最終更新日 25/11/04
国内スタートアップ

大学発スタートアップ最前線|研究成果から生まれる注目の3社

まとめ記事大学発
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近年、大学で生まれたスタートアップ企業(大学発スタートアップ)が、研究成果を社会に活かす担い手として注目されています。経済産業省の調査によると、2023年時点で国内の大学発スタートアップは約4,300社に達し、企業数・増加数ともに過去最高を記録しました。こうした企業は大学の革新的な研究成果をもとに、経済や社会に新たなイノベーションをもたらす存在として期待されています。実際、ヘルスケアから先端テクノロジー、サステナブルな食料開発まで、大学発ベンチャーは幅広い分野で社会課題の解決に挑んでいます。

本記事では特に注目すべき、筑波大学・東京工業大学・信州大学の研究から生まれた以下の3社をご紹介します。個別記事も併せてごらんください。

  • 株式会社S’UIMIN
  • 株式会社Jij
  • Morus株式会社

株式会社S’UIMIN

株式会社S’UIMIN(スイミン)は、日本人の睡眠不足という課題を解決することを目指す筑波大学発のヘルスケア系スタートアップです。独自開発のウェアラブル睡眠計測デバイスで脳波を測定し、AIによる高度な解析によって睡眠状態を客観的かつ正確に可視化できる点が強みとなっています。医療機関向けには、脳波データに基づき患者の睡眠状態を診断して改善に向けた助言を行うサービスを提供しています。

一方、個人でも自宅でデバイスを装着して眠るだけで簡単に正確な睡眠データを取得可能で、スマートウォッチなど従来手法では得られない詳細な分析結果が得られます。日常的に誰もが質の高い睡眠を計測・改善できるようにすることで、社会全体の健康増進に貢献しようとしています。

個別記事はこちらから

株式会社Jij

(引用:公式HP

株式会社Jij(ジジ)は、2018年に創業された東京工業大学発のディープテック系スタートアップです。高度な計算技術(量子アニーリングなどの量子計算手法)を活用し、物流や製造業など産業現場で発生する複雑な最適化課題の解決を一貫して支援するサービスを提供しています。代表的な実績として、豊田通商と共同で取り組んだ都市交通の信号機制御最適化プロジェクトでは、信号待ち時間を平均20%削減することに成功しました。

このように最先端テクノロジーと現場の知見を橋渡しすることで、従来は人の勘に頼っていた高度な意思決定をデータ駆動型に変え、産業分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させています。現在Jijは欧米への展開も視野に入れ、海外拠点の設立や大手企業との連携も進めており、“量子×最適化”分野の先駆者としてさらなる成長が期待されています。

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Morus株式会社

引用:https://morus.jp/news/jp#all

日本の食料自給率はわずか38%と先進国で最低水準にとどまり、環境に優しい新たなタンパク質源の開発が課題となっています。Morus株式会社(モルス)は、こうした課題に応えるべく誕生した信州大学発のフードテック・スタートアップです。同社は高タンパク質かつ環境負荷の低い素材として「カイコ(蚕)」に着目し、その粉末原料(MorSilkパウダー)を食品や飼料として活用する技術を開発しています。カイコ由来パウダーは鶏肉よりも高たんぱく・低脂質で、オメガ3脂肪酸はマグロの16倍、ビタミンB2は豚肉の26倍に達するなど栄養価が非常に高く、またエサが少量で済み水もほとんど必要ないため飼育時の環境負荷も極めて小さいことが特徴です。

こうした革新的アプローチが評価され、Morusは世界的な有望企業としてForbes Asia “100 To Watch 2024”にも選出されました。さらに2024年にはシンガポールに現地法人「Morus SG」を設立し、海外市場への進出を加速しています。昆虫資源を活用した日本発のソリューションで、グローバルな食料問題の解決にも貢献が期待されるスタートアップです。

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まとめ

今回は、大学発スタートアップ3社の取り組みをご紹介しました。睡眠ヘルスケア、産業DX、フードテックと分野は異なりますが、いずれも大学の研究成果をもとに独創的なソリューションを展開し、社会課題の解決に寄与しています。今後、これらの企業は各分野で一層の成長を遂げ、社会に新たな価値をもたらしていくことでしょう。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

今回紹介した三社のように国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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