
世界の物流産業は、Eコマース拡大により配送量が急増する一方で、CO₂排出削減・配送効率化という二つの大きな課題に直面しています。従来の配送ネットワークは化石燃料依存が強く、環境負荷やラストワンマイルの非効率を解消する手段が求められています。こうした課題を解決するため、英国発の物流テック企業 HIVED は、100%電動車両フリート と、AIベースの独自配送最適化プラットフォームを武器に、効率性と環境配慮を両立する新しい配送ネットワークを構築しています。HIVEDの取り組みは、企業の物流DXだけでなく、環境戦略の実現に直結するソリューションです。
本記事では、株式会社HIVEDの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。
事業内容①:サステナブルな完全電動フリート

HIVEDが提供する電動車両フリートは、一般的なガソリンやディーゼル車に比べてCO₂排出量を大幅に削減できるだけでなく、運用コストの最適化にも寄与します。これにより、企業がESGを重視したサプライチェーン構築を進める際の強力な支援となっています。特に環境意識が高い企業や消費者から支持を集め、EUや英国の主要Eコマース事業者との契約が拡大している点は、同社モデルの社会的意義を裏付けています。
さらに、HIVEDは単なる「電動配送サービス」の提供にとどまらず、電動大型トラックによる拠点間輸送の実運用を進めています。これにより、配送のインフラレベルでも電動フリートの可能性を示し、多くの企業が導入を検討するケースが増えています。こうした包括的な電動物流モデルは、持続可能な物流の実現に向けた大きな一歩です。
HIVED社の、英国内で拠点間輸送から最終配送まで一貫して電動車両を活用するネットワークは先進的な取り組みとして注目されています。これは、拠点間輸送とラストマイル配送をすべてEVで運用する英国初の全電動物流ネットワークを構築したことでも証明されています。
事業内容②: HIVEDmind:配送全工程を最適化

HIVEDの事業の真価は、100%電動車両フリートとセットで稼働する独自の統合プラットフォーム「HIVEDmind」にあります。このプラットフォームは、機械学習(ML)とリアルタイムデータ処理を中核としたAIシステムで、集荷から配送、顧客の注文追跡までのすべてのプロセスを統合し最適化します。
従来の物流システムでは、倉庫管理、配送ルート、ドライバーの動き、配送時間などが個別で管理され、最適化も分断されているのが一般的です。これに対し、HIVEDmindは、これら全てを統一データベースで管理し、検知した配送データを即座に学習して配送ルートや配送順序を動的に修正します。リアルタイムで更新される配送クラスターにより、従来の固定的な郵便番号ベースの配送方式では対応できない部分も柔軟に改善できます。
HIVEDmindが提供する価値
- 配送ルートの高度な最適化
配達順序やルートをリアルタイムで再構築することで、無駄な走行や渋滞リスクを低減。 - 配送状態の可視化と追跡管理
荷物の状況をステータスとして一元管理し、ドライバー・倉庫・顧客間の連携を強化。 - 動的配送クラスター
従来の固定配送ゾーンを改め、荷物量や時間帯に応じて常に最適化された配送区域を生成。 - データドリブンな改善サイクル
機械学習を活用し、時間経過とともに配送精度を向上させるサイクルを構築。
これらの機能により、HIVEDは従来の物流会社との差別化を図っています。HIVEDは初めからデジタルネイティブなプラットフォームとして構築されているため、データの統合・分析・活用という観点で優位性を持っています。
顧客満足・業務効率の両立

HIVEDのサービスは、単なる配送効率の改善にとどまらず、Eコマース企業が直面する顧客体験向上のニーズにも応えています。同社は、複数のグローバルブランドと契約し、650万件以上の荷物配送実績を達成しています。またこの実績では99%以上のオンタイム配送率を維持しており、高い配送精度と定着率を示しています。
配送企業に共通する課題の一つに、「配送状況に関する不安や問い合わせ」があります。HIVEDは、リアルタイム追跡・通知機能や動的配送管理により、顧客側からの「荷物はどこにあるのか」という問いへの対応を抑えつつ、ブランド側の顧客満足度向上とクレーム削減に寄与しています。また、データを基にしたドライバー教育やルート解析により、配送業務そのものの品質も向上しています。
Eコマース企業にとっては、配送の遅延が直接的な顧客離れにつながるため、配送品質の高さは競争力そのものです。HIVEDはこの期待に応えるだけでなく、サステナビリティ観点での各企業のESG戦略にも貢献しており、ビジネス上の評価が高まっているのが特徴です。
資金調達:4200万ドル調達&ヤマトホールディングスが出資

HIVED社は2025年7月3日に 約4,200万ドルのシリーズB資金調達を実施しました。
今回のラウンドは、AIと完全電動車両を基盤にしたサステナブルで次世代型の物流ネットワーク構築を加速するためのものです。またHIVEDは2021年のシードラウンド、2023年のシリーズAとステップを踏んで成長しており、今回のシリーズBは大きな飛躍点となっています。
【シリーズBラウンド投資家】
・NordicNinja(リード投資家)
・Planet A Ventures
・Wex Venture Capital
・Marunouchi Innovation Partners
・Elemental Impact
・Future Back Ventures by Bain & Co
・Rocketship VC
・ヤマトホールディングス
【調達資金の用途】
・英国国内の都市圏への配送ネットワーク拡大
現在のロンドン中心のサービス提供を超え、複数の主要都市に事業を拡大し、将来的には英国全土の約80%カバーを目指す計画を立てています。
・エンジニア・データサイエンティストの採用強化
HIVEDmindの高度化と運用チームの拡充を図ることで、技術競争力を高め続ける狙いがあります。
・AIプラットフォームの開発強化
リアルタイムルート最適化や配送パフォーマンス分析など、より多機能なAI活用を目指した開発投資に充てられます。
市場規模:急成長するグローバルデジタル物流市場

グローバルデジタル物流市場は急速に成長しており、2022年には約1974の億円の市場規模を誇り、2030年までに約6648億円に達すると予測されています。この成長は、年平均成長率16.53%を記録し、今後8年間で市場が急拡大することを示唆しています。これにより、デジタル技術が物流業界に与える影響はますます大きくなり、AIやIoT、クラウド、ブロックチェーン技術などが物流業務の効率化に貢献することが期待されています。
HIVED社の市場ポジションと将来性
デジタル物流市場の急成長を背景に、HIVED社のような企業が提供するAIと電動車両を統合した革新的な物流システムは、今後ますます注目を集めるでしょう。HIVED社は、100%電動車両フリートを使用し、AIベースのデータ統合システムを駆使して、配送ルートの最適化や貨物の追跡を行っています。このような技術は、物流業界における効率化と環境負荷低減に貢献しており、Eコマースやリテール業界の企業にとって非常に魅力的な選択肢となっています。
HIVEDは、今後英国全域や欧州への事業拡大を進めるとともに、AIと電動車両技術をさらに進化させて、グローバル市場でのシェアを拡大することが期待されています。特に、ラストマイル配送の効率化と、環境負荷削減を両立させる点で、HIVEDのアプローチは市場において強い競争力を持つといえるでしょう。
会社概要
・会社名: HIVED Ltd.
・所在地: 1a Old Nichol Street, London, England, E2 7HR
・設立年月日: 2021年8月
・代表者名: Murvah Iqbal、Mathias Krieger
・公式HP https://www.hived.space
まとめ
HIVEDは、100%電動車両フリートと機械学習を基盤とする統合データプラットフォームを武器に、従来の物流モデルを刷新しています。シリーズBでの大型資金調達とヤマトHDをはじめとする戦略的投資家の支援は、同社の成長性と市場価値を強く裏付けています。物流テック市場の成長が続く中で、HIVEDの提供するサービスは国内外の企業にとっても参考となるモデルです。
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