
高齢化が急速に進む日本社会では、私たちが直面する様々な課題が浮上しています。特に、運転免許を返納せずに運転を続ける高齢者の方々の交通事故リスク、あるいは加齢による認知能力の低下が原因となる労働災害などは、社会全体で取り組むべき重要なテーマです。こうした課題は、ビジネスパーソンである私たち自身の親世代や、職場での安全管理、ひいては社会全体の活力にも大きく関わってきます。
このような状況の中、株式会社do.Sukasu(以下、ドスカス)は、最先端のVR技術と脳科学を組み合わせることで、人の「視覚認知能力」を定量的に評価し、効果的にトレーニングする画期的なソリューションを提供しています。同社は、「優劣でなく個性に寄り添う社会の実現」というミッションを掲げ、個々の能力を最大限に引き出し、「互いが透けてみえることがわくわくする社会」を目指しているのです。彼らの取り組みは、単なる技術開発にとどまらず、社会課題の解決に直結する大きな可能性を秘めています。
本記事ではその事業内容や最近の動向について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
事業内容:VRを活用した視覚認知能力評価・トレーニング「de.Sukasu」シリーズ

ドスカスが提供するのは、VR技術を駆使した視覚認知能力の評価、測定、そしてトレーニングを包括するトータルソリューション「de.Sukasu」シリーズです。このサービスは、脳科学に基づいた独自のアルゴリズムを用いて、個人の視覚認知能力を客観的かつ定量的に可視化します。
「de.Sukasu」シリーズには以下の4つのプロダクトがあるため、順番に紹介していきます。
- 運転しながら事故の防止を「de.Sukasu DRIVE」
- 距離をキープ「de.Sukasu KEEP」
- シャボン玉をキャッチ「de.Sukasu CATCH」
- 同じ人をさがせ「de.Sukasu FIND」
「de.Sukasu DRIVE」で運転能力と空間認知能力を可視化

核となるサービスの一つが、「de.Sukasu DRIVE」です。
このシステムは、運転能力を毎日簡単に測定することができるアプリケーションです。このアプリを起動して運転するだけで、簡単に空間認知能力を測ることができ、能力の低下による運転事故の防止を目指します。
「de.Sukasu KEEP」で事故リスクを判別し、安心をサポート
2つ目は「de.Sukasu KEEP」です。
こちらはVRキットを用いた視空間認知能力の計測プロダクトです。前方を走行するオブジェクトとの距離が一定になるように微調整を続けることで計測することができます。手元のコントローラー1つで操作が可能のため、場所をとらず距離調整に集中することが可能です。
また、オブジェクトには白いキューブと白クマの2バージョンを用意されており、お年寄りから子ども、あるいはビジネスから家庭用まで幅広いユースケースを想定して開発しています。
「de.Sukasu CATCH」で視空間認知能力を計測
3つ目は「de.Sukasu CATCH」です。
こちらはVRキットを用いた視空間認知能力の計測プロダクトです。プレイヤーに飛んでくるシャボン玉を割るシンプルなもので、初級〜超上級まであり、手元のコントローラー1つでそれぞれに応じたレベルで体験することができます。
「de.Sukasu FIND」で物体認知能力を計測

4つ目は「de.Sukasu FIND」です。
こちらはタブレットを使って手軽に物体認知能力を計測するプロダクトです。いくつも重なり合ったオブジェクトの中から、指定されたオブジェクトを見つけ出し、タップするだけで計測することができます。KEEPやCATCHで視空間認知能力を計測し、FINDで物体認知能力を計測することで、包括的な視覚認知能力を分析することが可能です。
多様な分野での応用と社会課題解決への貢献
ドスカスの技術は、運転分野にとどまらず、ヘルスケア、教育、運動など多岐にわたる領域での応用が可能です。加齢に伴う視覚認知能力の低下は、交通事故だけでなく、日常生活における転倒リスクや作業効率の低下など、様々な社会課題を引き起こします。同社は、こうした課題に対し、科学的根拠に基づいたアセスメントと効果的なトレーニングを提供することで、個人の健康寿命延伸と社会全体の安全・安心に貢献しています。特に、大企業の新規事業開発で培われたイノベーション創出の知見と、特許を強みとする同社は、新たな市場を切り拓く先駆者として注目されています。
資金調達:プレシリーズAラウンドで6,000万円を調達

ドスカスは、2025年9月24日、プレシリーズAラウンドにおいて総額6,000万円の資金調達を発表しました。この資金は、既存株主である「やまと社会インパクト投資事業有限責任組合」からの追加出資が中心となっており、彼らの事業に対する継続的な高い評価と期待が伺えます。
今回調達した資金は、事業成長をさらに加速させるため、プロダクトの機能拡充と精度向上を目的とした開発体制を一層強化するとともに、認知度向上と導入拡大に向けた営業・PR活動を本格化させるために活用すると発表しています。社会性、事業性、そして確かな技術力を兼ね備えたdo.Sukasuは、この資金調達を機に、より一層の成長を加速させることでしょう。
【本資金調達概要】
- 調達額:総額6,000万円
- シリーズ:Aラウンド
- 資金使途:開発体制の強化、認知度向上と導入拡大に向けた営業・PR活動
- 引受先:やまと社会インパクト投資事業有限責任組合
・南都キャピタルパートナーズ株式会社
・株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ
会社概要
- 会社名:株式会社do.Sukasu
- 所在地:〒630-8217 奈良県奈良市橋本町3-1
- 設立年月日:2020年6月8日
- 代表者名:笠井 一希
- 公式HP URL:https://www.dosukasu.co/
まとめ
株式会社do.Sukasuは、個人の視覚認知能力を可視化し、向上させることで、交通事故や労働災害の削減、ひいては健康寿命の延伸に貢献しています。
プレシリーズAラウンドでの資金調達や、奈良女子大学、東京都リハビリテーション病院との共同研究、さらには奈良市・奈良県との連携による「de.Sukasu DRIVE」の現場導入など、その取り組みは多角的かつ着実であり、今後もその技術力と社会貢献性で、新たな市場を創造し、社会に大きなインパクトを与えることが期待されます。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
株式会社do.Sukasuのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。