
高齢化の進行や医療費の増大、慢性疾患の増加など、社会全体が抱える医療課題は年々複雑化しています。
従来の医薬品や治療法では対応しきれない領域も増える中、注目を集めているのが、ライフサイエンス分野――生命の仕組みを科学的に理解し、それを治療や創薬、健康維持に応用するアプローチです。AIやデータ解析技術、再生医療、マイクロバイオーム研究など、テクノロジーと生命科学の融合が進むことで、これまで「不可能」とされてきた病の克服にも光が見え始めています。
本記事では、そんなライフサイエンス分野で挑戦を続ける以下の日本発スタートアップ4社を紹介します。個別記事ではより詳しく解説しているためそちらも併せてごらんください。
- メタジェンセラピューティクス株式会社――腸内細菌叢移植で医療革新
- ヒューマンライフコード株式会社――へその緒から再生医療に挑む
- 株式会社bionto――最新技術で次世代の医療を進める東北大発スタートアップ
- リジェネフロ株式会社――再生医療と介護支援サービスの二刀流
メタジェンセラピューティクス株式会社――腸内細菌叢移植で医療革新

メタジェンセラピューティクス株式会社は、腸内細菌叢移植(FMT)とマイクロバイオーム創薬を中心に事業を展開しています。腸内細菌移植とは、健康な人の腸内細菌叢を疾患を持つ患者の腸内に移植し、乱れた腸内細菌のバランスを再構築する医療技術です。
同社は、腸内細菌叢バンク「J-Kinsoバンク」の運営によって、腸内細菌移植や腸内細菌を利用した医薬品の研究を支えています。
大学発ベンチャーの強みである最先端の研究成果と高度な技術力を活かしてサービスを提供しており、これまでシリーズA総額で17億円、累計では19.3億円の資金調達を完了するなど多くの注目を集めています。
個別記事はこちらから
ヒューマンライフコード株式会社――へその緒から再生医療に挑む

ヒューマンライフコード株式会社は、臍帯(へその緒)から抽出される間葉系間質細胞(UC-MSCs)を再生医療等製品の開発、製造、販売を計画しています。特に、免疫・炎症性疾患の中でも、医療ニーズの高い難治性疾患を対象とした研究開発を積極的に進めているのが特徴です。
同社は2024年から2025年にかけて総額約7.7億円の資金調達を実施しており、これによってグローバル体制の確立やサプライチェーンの強化を目指しています。
個別記事はこちらから
株式会社bionto――最新技術で次世代の医療を進める東北大発スタートアップ

株式会社bionto(ビオント)の事業の中核をなすのは、東北大学大学院工学研究科の西澤松彦教授が開発した「生体イオントロニクス技術」です。同社はこれによって薬剤の多量・高速の投与を可能にするデバイスや、薬効成分の皮膚への浸透を促進するパッチシートなどの次世代の医療・ヘルスケアシステムの基盤となる製品を開発しています。
2025年9月にはシードラウンドで総額6000万円の資金調達を実施し、ホームヘルスケアデバイスとしてのプロダクト開発の推進をはじめとした医療の最前線における課題解決へと貢献していく方針を掲げています。
個別記事はこちらから
リジェネフロ株式会社――再生医療と介護支援サービスの二刀流

リジェネフロ株式会社は、iPS細胞を活用した再生医療と、SaaSを用いた介護支援サービスの両面からアプローチするスタートアップです。腎疾患の根本治療と、介護現場の業務効率化を同時に目指すという独自のビジョンで注目を集めています。
2024年にはシリーズBで25億円を調達し、累計調達額は約44億円に達しており、これによってさらに事業や体制を拡大させていくことが期待されています。
個別記事はこちらから
まとめ
今回はライフサイエンススタートアップを4社紹介しました。この4社はそれぞれ異なるアプローチで人類の健康寿命の延伸と医療の変革を目指しています。
創薬や再生医療、AI技術など、分野の垣根を越えたイノベーションが進む中、これらの企業の挑戦は、今後の日本の医療・バイオ産業を牽引する存在になるかもしれません。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。