最終更新日 25/10/13
国内スタートアップ

【株式会社NINZIA】蒟蒻が食の未来を拓く!次世代フードテックで「食感創成」に挑む

ヘルスケア食品
Share this post
(引用:公式HP

もしも、あなたが大好きな食べ物を、健康上の理由やアレルギーで諦めなければならないとしたら、どう感じるでしょうか?糖尿病や高血糖、食物アレルギーなど、現代社会には「食の制限」を抱える方が少なくありません。また、高齢化が進む中で、介護食の「機械的な食感」に物足りなさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。食事は単なる栄養補給ではなく、人生を豊かにする喜びの一つです。

そんな「食の制限」によって失われがちな「食べる喜び」を取り戻し、誰もが食を自由に楽しめる世界を目指しているのが、今回ご紹介する株式会社NINZIA(以下、NINZIA)です。
同社は、もともと介護向けの事業を手掛けていましたが、事業を進める中で感じた「機械的な食」への違和感や、糖尿病で食を制限される祖母の姿から、「食の未来を変えたい」という思いを抱き、「すべての人が食べる行為を楽しむための食感創成」をテーマに、研究・開発・実装するフードテック事業を立ち上げました。

本記事ではその事業内容や資金調達について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

事業内容:独自素材「NINZIA PASTE」が拓く食の可能性

(引用:公式HP

株式会社NINZIAの核となる事業は、蒟蒻由来の食物繊維「グルコマンナン」を用いた独自の結着成型と食感創成技術の開発・提供です。そして、この技術によるプロダクトが、次世代こんにゃく素材「NINZIA PASTE(ニンジャペースト)」です。

NINZIA PASTEとは?

NINZIA PASTEは、通常のこんにゃくとは異なり、固まらずにペースト状を保つことができる画期的な素材です。これを他の食品素材に混合し、加熱・冷凍・乾燥させることで、対象の繊維を補強し、非常に強力な不可逆ゲルを形成する特性を持っています。
これにより、小麦グルテンや卵、水飴類を使わずに食品を成型することが可能です。さらに、レトルト加工や冷凍保存にも耐性があるため、食品加工の可能性を大きく広げる素材として注目されています。

(引用:公式販売サイト

実際に、NINZIA PASTEを使ったグルテンフリーワッフルや、プロテイン食品「ストイックすぎるプロテインクラッカー」など、具体的な製品展開も進んでいます。 気になった方はこちらの販売サイトをご覧ください。

解決する課題とターゲット層

NINZIA PASTEが解決するのは、食感の課題だけではありません。糖質ゼロ、脂質ゼロ、植物性、グルテンフリーといった特性は、糖尿病や肥満、アレルギーで悩む方々、ヴィーガンや健康志向の方々にとって、まさに待望の選択肢です。この素材を活用することで、既存の健康食品や代替食品では得られなかった「満足感のある食感」と「制限なく食べられる安心感」を両立させることができます。
一般消費者はもちろん、カフェやホテル向けの業務用製品の開発も行っており、幅広いターゲット層にアプローチしています。

独自性と利用メリット

NINZIAの独自性は、科学的な知見に基づいた「食感」への徹底したこだわりです。代表の寄玉氏自身が大学で蒟蒻の研究をしていた背景もあり、その技術力は確かなものです。NINZIA PASTEを使うことで、食品はより健康的になりながらも、美味しさや食感を妥協する必要がなくなります。これにより、消費者は「食べる喜び」を再発見でき、メーカーは新たな価値を持つ製品を開発できるという大きなメリットを享受できます。

資金調達:プレAラウンドで総額1億円を調達!

(引用:PR TIMES

NINZIAは、2025年8月にプレAラウンドにおいて総額1億円の資金調達を完了しました。
今回の資金調達により、NINZIAは独自の高機能原料の医科学的・栄養学的観点からの試験、工学的観点からの物性コントロール技術の深化や量産体制の構築を加速。さらに、北米及びシンガポールをはじめとするASEAN市場への商品・技術展開を本格化すると発表しています。

【本資金調達概要】

  • 調達額: 総額1億円
  • シリーズ: プレAラウンド
  • 調達先:
    • Future Food Fund株式会社(新規参画)
    • 株式会社リバネスキャピタル(新規参画)
    • 株式会社再春館共創ラボラトリー(新規参画)
    • 立命館ソーシャルインパクトファンド投資事業有限責任組合(既存投資家からの追加投資)

市場規模:世界が注目するフードテック市場とNINZIAの可能性

NINZIAが挑戦するフードテック市場は、今、世界中で急速な成長を遂げています。健康志向の高まり、環境問題への意識、そして食の多様なニーズ(アレルギー、ヴィーガン、ハラールなど)が複雑に絡み合い、食に対する新たなソリューションが強く求められているからです。

変化する食のニーズとフードテック市場の現状

近年、糖尿病や肥満といった生活習慣病の増加、そしてアレルギーを持つ人の増加は、世界的な健康課題となっています。これらの課題に対応するため、低糖質・低脂質、高タンパク質な食品、さらには特定のアレルゲンを含まない食品への需要が拡大しています。また、持続可能な食料供給への関心から、代替肉や植物性ミルクといった代替食品市場も大きく成長しています。

(引用:Grand View Research

フードテックの世界市場規模は、Grand View Researchの調査によると2022年に1,726.6億米ドルと推定され、2030年には3,549.4億米ドルに達するとされており、2023年から2030年にかけて9.9%のCAGRで成長する予測です。

NINZIAの市場におけるポジション

NINZIAの「NINZIA PASTE」は、まさにこのニッチでありながら巨大なニーズに応える技術です。糖質ゼロ、脂質ゼロ、植物性、グルテンフリーといった特長は、まさに現代の消費者が求める要素を兼ね備えています。そして何よりも、単に健康的なだけでなく、「食べる喜び」を損なわない「食感創成」という独自の価値を提供できる点が、市場での強力な差別化要因となるのでしょう。

NINZIAは、高血糖・肥満対策、栄養圧縮(少ない量で効率よく栄養を摂る)、そして災害時にも役立つ防災食といった具体的なテーマに注力することで、食の課題解決に貢献しようとしています。植物由来でヘルシーかつクリーンラベルな代替原料の選択肢が限られている現状において、その独自の技術は非常に大きな可能性を秘めています。今後、北米やシンガポールをはじめとするASEAN市場への本格展開を目指しており、日本の最先端フードテクノロジーが世界の食文化に影響を与える可能性を秘めていると言えるでしょう。

会社概要

  • 会社名: 株式会社NINZIA
  • 所在地: 兵庫県神戸市中央区浪花町56番地KiP内
  • 設立年月日: 2016年4月5日
  • 代表者名: 寄玉昌宏
  • 公式HP URL:https://ninzia.jp/

まとめ

株式会社NINZIAは、「食の制限」という社会課題に対し、蒟蒻の食物繊維を応用した画期的な「食感創成」技術で挑むフードテック企業です。これまでの食事では妥協せざるを得なかった食感や美味しさを取り戻し、誰もが自由に「食べる喜び」を享受できる未来を目指しています。食の未来を形作るNINZIAの挑戦から、これからも目が離せません。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社NINZIAのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

目次に戻る

タイトルとURLをコピーしました