最終更新日 26/02/04
国内スタートアップ

【株式会社シマント】物流DXで未来のサプライチェーンを再設計、効率化に挑む

システム開発・サービスモビリティ・物流
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(引用:PR TIMES

物流業界は約25兆円規模の巨大産業ですが、現場では紙の帳票やホワイトボードによる配車管理がいまだ主流で、デジタル化の遅れによる非効率と人手不足が深刻です。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働を制限する「2024年問題」が迫り、このままでは2030年までに現在の約3割の貨物が運べなくなるとも試算されています。
こうした課題に対し、株式会社シマントは「DX技術で、未来のサプライチェーンをデザインする」をミッションに掲げ、物流業務のデジタル化とデータ活用によってサプライチェーンを効率化するソリューションを提供しています。本記事では、株式会社シマントの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。


事業内容①:物流DXワンストップソリューション『ロジGo』

ロジGoはシマントが開発した物流DXのクラウドサービスです。荷主(発送側)からの受発注、元請物流会社による配車計画から請求業務まで、輸配送に関わる一連の業務を一元管理できる輸配送管理システム(Transport Management System, TMS)となっています。

(引用:公式HP

従来、エクセルやFAXでやり取りされていた発注情報の管理、ドライバーや車両ごとに属人的に行われていた配車計画、運行指示書の作成や協力会社との調整など、多くの現場作業をロジGo上でデジタル化・自動化します。
例えば、受注処理をデジタル化して煩雑な発注業務を簡素化し、ルート最適化機能によって経験頼みだった配送計画を効率化できます。また、トラックへの車両割当や配送指示書の作成、協力会社との調整もシステム上で完結するため、ミスを減らし業務時間を短縮できます。

ロジGoを特徴づけるシマント独自のデータ技術

ロジGoの大きな特徴は、シマントのデータ基盤技術にあります。同社は従来型のリレーショナルDBとは異なる「マルチバリューデータベース」技術を強みに持ち、多種多様な形式のデータを統合して扱える柔軟なデータ基盤を構築しています。そのため、メーカーごとにフォーマットが異なる受注データでも自動で結合・標準化し、単一のデータベースに集約できます。この柔軟性により、新たな取引先や業務フローの変更にも素早く対応でき、現場ニーズに合わせたシステム導入が可能です。

ロジGo導入の効果

シマントによるシミュレーションでは、ロジGoを導入することでトラック1台あたりの平均運行回数が約46%向上し、必要車両台数は約32%削減できるとの結果が示されています。運行台数の削減はそのままドライバー不足の緩和やCO2排出量削減にもつながり、物流企業にとって大きなメリットです。

(引用:公式HP

事業内容②:共同開発ソリューション『Auto Dispatch』

シマントは自社プロダクト提供に加え、大手企業との共創プロジェクトコンサルティングサービスによって業界全体の最適化にも取り組んでいます。代表的な例が、ヤマトホールディングス傘下の物流企業ナカノ商会と共同開発した「Auto Dispatch」です。

Auto Dispatchが生み出す持続可能な物流とは

Auto Dispatchは広域幹線輸送向けの輸配送計画自動化アルゴリズムで、2025年10月からナカノ商会にて本格運用されています。このシステムでは、複数の荷主からの貨物と複数の運送会社のトラックをマッチングさせ、最適な組み合わせによる配車計画を自動生成します。
スポット的・単発的な輸送案件が多く「帰り便の空車」が常態化し非効率だった幹線輸送において、Auto Dispatchはベテラン配車担当者のノウハウとシマント独自のデータ処理技術を結集し、大量の輸送データを処理して無駄のない運行ルートを提示します。その結果、トラックの空車時間を減らしドライバーの労働負荷も軽減することで、持続可能な物流に貢献します。

(引用:公式HP

資金調達:累計約5.5億円を調達し事業を拡大

①2024年7月、シリーズAラウンドで約2.0億円の第三者割当増資を実施

(引用:PR TIMES

2024年7月に同社はシリーズAラウンドで約2.0億円の第三者割当増資を実施しました。このラウンドでは、VCのベンチャーラボインベストメントや事業会社ネクスウェイなどが出資しており、物流DXソリューション開発の将来性に期待が寄せられています。
調達資金はプロダクト開発の加速マーケティング強化人材採用などに充てられ、直面する「物流の2024年問題」解決に向けた業界別プラットフォーム構築を一層推進する計画です。

②2025年、累計約5.5億円の資金調達を実施

2025年にはシリーズBにおいて累計約5.5億円の資金調達を実施しました。新規株主として三菱UFJアセットマネジメントを迎え、既存投資家のベンチャーラボイノベーションからも追加出資を獲得しています。
また、金融機関からの融資も含めた総資金調達額は約11億円に上ります。
調達に参加した投資家からも、「物流現場のデジタル化とデータ活用によって物流クライシスの解決を目指している」という期待の声が寄せられています。十分な資金基盤を得たシマントは、プロダクト開発とマーケット展開を加速させ、物流DX分野でリーディングカンパニーとしての地位確立を目指しています。

市場規模:物流DX市場の成長性とシマントの可能性

国内の物流DX市場規模

(引用:富士経済グループ


富士経済によれば、日本の次世代物流システム・サービス市場規模は2024年に約7,542億円(前年比105.3%)と推計され、2030年には約1兆1,670億円に達すると予測されています。
これは2023年比で約162.9%に相当し、今後数年で物流領域のDX投資が大きく拡大する見通しを示しています。

特に、人手不足解消のためのロボティクス・自動化や、輸配送や倉庫を管理するIoTソフトウェアの分野が市場成長を牽引すると分析されています。実際、トラックの予約・受付管理を行う「バース管理システム」は2023年比5.1倍の163億円規模に拡大する見込みであり、物流現場のデジタル化ニーズが急速に高まっていることがわかります。国土交通省も2024年問題に対応すべく物流DXを推進しており、物流業界全体が変革期を迎えていると言えます。

世界の輸送管理システム市場の動向


世界の輸送管理システム市場規模は、2024年には97億7,000万米ドルと評価され、2033年には275億4,000万米ドルに達すると予測されています。予測期間中、12.2%の年平均成長率で成長するとされています。

(引用:straitsresearch

背景にはECサービスの急成長やコロナ禍で顕在化した供給網の脆弱性などがあり、世界的に輸送効率化・可視化へのニーズが高まっています。こうした潮流の中、シマントの強みであるデータ統合技術と現場志向の開発は国を問わず有用で、将来的な海外展開も期待されます。まずは国内で成果を示し、いずれアジア含む海外市場への進出も視野に入れています。

会社概要

  • 会社名:株式会社シマント (simount)
  • 所在地:東京都中央区日本橋3-3-2 Bizflex東京八重洲7F
  • 設立年月日:2014年8月
  • 代表者名:和田 怜
  • 公式HP:https://simount.com/

まとめ

シマントは、データ活用によって物流現場の根本課題を解決しようとする意欲的なスタートアップです。
アナログ作業が色濃く残る企業間物流の領域に革新的なソリューションを提示し、業界の構造改革を下支えしています。その取り組みはドライバー不足や働き方改革といった社会的課題の解決にも直結するものであり、物流インフラの持続性という観点からも意義深いものです。今後は調達・在庫管理を含めたサプライチェーン全体へのサービス展開も期待されます。国内市場で得た知見を武器にグローバル展開を果たす可能性もあり、シマントの成長から目が離せません。読者の皆様も、本記事を機に同社の動向に注目してみてはいかがでしょうか。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社シマントのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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