最終更新日 26/01/23
海外スタートアップ

画像認識AIでリテール革新!Fainders.AIの無人店舗ソリューション

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(引用:PR TIMES


小売業界では近年、人手不足と業務効率化が大きな課題となっています。少子高齢化が進む日本や韓国では特に深刻で、小売・サービス業では慢性的な人材不足に直面しており、解決策として無人店舗の導入が加速しています。従業員に頼らない店舗運営は、人件費の削減だけでなく、非接触ニーズの高まりにも応えるもので、コロナ禍を経てその重要性は一層増しました。こうした社会課題に対し、韓国発のスタートアップ「Fainders.AI」は、画像認識AI技術を駆使したリテールソリューションで挑んでいます。高度なカメラとAIを用いた無人店舗システムやAIセルフレジにより、レジ業務の無人化と店舗運営の効率化を実現しようとしています。本記事では、Fainders.AIの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。

事業内容①:AIセルフレジ 「VISION CHECK-OUT」

(引用:PR TIMES)

Fainders.AIが開発した次世代AIセルフレジ「VISION CHECK-OUT」。複数の商品をまとめて台に置くだけで、1秒以内にスキャンが完了し自動で買い物リストが作成されるため、素早く正確に会計を済ませることができます。7台のステレオカメラによる360度画像認識で高精度な判別を実現しており、パッケージが類似した商品でもサイズ違いを正確に見分けられる仕組みです。バーコードやRFIDタグを一切使わずに画像解析だけで商品を認識できる点が特徴で、包装されていないパンや果物など従来は扱いにくかった商品にも対応可能です。自社検証では認識精度99%以上を達成しており、実店舗での十分な実用水準に達しています。

解決する課題

「VISION CHECK-OUT」が解決する課題はレジ待ちの行列や人手コストの削減です。
会計処理が高速化することで顧客の待ち時間が大幅に短縮され、平均して10秒程度で購入手続きが完了する操作性が高く評価されています。従来型のセルフレジと比べて決済スピードが70%速く顧客回転率が向上し、導入店舗の売上機会損失を防ぎます。さらに、大量のカメラ映像をAIが分析することで万引きなど不正行為の検知も可能となり、店舗運営の安全性向上にも寄与します。
初期費用の負担なく導入でき、人件費を既存の30%程度まで削減できるため、中小規模店舗でも導入しやすいのもメリットです。コンビニエンスストアや駅売店、スポーツスタジアムの売店など、人手不足や混雑が課題となる様々な場面で、このAIセルフレジは威力を発揮すると期待されています。

事業内容②:無人店舗ソリューション 「WALK THROUGH」

(引用:公式HP

AI無人店舗ソリューション「WALK THROUGH」では天井のカメラと入口ゲートにより来店客が商品を選んで決済エリアに入るだけで会計が自動完了します。会員登録や専用アプリすら不要で、店に「入って・取り・出るだけ」で買い物が完了する手軽さが特徴です。複数のカメラ映像とスマート棚による重量検知を組み合わせ、誰が何を持ち出したかをリアルタイムに把握することでレジなし会計を実現しています。店舗入店時にクレジットカード情報を紐付ける仕組みで、不正持ち出し時には自動課金や映像確認も可能となっており、有人店舗と同等の安全性を確保しています。

「WALK THROUGH」は小売店舗の完全無人化を目指したソリューションで、人手不足の解消に直接貢献します。レジ対応スタッフを置かずとも運営できるため、店舗運営コストを劇的に削減可能です。基本オプションであれば初期費用0円で導入を開始でき、月々の利用料だけで展開できる料金モデルを採用しており、中長期的に人件費・運用費を最大90%削減できるとされています

事業内容③:小型無人店舗ユニット 「Micro Store」

(引用:PR Newswire

Fainders.AIは小型無人店舗ユニット「Micro Store」の提供も行っています。上の写真はジム施設内に設置されたMicro Storeの例です。約15平方メートル程のプレハブ型店舗をわずか1日で設置可能で、商業施設の空きスペースやオフィスのロビー、ジムの一角などをミニ店舗として有効活用することができます。実際にソウル市内のフィットネス施設内などに無人ミニ店舗「PX24」を複数展開しており、狭小空間でも収益化を図れる新しいリテールモデルとして注目されています。

資金調達:シリーズAで7億円を調達

Fainders.AIの共同創業者で代表取締役CEOを務めるハム・ミョンウォン氏。同氏は韓国科学技術院(KAIST)や米UCLAでコンピュータサイエンスを専攻し、サムスン電子での勤務経歴を持つ技術者です。2020年4月に韓国・ソウルでFainders.AIを創業し、AI技術による無人店舗ソリューションの開発に乗り出しました。その後、2021年7月にシードラウンドで6億ウォン(約6,000万円)の資金調達を実施し、事業開発を本格化させます。さらに2022年7月にはシリーズAラウンドで71億ウォン(約7億円)の資金調達に成功しました。出資者には韓国国内の有力VCが名を連ねており、この資金を元手に技術開発と事業拡大を加速させています。

シリーズA以降、同社は韓国内外で実証実験と店舗展開を急ピッチで進めました。2022年下期には京畿道板橋(パンギョ)の複合施設内に初の無人店を開設し、2023年には自社旗艦店「Super Swift」やGSリテール社との提携店舗をオープンするなど、実店舗での運用を通じてソリューションの精度と安定性を向上させました。実際に営業する店舗で得られたデータにより商品認識AIの精度は95〜99%に達し、世界の競合ソリューションと比べても遜色ないレベルへ短期間で高められていますこうした技術面の優位性も評価され、2025年には北海道が主催するスタートアップ支援プログラム「Hokkaido F Village X(HFX)」に採択されるなど日本市場での展開にも弾みがついています。

市場規模:リテールAI・無人店舗市場の動向

(引用:Grand View Research

世界のリテール向けAI・自動化ソリューション市場は、今後も飛躍的な成長が見込まれています。セルフレジ関連市場規模は2024年時点で約49億ドルですが、2030年には約104億9,000万ドルに達する見通しで、年平均成長率13.6%という安定した高成長が予測されています。また、レジなし決済を含む「無人店舗」分野に限れば、2024年の約662億ドルから2029年には約2,026億ドル規模へと拡大し、年平均25%前後もの急成長が続くとも報告されています。
この背景には、各国で小売業の人件費高騰や消費者の非接触ニーズ拡大があり、買い物の利便性向上と店舗運営効率化を両立する技術への需要が高まっているためです。実際、世界では既に数百店規模の無人決済店舗が存在しており、ある先行企業のシステムはグローバルで300店舗以上に導入されています。米国の大手IT企業が展開するレジ無し店舗はその革新性を示しましたが、導入コストの高さから小売業者にはハードルとなっていました。しかし、Fainders.AIのように低コストで導入可能なソリューションが登場したことで、アジアを中心に本格導入を検討する動きが活発化しています

会社概要

  • 会社名: 株式会社Fainders.AI
  • 所在地: ソウル特別市 瑞草区 瑞草洞 1338-11 511TOWER 13階
  • 設立: 2020年
  • 代表者: 代表取締役 ハム・ミョンウォン
  • 公式HP: https://fainders.ai/jp

まとめ

画像認識AIを用いた無人店舗ソリューションで、小売業界の課題に挑むFainders.AIをご紹介しました。人手不足やオペレーション効率化といった喫緊の課題に対し、同社の「VISION CHECK-OUT」や「WALK THROUGH」は有効な解決策となり得ます。実際にアジア各国で着実に導入実績を積み、技術面でも高い評価を得ていることから、今後さらなる展開が期待されます。日本市場でも実証実験を経て具体的な導入フェーズに入ろうとしており、私たち消費者の身近な店舗でこの技術に触れる日も近いかもしれません。Fainders.AIの挑戦は、小売の在り方に革新をもたらし、消費者にとっても便利でスマートな買い物体験を提供してくれるでしょう。なお、Fainders.AIは2027年までに世界300店舗以上へのサービス拡大を目指す計画を掲げており、海外展開と技術開発を一層加速させる方針です。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社Fainders.AIのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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