最終更新日 26/02/12
海外スタートアップ

【株式会社ODEKO】 独立系カフェを支えるサプライチェーンDX&モバイル注文

AI効率化食品
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(引用:公式ホームページ

世界中に点在する小規模なカフェやコーヒーショップは、大手チェーンと比べて仕入れコスト業務効率の面で大きなハンディを抱えています。複数の仕入先と個別に取引する煩雑さや、発注ミス・在庫切れのリスクなど、経営資源の限られた個人経営店ほど非効率なオペレーションに悩まされがちです。また、近年では新型コロナウイルスの影響でオンライン注文やデリバリーへの需要が急増し、デジタル対応の遅れが死活問題となりました。こうした状況を受け、ニューヨーク発のスタートアップ株式会社ODEKOは、独立系カフェ向けにサプライチェーン管理とモバイル注文を一体化したプラットフォームを提供しています。テクノロジーの力で小規模店の効率化と収益向上を支援し、「街のカフェ」が大手チェーンにも負けない競争力を持つことを目指す注目企業です。

事業内容:テクノロジーで街の小さなカフェを救う

①サプライチェーン最適化プラットフォーム

(引用:DAILY COFFEE NEWS

ODEKOはまず、カフェ運営に必要なあらゆる商材を一括発注できるサプライチェーン管理プラットフォームを提供しています。同社のポータルサイトからは、コーヒー豆やミルク、ペーパー類に至るまで数百社のサプライヤーの商品をまとめて注文可能です。注文は最適化されており、各店舗の販売データに基づくAI予測によって在庫切れを防止します。仕入れた商品は翌日には店舗の冷蔵庫まで補充されるため、オーナーは煩雑な在庫管理から解放され、本来注力すべき接客や店舗体験向上に時間を割けます。

実際にODEKOを導入した店舗では、仕入れコストが平均21%削減され、発注業務に費やす時間も週あたり10時間短縮されたとのデータも報告されています。こうした効率化と共同購入のスケールメリットにより、小規模店でも大手チェーン並みの価格競争力を実現できます。現在アメリカを中心に14,000店以上のカフェがODEKOを活用しており、Aroma Joe’sやBlank Streetといった地域チェーンも含めて着実に導入実績を伸ばしています。競合としては部分的な発注代行サービスは存在しますが、在庫管理から発注・配送までを統合したODEKOのような包括的ソリューションは他になく、サービスの独自性につながっています。

②モバイル注文アプリの提供

ODEKOはモバイル注文・決済アプリ「Odeko」も展開し、消費者向けの利便性向上にも取り組んでいます。このアプリを導入したカフェでは、お客様がスマートフォンから事前にコーヒーやフードを注文・支払いできるため、行列に並ばずスムーズに商品を受け取れます。利用者は購入額に応じたポイントが貯まり、提携店舗で使えるリワードを獲得できる仕組みで、スターバックス等の大手チェーンに引けを取らないロイヤリティプログラムを独立系カフェでも実現します。

もともと株式会社ODEKOは2020年に注文アプリ企業「Cloosiv」との合併を経てサービスを統合しており、在庫供給システムとモバイル注文を組み合わせた需要と供給の一元化をいち早く打ち出しました。これにより、店舗側は販売データをもとに適切な仕入れと販売促進を両立でき、利用者側もお気に入りの地元カフェをアプリ上で見つけて通いやすくなるという好循環が生まれています。特にパンデミック以降非接触・迅速な注文へのニーズは高まっており、小規模店にとって自前でアプリ開発をしなくとも同様のサービスを提供できるODEKOの価値は大きいと言えるでしょう。

資金調達

株式会社ODEKOは創業から約4年で、米国VCから積極的な資金調達を行ってきました。主なラウンドは以下の通りです。

  • 2020年8月18日(シリーズA)1,200万ドルを調達。リード投資家はGGV Capitalで、First Round CapitalやPrimary Venture Partners、Two Sigma Venturesなどが参加しました。
  • 2022年(シリーズC)7,700万ドルを調達。Tiger Globalなどが出資。
  • 2023年4月18日(シリーズD) 5,300万ドルを調達。リード投資家はB Capitalで、GGV CapitalやTiger Global Managementなど既存投資家に加えAmex VenturesやKSV Globalなど新規投資家も参加しました。
  • 2025年3月6日(シリーズE)1億2,600万ドルを調達(B Capital主導、株式9,600万ドル+融資3,000万ドル)。累計調達額は2億7,000万ドル以上に達しています。

資金確保と共に事業拡大も加速しており、近年では保険サービス企業の買収や食品業界の人材登用(元Sensient社長の招聘など)も行われています。強力な資本とチームを得たODEKOは、さらなる市場拡大とサービス高度化に向けて走り出しています。

市場規模:カフェ業界の現状と展望

(引用:Precedence Research)

世界の独立系カフェ市場

世界規模で見ると、コーヒーショップ業界は今なお巨大です。特にチェーンに属さない独立系カフェ市場は成長が著しく、2025年に約1,100億ドル(約16兆円)規模だった市場が2033年には約2,200億ドルに倍増すると予測されています。年平均成長率(CAGR)にして約7.6%という高い伸びで、消費者の嗜好が画一的なチェーン店から個性あるローカル店へシフトしていることが背景にあります。また、パンデミックを経てモバイルオーダーやデジタル決済が世界的に普及し、独立系店舗でもIT活用によるサービス向上が競争力の鍵となっています。米国ではODEKOのような飲食店DXを支援する企業が相次いで台頭し、市場全体が活性化しています。

日本国内の市場動向

日本に目を向けると、カフェ・喫茶店の店舗数は約58,000店に上り、その大半は中小規模の個人経営店です。国内でもサードウェーブコーヒーのブームなどを経て個性派カフェが増加しましたが、近年はコロナ禍や人手不足の影響で廃業が相次ぎ、ここ数年で全店舗の25%近くが閉店したとの報道もあります。一方、大手チェーン各社(スターバックス、ドトール、コメダなど)は店舗数を拡大傾向にあり、市場シェアの二極化が進んでいます。独立系カフェが生き残るには、大手と差別化できる居心地や品質に加え、デジタル技術の活用による効率向上が不可欠です。注文・決済のモバイル化や在庫管理の省力化は、国内でも今後ニーズが高まる分野と言えるでしょう。

会社概要

会社名: 株式会社ODEKO(ODEKO, Inc.)
所在地: 米国ニューヨーク州ニューヨーク市
設立年月日: 2019年
代表者名: デイン・アトキンソン(Dane Atkinson)
公式HP: https://odeko.com/

まとめ

小規模ビジネスの味方となるODEKOのサービスは、カフェ業界の「共創エコシステム」とも言える存在です。独立系カフェが集まることでスケールメリットを享受し、テクノロジーによって大手さながらの効率運営や顧客サービスを実現できるようになりました。読者の皆様にとって身近な街角のカフェも、こうした裏側のDXによって支えられる時代が来ています。日本でも個人店のデジタル化は避けられない潮流であり、ODEKOの躍進は国内市場にも示唆を与えるでしょう。「コーヒーのある豊かな暮らし」を支える同社の今後の展開に、ぜひ注目してみてください。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社ODEKOのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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