模での重要性が増加しており、その市場規模は拡大の一途を辿っています。温地球化による海洋環境の変化、海洋資源の枯渇、そして地政学的な安全保障の重要性など、海が暫定課題は人類共通の楽しみのテーマです。

成長を続ける海洋観測・海洋ロボット市場

(引用:BusinessResearch

BusinessResearchの調査によると、世界の海洋ロボット市場は2024年に約49億4,000万米ドル、2025年に57億1,000万米ドルを記録し、2033年までに1821億米ドルを上回ると予測されています。また2025年から2033年までのCAGRは15.6%です。

従来の有人調査船に依存した海洋観測は、高コスト・高リスクであり、データ収集には限界がありました。しかし、ウミエルが提供するような自律型海洋ロボットの登場により、この状況は大きく変わりつつあります。 特に、洋上風力発電の建設や保守、海底ケーブルの敷設、漁業における資源管理の高度化など、様々な産業分野でのニーズが牽引役となっています。

ウミエルの「大規模海洋センサープラットフォーム」は、この成長市場において、データの取得から解析までを一貫して提供できる点が強みです。特に、複数のASVを連携させて広範囲をカバーする「群制御技術」は、これまでの単一ロボットによる観測では難しかった高密度・広域データ収集が可能となり、市場に新たな価値を獲得すると期待されています。

日本の海洋国家としての可能性

(引用:https://honkawa2.sakura.ne.jp/9410.html

日本は四方海に囲まれた海洋国家であり、排他的経済水域(EEZ)の領土は世界第6位を誇ります。この広大な海域を適切に管理し、海洋資源を持続的に利用していることは、日本の大きな財産です。
ウミエルの技術は、日本の海洋国家としての可能性を最大限に引き出し、新たな海洋産業の創出に貢献する可能性を秘めています。そして将来的には、アジア太平洋地域をはじめとする世界の海洋課題の解決にも貢献する、グローバルな存在として発展していでしょう。

会社概要

  • 会社名: 株式会社UMIAILE
  • 所在地: 東京都墨田区立花5-9-5 テクネットすみだ
  • 設立年月日:2025年1月
  • 代表者名:板井亮佑
  • 公式HP URLhttps://umiaile.com/

まとめ

株式会社UMIAILEは、Hondaの新事業創出プログラムから生まれた、海の未来を変える挑戦者です。 広大で未解明な海の課題に対し、革新的なソリューションで貢献し、私たちの社会に計り知れない影響をもたらしていくことでしょう。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社UMIAILEのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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