最終更新日 26/01/28
システム開発国内スタートアップ注目企業

【YStory】AI×医学で女性の活躍を支えるフェムテック企業の全貌

AIシステム開発・サービスヘルスケア
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(引用:STARTUP LEAGUE

「更年期離職」この言葉が、現代日本社会における深刻な課題として浮上しています。

人生100年時代を迎え、キャリアの熟練期に差し掛かる40代から50代の女性たちの多くが、更年期症状に悩みながらも誰にも相談できずにキャリアの断絶を余儀なくされています。近年の試算によると、更年期症状が労働生産性に与える影響は甚大で、女性の健康課題全体による経済損失が年間約1.9兆円〜3.4兆円規模に上るとされています。女性の健康問題はもはや個人の問題にとどまらず、企業や社会全体に深刻な影響を与えています。

この問題に立ち向かうのが、YStoryです。同社はAIと国立大学との共同研究を駆使し、女性のライフステージの変化に合わせた科学的なケアを提供しています。これにより、女性たちが生涯を通じて自分らしく輝ける社会を実現しようとしています。

本記事では、YStoryが提供する革新的なサービス、アカデミア連携による強み、そして今後の市場可能性について解説します。

事業内容:AI×医学で実現する更年期トータルケアプラットフォーム

①更年期セルフケアアプリ「JoyHer」

(引用:Femtech

YStoryが提供する「JoyHer」は、更年期を迎えた女性の健康管理を支援するデータドリブン型アプリです。
単なる体調記録ツールにとどまらず、AIがユーザー専用の「伴走者」となり、パーソナライズされたケアを提供する次世代型プラットフォームです。 

健康データの収集とAIによる解析

更年期の症状は、ホットフラッシュ、倦怠感、不眠、イライラなど200種類以上あると言われ、その現れ方は千差万別。適切な対処が難しいのが現状です。
「JoyHer」は、ユーザーが日々の体調や気分をタップ操作で簡単に記録することで、AIがそのパターンや傾向を学習。ユーザー一人ひとりの状態に合わせた最適な「ケアのヒント(Care Tips)」を提案し、漠然とした不安や不調は「管理・対処可能なもの」として可視化され、ユーザーは自分の状態に合った対策を講じることができるようになります。こうして、更年期による生活の質の低下を最小限に抑えることが可能になります。

(引用:公式ホームページ

京都大学との共同研究

(引用:公式ホームページ

数あるヘルスケアアプリの中で、YStoryが持つ最大の競争優位性は、アカデミアとの強力な連携体制にあります。

同社は、京都大学医学部附属病院産科婦人科(女性健康医学研究室)と共同研究を行っており、産婦人科専門医である江川美保講師や大須賀拓真特定病院助教らの監修を受けています。
この「医学的裏付け」により、信頼性の高い情報提供とアルゴリズム構築を実現しており、情報の正確性が生命線となるヘルスケア領域において、他社にはない信頼を獲得しています。

②企業向け健康経営支援「JoyHer Enterprise」

JoyHer Enterprise」は、企業や健康保険組合向けに提供されるB2Bソリューションです。女性従業員の健康課題をデータで可視化し、組織の生産性向上と人材定着を支援します。

(引用:Freepik

ESG経営や人的資本経営が叫ばれる中、「女性管理職の育成・定着」は企業の急務です。しかし、更年期症状によるパフォーマンス低下は本人も言い出しにくく、企業側も具体的な対策を講じにくいのが現状でした。「 JoyHer Enterprise」を導入することで、企業は以下のメリットを享受できます。

  1. 離職リスクの低減: 従業員が自身の不調をコントロールできるよう支援し、貴重な人材の流出を防ぎます。
  2. 隠れコストの削減プレゼンティズム(出勤しているが生産性が低下している状態)を改善し、組織全体のパフォーマンスを底上げします。
  3. 健康経営の推進:データに基づいた施策実行により、「ホワイト500」などの認定取得や、女性が働きやすい企業としてのブランディングに寄与します。

展開事例:大和総研との連携

YStoryは、東京都が運営する「社会課題解決型スタートアップ支援事業」において、株式会社大和総研との連携を発表しています。大和総研が展開する企業・健保向けの新サービスを通じて「JoyHer」を提供し、より高度なデータ分析と行動変容プログラムの実装を進めています。 この連携は、スタートアップの革新的なプロダクトが、大企業の持つ広範な顧客ネットワークを通じて社会実装されていく好例と言えます。個人のヘルスケアデータを組織の活力へと還元するこのエコシステムは、今後の日本企業のスタンダードとなる可能性を秘めています。

(引用:note

資金調達:シード期から注目を集める「ディープテック」としての評価

YStoryは、創業初期からテクノロジー特化型の有力ベンチャーキャピタル(VC)や公的機関からの支援を獲得しており、その技術力と事業性は高く評価されています。

【資金調達:シードラウンド(2023年4月)】

・調達時期:2023年4月(公表は2023年6月21日)
・調達額:非公開
・調達方法:第三者割当増資(シードラウンド)
・主な引受先:DEEPCORE、ANRI

特筆すべきは、投資家の顔ぶれです。 DEEPCOREはソフトバンクグループ傘下のVCであり、特にAI(人工知能)技術の実装を目指すスタートアップへの投資に特化しています。また、ANRIは日本のシードVCを代表する存在であり、ディープテックや大学発ベンチャーへの支援に定評があります。
一般的に「フェムテック」は「雑貨・ウェルネス」の文脈で語られることも多いですが、AI特化のDEEPCOREが出資している事実は、YStoryが単なるアプリ開発企業ではなく、「医療データ×AI」を駆使するテック企業として評価されている何よりの証です。調達した資金は、京都大学との共同研究による更年期DTx(デジタルセラピューティクス)の探索的研究や、エンジニア採用の強化に充てられ、事業成長を加速させています。 

市場規模:3兆円市場へ拡大するフェムテックと「更年期」の可能性

そもそもフェムテックって何?

フェムテック(Femtech)は、FemaleとTechnologyをかけ合わせた造語で、女性の健康に特化したテクノロジーのことです。
女性特有の課題、例えば月経、妊娠、更年期、不妊などに対処するために、アプリやウェアラブルデバイス、AIなどの技術を活用しています。これにより、女性たちは自分の健康をより良く管理でき、適切なケアを受けやすくなります。フェムテックは、女性の健康意識を高め、生活の質を向上させるために重要な役割を果たしています。

(引用:Femtech

YStoryが主戦場とするフェムテック市場、とりわけ更年期(メノポーズ)市場は、今まさに爆発的な成長期を迎えようとしています。

市場規模①:急拡大する世界のフェムテック市場

(引用:GRAND VIEW HORIZON

フェムテック(Femtech)の世界市場規模は、2025年時点で数千億円〜1兆円規模と推計されていますが、2030年代には約6兆円〜15兆円(400億ドル〜1,000億ドル)規模に達すると予測されています。 日本国内市場においても、2025年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)約17%での高成長が見込まれており、2030年には約4,800億円(32億ドル)規模になるとの予測もあります。女性の社会進出加速とヘルスリテラシーの向上が、この市場拡大の強力なドライバーです。   

市場規模②:ブルーオーシャンとしての「更年期(メノポーズ)テック」

これまでフェムテック市場は生理・妊活領域が先行していましたが、更年期領域は長らく「空白地帯(ホワイトスペース)」でした。しかし、世界の更年期市場は2024年の約178億ドルから、2030年には約244億ドル(約3.6兆円)へと堅調に拡大すると予測されています。   

YStoryはこの成長市場において、以下の3点で独自のポジションを築いています。

  1. 高付加価値ターゲット:購買力があり、自身の健康への投資意欲が高い40代〜50代(富裕層・管理職層含む)をコアターゲットに設定しています。
  2. 予防・予測型AI: 閉経前後のホルモンバランス変化という「複雑かつ個人差の大きいデータ」をAIで解析することで、単なる対症療法ではない、予防・予測型の価値を提供します。
  3. 「課題先進国」日本からのグローバル展開:日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎えています。日本で蓄積した「エイジングケア」のデータとノウハウは、今後高齢化が進むアジア・欧米諸国への展開において強力な武器となります。JETROやメイヨー・クリニックとの連携は、このグローバル戦略が着実に実行されていることを示しています。   

会社概要

  • 会社名:株式会社YStory
  • 所在地:東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー15F CIRCLE by ANRI内(本社所在地)
  • 設立年月日:2023年1月21日
  • 代表者名:代表取締役社長 Janet Yu/Sherry Shi(共同創業者/共同CEO)
  • 公式HP URLhttps://ystoryhealth.com

まとめ

株式会社YStoryは、女性のライフステージに合わせた革新的なヘルスケアサービスを提供しており、「JoyHer」アプリは更年期女性の健康をデータで支援する新しいアプローチを提供しています。今後、更に成長する市場の中で、YStoryはこの分野のリーダーとしての地位を確立していくでしょう。更年期に悩む女性たちの生活の質を向上させるために、YStoryの取り組みに注目が集まります。

New Venture Voice では、このような注目スタートアップを多数紹介しています。YStoryのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もぜひご覧ください。

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