最終更新日 26/03/04
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【#003】「選び直せるギフト」のGIFTFULが法人版を正式リリース。GiftX代表・飯髙氏が語るテクノロジーの先に描く“温かな社会”の姿とは。

AIIT
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現代社会は、AIやテクノロジーの劇的な発展により、かつてないほどの効率化を遂げています。しかし、生産性が向上し便利さが加速する一方で、「人と人との純粋なつながり」や「相手のことを想う時間」は、むしろ失われつつあるのかもしれません。

そのような時代の中で、「選び直せるギフト」という新しい文化を提唱しているのが、株式会社GiftX(以下、GiftX)の代表取締役・飯髙 悠太氏です。同社が展開するギフトサービス「GIFTFUL」は、単なる利便性の追求ではなく、その先にある「人を想う気持ち」を社会に実装することを目指しています。

さらに、2026年1月27日には、待望の法人向けプラン「GIFTFUL for business」を正式リリースし、ビジネスコミュニケーションの新たな可能性として大きな注目を集めています。

本インタビューでは、新サービスの具体的な特徴はもちろん、GIFTFUL誕生の背景、そしてGiftXがテクノロジーの先に描く「温かな未来の社会像」について詳しくお話を伺いました。

サービスの概要と立ち上げの背景

――まず、1月27日にリリースされたGiftXの法人向けプラットフォーム「GIFTFUL for business」について具体的にどのようなサービスかお聞かせください。

「GIFTFUL for business」は、すでにリリースしているギフトサービス「GIFTFUL」の法人版サービスです。企業間での挨拶やお礼といった対外的なシーンはもちろん、社員の誕生日や福利厚生、採用候補者へのフォローなど、社内向けのギフトとしても幅広くご利用いただけます。

「GIFTFUL」とは、“選び直せるギフト”をコンセプトに掲げたギフトサービスです。贈り手はリンクやリアルカードを送るだけで完了し、受け取り手は届いたギフトをそのまま受け取るか、あるいは自分の好きな品に「選び直し」ができます。この仕組みによって、贈り手は「相手に気に入ってもらえるか」というプレッシャーから解放され、受け取り手も好みでない品を受け取らずに済みます。そんな、双方が心から満足できる温かなつながりを生むためのサービスです。

今回の法人版と個人版の大きな違いは、専用の「管理画面」を構築した点にあります。

これまでは、リンクの発行や請求書対応といったオペレーションを私たちが裏側ですべて手動で行っていたため、導入企業様にとっても手間がかかる部分がありました。法人版サービスでは、ギフト発行から「誰が受け取り、どんなお礼メッセージをくれたか」などといったログが自動で可視化されます。

さらに、デジタルカードに会社のロゴを挿入したり、メッセージのテンプレートを登録したりといったカスタマイズも可能です。例えば「1月のオフラインイベント用」といったグループを作成し、予算や受け取り期限を設定すれば、100名分の送付リンクを瞬時に発行できます。宛名なしでの発行も可能ですので、その場合は受け取り時に受取手の氏名や社名、メールアドレスを入力してもらうよう設定することもできます。そのため、手続き後に誰が受け取っていて、受け取っていないかを把握することが可能です。

――法人向けのサービスをリリースしたきっかけをお聞かせください。

法人向けの前に個人版を2023年4月にリリースしているのですが、その前から法人向けという構想は考えていました。つまり、法人向けをリリースすることを前提として個人版をリリースしています。

サービスのリリース理由は大きく分けて2つあります。

一つ目は「AIやテクノロジーの発展」です。現代ではAIの発達によって生産性が向上し、人が「やらなくていい仕事」が増え、テクノロジーの進化もものすごいスピードで進んでいます。ただ、この2つが伸びたからといって人は幸せになるのかと考えると、それはまた別の話だと考えています。

昨今、Webサービスは溢れるほど存在していますが、最終的にそれを導入するかどうかジャッジをするのは「」です。これだけ技術が発展している世の中ではプロダクトの差異もつきにくいため、「相手を想い行動する」ことなどは改めて重要なのではないかと考えました。その一つの手段に「ギフト」があると捉えています。

二つ目は、「コロナ禍で人と人との関わりが減少したこと」です。コロナ禍を経てオンラインで様々なことができるようになったのは良いことですが、それと同時に人と人とのつながりが弱まっているのではないかと感じていました。

当時、私は上場企業の役員でしたが、働きながら「人に会う」ということがなくなることに対して恐怖心を感じていました。お客さんに会わずに仕事が進むのかという疑問もあったため、そのような想いから人と人との関係性をより良く、豊かにしたいという想いで「GIFTFUL」をリリースしました。

ギフト市場における課題と「選び直し」の仕組み

――選び直しという発想はどのようにして着想を得ましたか。

ギフトにおける課題として「受け取っても嬉しくない」というケースが多くありました。実際、受け取る側の50%以上が「自分に合わないものをもらって、嬉しくなかった」という経験をしていることが弊社の調査データで明らかになっています。

また、これまでの手土産や会食のギフトに関しても、結局配るだけになってしまいその後の体験がどうなったかが見えづらいという課題がありました。

そのような課題や世間の声から着想を得て、「自分の欲しいものに選び直せる」という仕組みを作りました。この仕組みなら、贈り手の想いと受け取り手の満足の両方を実現可能です。

さらにGIFTFULには「送ったタイミングではお金がかからない」という仕組みもあります。例えば5,000円のお菓子を送って、相手が4,000円のお酒に選び直したら、支払い金額も4,000円になります。この仕組みによって贈り手側にかかる費用面の無駄も防ぐことが可能です。

このような仕組みの根本にあるのは「ひとの温かみを宿した進化を」という弊社の掲げるビジョンです。人々の嬉しい体験や人と人との関わりから生まれる温かみを目指して課題を解決していく過程で、今のようなサービスの形に至りました。

先行導入企業の活用事例

――提供開始前に150社以上に先行導入されていますが、活用事例としてはどのようなものが挙げられますか。

例えば、身近なところで言うと「忘年会の景品」ですね。幹事様にとって景品選びは本当に大変な作業ですし、せっかくチーム賞などで用意しても、当選者がすでに持っているものと被ってしまうことがよくあります。そういった場合でも、受け取った側が自分の好きなものに「選び直し」ができる。このシンプルさが、現場の小さなストレスを確実に解消しているなと感じます。

社内向けですと、誕生日・勤続記念・内定者へのギフトなどの活用もあります。

また、活用の幅は社内行事だけに留まりません。特に今、多くの企業様が「アポイント獲得」に苦戦されていますが、そこを突破する武器としてセールスやマーケティングの現場で非常に重宝されています。

お客様への訪問時や会食の手土産をデジタル化してスマートにしたり、事例取材にご協力いただいたお客様への謝礼として活用したりと、活用例は多岐にわたります。あるいは、展示会やウェビナーに来て下さった方に送ることで、他社との差別化を図り、商談率をグッと引き上げている企業様もいらっしゃいます。

他には、過去に接点があったものの成約に至らなかった、いわゆる「失注リスト」へのアプローチです。闇雲に営業電話をかけ直すのは非効率ですが、挨拶と一緒にギフトを添えて送ると、相手が受け取った瞬間に管理画面で確認ができます。「お受け取りありがとうございます」という一言から会話を始められるので、そこから再び商談に繋がったという事例も出ています。

企業のあらゆる活動シーンにおいて、「使い勝手がいい」という反響をいただけるのは、我々としても非常に嬉しいです。

創業の背景と想い

――創業背景として「利便性の追求だけでは社会が本当に豊かにならない」という疑問があったとのことですが、その経緯を教えてください。

この業界に身を置いて約18年になりますが、大きな転機となったのはコロナ禍でした。当時は上場企業の役員を務めていたのですが、世の中が大きく変わったことで自分自身を見つめ直す時間が増え、「自分でチャレンジしたい」と強く思うようになりました。前職に不満があったってことは一切なく、今でも良好な関係ですが、自分に対して後悔したくないという一心で起業を決意しました。

もう一つのきっかけは、急速なテクノロジーの発展に対する違和感です。私自身、そもそも人との関わり合いを重視していて、それによって輪が広がったという実体験があります。技術が進化すればできることは増えますが、それだけで人から「好かれる」わけではありません。大切なことの一つに「あなたのことを想っています」という態度であり、そこにおいて「贈り物」は非常に大きな役割を占めると考えていました。

ただ、現在のギフト市場(約10兆円規模)には大きな課題もあります。実は受け取り手の約20%が「好みではないもの」を受け取っており、さらに全体の約7%(約7,000億円分)は、使われないまま期限切れで廃棄されているという現状があります。このようなサステナビリティの観点からも、選び直せる仕組みや、受け取られてから課金される仕組みが必要だと確信しました。

コロナ禍で自分のことを見つめ直したことと、世の中に対して考えていたことが重なった結果、起業に至った訳です。

――人との関係性を重視するようになった原体験などはございますか?

私自身の原体験を辿ると、母親の存在に行き着きます。母は片親で、毎日忙しく働いていましたが、私の誕生日だけは、自分のために一生懸命考えて、特別な時間を用意してくれていました。

その時に感じた「忙しい中でも、自分のことをちゃんと想ってくれている人がいる」という確信こそが、人を幸せにする原動力だと思います。ギフトを通じて、そんな「人の温かみ」を感じられる世界を作っていきたいです。

今後の展望

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

まずは「法人ギフトならGIFTFUL」と言っていただけるような、唯一無二の存在になることが直近の目標です。ギフトにおけるミスマッチやムダや手間を解決し、贈る側も受け取る側も心から喜べる、新たなギフト体験を当たり前にしていきたいです。プロダクトとしてはまだ生まれたばかりですので、現場の声を反映しながら、さらに磨き上げていくことが当面の大きなテーマになります。

そしてその先にある会社としてのビジョンは、「ひとの温かみを宿した進化を」を実現することです。将来的にはギフトという枠組みに限らず、このビジョンに基づいた様々な事業を展開していきたいと考えています。

今の世の中、便利にはなりましたが、それによって幸福度が増したり、人との付き合いが楽になったりしたかと言えば、必ずしもそうではありません。むしろ孤独感が増したり、常に数字に追われたりして、余裕をなくしている場面も多いのではないでしょうか。

そんな「追われる社会」にあっても、誰もが自分らしく豊かにいられるように。私たちはテクノロジーを駆使しながらも、どこまでも「人との関係性」にフォーカスし続け、社会に温かなつながりを増やしていきたいと思っています。

貴重なお話ありがとうございました!

会社概要

  • 会社名:株式会社GiftX
  • 所在地: 〒160-0023 東京都新宿区西新宿3丁目5-3西新宿ダイヤモンドパレス1111
  • 代表者名:飯髙 悠太氏 石塚 悠悟氏
  • 設立年月日:2022年6月22日
  • 公式HP:https://giftx.co.jp/

まとめ

GiftX代表の飯髙氏が語ったのは、AIやテクノロジーが加速する現代社会だからこそ、より一層価値を増す「人と人との関わりの深さ」や、そこから生まれる「温かみ」の大切さでした。

「人の温かみを宿した進化」を掲げ、ギフトという伝統的な文化に新しい風を吹き込んでいるGiftX。効率化の先にある豊かな未来を目指す彼らの挑戦から、今後も目が離せません。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

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