最終更新日 26/01/26
国内スタートアップ

【Bioworks株式会社】新素材「PlaX™」で循環型社会の実現に挑む

サステナブル
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(引用:PRTIMES

世界で深刻化するプラスチックごみや温室効果ガス排出の問題。ファッション業界では生産量が過去20年で約2倍に膨らみ、日本国内では供給された衣類の約6割が廃棄されているとの報告もあります。そのCO2排出量は世界全体の約10%に達し、国際航空便と海運業の排出量を合わせたよりも多い水準です。こうした課題に対し、植物由来の新素材で解決に挑むのがBioworks株式会社です。同社はサトウキビ由来のポリ乳酸(PLA)に独自の植物由来添加剤を加えて改質した素材「PlaX™(プラックス)」を開発し、耐久性や抗菌性を兼ね備えた循環型の繊維製品を実現しました。本記事では、Bioworks株式会社の事業内容や創業の経緯、市場規模等について詳しく紹介します。

素材「PlaX™」とは?

(引用:PRTIMES

PlaX™ は、サトウキビやその他の植物由来原料を基にしたポリ乳酸(PLA)を使用しており、環境負荷の少ない素材です。これに加えて、Bioworksが独自に開発した植物由来の添加剤を加えることにより、従来のPLAが抱えていた耐久性や染色性などの課題を克服しました。

特徴

CO₂排出量の削減
PlaX™は、ポリエステルと比較して製造時のCO₂排出量を最大41%削減できるとされています。これにより、環境に配慮した製品を大量生産することが可能になります。

生分解性
使用後は、微生物により自然に分解され、最終的には水とCO₂に戻ります。この特性により、製品の廃棄時に環境への影響を最小限に抑えられます。

ケミカルリサイクルの可能性
PlaX™は、廃棄された後でもリサイクルしやすい素材であり、ケミカルリサイクル技術を通じて再利用が可能です。

このように、PlaX™は環境負荷の削減に貢献する素材として、世界的に注目されています。

社会的意義と市場における革新性

PlaX™は、単に「環境に優しい素材」という枠を超え、繊維業界全体の変革を促す可能性を秘めた素材です。その理由は、環境に配慮するだけでなく、品質と実用性を高いレベルで両立させているからです。例えば、PlaX™は耐久性や染色性が高いため、日常的に使用されるアパレルや生活用品に使用することができます。

加えて、PlaX™を採用することで、企業は環境に対する取り組みを具体的に証明でき、消費者のエコ意識にも訴求することができます。これにより、サステナブルな消費行動を促進し、業界全体の変革を加速させる力を持っています。

事業内容:PlaX™の製品展開と用途

(引用:公式HP

PlaX™は、国内外の大手ブランドでも採用が進んでおり、その実用性と環境性能の高さが高く評価されています。

【採用事例】

  • THE NORTH FACE / NEUTRALWORKS.
    PlaX™を使用したボアフリース製アウターが2025年秋冬コレクションで初採用されました。
  • emmi(レディースブランド)
    PlaX™を使用した25年春夏コレクションが展開され、製造工程のCO₂排出量を削減するプロジェクトも併せて進行中です。
  • SHIPS
    2023年春夏コレクションでは、PlaX™を使用したメンズ・ウィメンズアイテムが発売され、消費者から好評を得ています。

これらの採用事例は、PlaX™の実用性を証明するとともに、サステナビリティを重視する消費者層からも注目されています。

新たな用途開発と市場の拡大

PlaX™はアパレルや日用品にとどまらず、新たな用途開発が進んでいます。例えば、リフレクターファブリックとしての応用が進み、反射材ブランドへの導入が進んでいます。さらに、接着芯などの工業用素材にも使用が広がっており、繊維業界以外でもその適用範囲が拡大しています。

創業の背景と経緯

(引用:PRTIMES

Bioworks株式会社は2015年に設立され、今井行弘氏のビジョンのもと、環境に優しい新素材の開発を進めてきました。彼は、プラスチック業界における環境問題に強い危機感を抱き、石油由来の素材から脱却し、持続可能な素材の開発に取り組みました。
設立当初から、ポリ乳酸(PLA)を基にした素材開発に注力し、PlaX™の誕生に至りました。その後、2021年には繊維業界への進出を決定し、これまでの製品開発を新たな市場に適応させました。
創業以来、同社は「素材から環境と社会の循環をつくる」というミッションのもと、素材開発、サステナブルなサプライチェーンの構築、ケミカルリサイクルの実装可能性といった領域へ取り組んでいます。2025年3月には、「Progress Report 2025」を発行し、LCA分析や循環型社会実現に向けた戦略を公開しています。

近年は海外展開にも力を入れており、2023年7月にはフランス・パリの国際テキスタイル見本市「Smart Creation」に日本企業として選抜出展され、欧米のラグジュアリーブランドから注目を集めました。さらに2025年5月には初の海外拠点となる台湾支店を設立し、現地繊維企業AceGreenと提携して長繊維(フィラメント)製品のグローバル展開を開始しています。また、環境新素材を手掛ける株式会社TBMやスポーツアパレル大手ゴールドウインなどが主要株主として名を連ねており、産業界からの期待も大きい企業です。創業者のビジョンである「捨てるものづくりから循環し続けるものづくりへ」を体現すべく、現在は新素材PlaX™の普及と循環インフラ構築に向けて事業を加速させています。

市場規模

石油由来プラスチックの世界生産量は年間4億トンを超える規模に達していますが、そのうちバイオプラスチックは全体の約0.5%に過ぎません。しかし環境規制の強化や企業のESG推進を背景に市場は急拡大しており、世界のバイオプラスチック市場規模は2025年に約186億ドル、2032年には673億ドルに達する見通しです。年平均成長率(CAGR)にして20%前後という高い伸び率が予測され、特に包装資材や繊維分野での需要拡大が期待されています。実際、欧州バイオプラスチック協会の予測によれば世界のバイオプラスチック生産能力は2023年の約218万トンから2028年には約743万トンへと3倍以上に増加する見込みです。

(引用:矢野経済研究所


日本国内でも2021年時点で約4.2万トンだったバイオプラスチックの年間販売量が2030年には約8.1万トンに達すると予測されています。ファッション業界でもサステナビリティへの取り組みが必須となりつつあり、環境に配慮した素材への置き換えニーズが高まっています。
Bioworksが開発するPlaX™も、石油系ポリエステル繊維の代替素材として国内外のアパレルブランドから採用が進んでいます。環境意識の高い欧米市場では価格面のハードルが低く、持続可能な繊維素材としてPlaX™に対する関心は特に強い状況です。今後さらなる市場拡大に伴い、PlaX™が繊維業界における新たなスタンダードとなる可能性も十分にあるでしょう。

会社概要

  • 会社名:Bioworks株式会社
  • 所在地
    本社・研究所
    〒619-0237 京都府相楽郡精華町光台1-7
    けいはんなプラザラボ棟7F
    東京オフィス
    〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2
    東宝日比谷ビル7F
    台湾支店
    23F-1, No. 218, Section 1, Wenxin Road, Nantun District,
    Taichung City, Taiwan
  • 設立年月日:2015年10月21日
  • 代表者名:代表取締役社長 坂本孝治
  • 公式HP URLhttps://bioworks.co.jp/

まとめ

Bioworks株式会社は、環境に優しい素材「PlaX™」を通じて、持続可能な繊維産業の実現を目指しています。PlaX™は、その環境性能と実用性を兼ね備え、すでに大手ブランドに採用されるなど、業界内での評価が高まっています。今後も、循環型社会への移行を加速するため、Bioworksは新たな素材開発と市場展開を続けていくでしょう。Bioworks株式会社の持続可能な未来を支える革新に、今後も注目が集まります。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。Bioworks株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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