最終更新日 26/02/10
国内スタートアップ

【株式会社パワーウェーブ】走行中ワイヤレス給電が切り拓く充電レス社会

テクノロジーモビリティ・物流大学発
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(引用:PR TIMES

カーボンニュートラルの実現が世界的な課題となる中、電気エネルギーの供給インフラにも変革が求められています。現状では電気自動車(EV)や産業ロボットを充電する際、ケーブル接続や充電ステーションでの停車が必要で、生産性や利便性の面でボトルネックとなっています。
こうした課題に対し、株式会社パワーウェーブ「波動の力」を活用した広範囲かつ大電力のワイヤレス給電技術で解決を目指しています。同社はこの独自技術を社会に広げることで、「充電という概念のない社会インフラ」、つまり常に電力が満たされる世界を実現しようとしています。
本記事では、株式会社パワーウェーブの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。

事業内容①:走行中でも給電可能なワイヤレス電力伝送技術

(引用:PR TIMES

パワーウェーブは、電界結合方式と呼ばれる次世代のワイヤレス電力伝送技術を用いて、高周波の電界を介してエネルギーを送受信します。これにより従来は困難だった「広範囲での非接触給電」を実現しており、停止中だけでなく走行中のモビリティにも電力供給が可能です。たとえば道路に送電用の金属板を敷設し、EVが走行しながら受電できるインフラを構築すれば、走行中にバッテリー残量を気にせず移動を続けられる未来が期待できます。

非接触給電の有効性

①物流・生産現場の利便性向上
充電のために機器を停止させる必要がないため、連続稼働に貢献します。

②大きなコイルによる従来の近接給電の課題を克服
コイルを使用しないため、送電用インフラの構造が簡素化・低コストな設置・維持が可能です。

③自動運転車両や複数ロボットへの一括給電が可能に
送電範囲が広く多少位置がずれても給電可能であり、複数の機器を同時に認識して給電制御を実施できます。

事業内容②:多様なモビリティへの応用とサービス展開


パワーウェーブは現在、産業ロボットや小型モビリティへの実用化に重点を置いて事業を展開しています。
実際に大手企業と連携した現場実証も進んでおり、既に一部では無人搬送機やマイクロモビリティ向け製品の納入が始まっています。たとえば倉庫内の床に送電プレートを埋設し、フォークリフトや搬送ロボットが経路上で減速する際に充電を受け取ることで、バッテリー切れによる稼働停止を防ぐシステムが実現します。

(引用:PR TIMES

ユーザーのニーズに応じたサービス提供方法

サービス提供の形態としては、ユーザー企業のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。同社は50W、500W、1kW、10kWといった異なる電力容量に対応する給電ユニットを用意しており、目的に応じて送電側設備と受電機器を設計・設置します。例えば小型ロボットには数十ワット級、車両にはキロワット級のユニットを適用し、必要十分な電力を安定供給します。
導入先にとっては、「充電作業」そのものが不要になるため、日々の運用負担を大幅に軽減できます。加えて、ワイヤレス給電インフラは後付けや拡張が比較的容易で、既存設備のちょっとした改修で利用可能になる柔軟性もメリットです。他社との差別化という点では、国内に同様の走行中給電技術を手掛ける競合はほとんど存在せず、パワーウェーブはニッチ分野ながら世界的にも先駆的なポジションを築きつつあります。

資金調達:2026年にシリーズAで9.1億円を調達

株式会社パワーウェーブは2026年1月にシリーズAラウンドで総額9.1億円の資金調達を実施しました。調達手法は第三者割当増資です。
投資家からは「充電待機による生産性低下という深刻なペインを解決し得る画期的技術」「世界の産業インフラを刷新しうる可能性」など、高い期待が寄せられました。

(引用:PR TIMES

主な引受先

  • 東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)
  • 環境エネルギー投資
  • Archetype Ventures
  • NOBUNAGAキャピタルビレッジ
  • 信金キャピタル
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • 三菱UFJキャピタル

資金活用先

今回調達した資金は、製品開発の加速と量産体制の構築、そして市場展開の強化に充てられます。具体的には、AGVやAMRといった産業用途向けワイヤレス給電システムの製品化と量産準備を本格化し、実証実験から本導入への展開をスピードアップする計画です。さらに将来のマイクロモビリティやEV分野への応用拡大に向けて、新たなニーズ調査や技術開発、人材採用にも投資すると発表されています。

同社は豊橋技術科学大学発のテックベンチャーとして研究開発に強みを持ち、創業当初よりインキュベイトファンド等から支援を受けて着実に事業を成長させてきました。代表取締役CEOの種田憲人氏とCTOの阿部晋士氏を中心としたチームは、「いつか夢物語だと思われていた技術を当たり前にする」というビジョンを掲げており、今回の大型資金調達を契機にそれを「製品」という形で世の中に提供するフェーズへ進むと意気込んでいます。

市場規模

ワイヤレス給電市場は拡大期へ

(引用:矢野経済研究所

パワーウェーブが挑むワイヤレス給電の市場は、今まさに世界的に拡大期を迎えています。株式会社矢野経済研究所の調査によれば、2025年時点のワイヤレス給電世界市場規模は事業者売上高ベースで約6,269億円と見込まれています。さらに市場は今後10年以上にわたり高成長を続け、2035年には約1兆6,726億円規模に達すると予測されています。
わずか10年で市場規模が2.5倍以上に拡大する計算になり、専門家も「次の10年で最も注目すべき成長分野の一つ」と位置付けています。この成長を牽引するのは、スマートフォンなどの小型電子機器向けをはじめ、家電、産業機器、モビリティといった様々なアプリケーション分野でのワイヤレス給電技術の実用化です。

成長途上のEV向けワイヤレス充電システム

特にパワーウェーブが属する電動モビリティ(自動車・ロボット)領域でのポテンシャルは大きいと考えられます。現在、EV向けのワイヤレス充電システムは世界的にも研究開発や実証段階にあり、2024年時点のEVワイヤレス給電市場規模は約49億円に留まっています。しかし、商用車や業務用モビリティから徐々に導入が進むと予測され、2030年代半ば以降には走行中給電も含めた本格普及が始まる見通しです。
実際、日本でも2022年に関連法規制が整備されて以降、工場・物流・ビル管理向けの空間伝送型給電システムが市場に出始めるなど、新たな動きが活発化しています。今後は国際規格の統一や安全基準の策定など課題の解決とともに、都市インフラへの組み込みも進むと考えられます。都市全体が見えない電力ネットワークで繋がり、道路や建物が常に走行中の車両や機器にエネルギーを供給する世界――パワーウェーブが目指す「充電を意識しない社会」は決して空想ではなく、マーケットの成長トレンドがそれを後押ししているのです

会社概要

  • 会社名: 株式会社パワーウェーブ
  • 所在地:
    【本社】〒440-0091 愛知県豊橋市下五井町茶屋前24番地
    【大学ラボ】〒441-8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1 豊橋技術科学大学 B3棟201実験室
    【東京オフィス】〒108-6310 東京都港区三田三丁目5番27号 住友不動産東京三田サウスタワー10階 GROWTH三田内IF COMMUNE 
  • 設立: 2021年3月22日
        国立大学法人豊橋技術科学大学 (大学発ベンチャー認定 / 2021.4.15)
  • 代表者: 代表取締役CEO 種田 憲人、代表取締役CTO 阿部 晋士、大平孝
  • 公式HP: https://powerwave.co.jp

まとめ

広範囲ワイヤレス給電のパイオニアであるパワーウェーブは、「止まらないモビリティ社会」という新たなスタンダードを提案しています。同社の技術は、工場の自動化からスマートシティのインフラまで幅広い領域で活用が期待され、充電のために立ち止まる必要がない世界を現実のものにしつつあります。走行中給電という一見SFのようなコンセプトも、同社の着実な実証と資金調達によって着々と実用段階へと近づいています。今後は量産化やグローバル展開を通じて、国内外でこの技術がどこまで普及するかが注目されるでしょう。環境負荷の少ないエネルギー社会を実現する挑戦を続ける株式会社パワーウェーブに、ぜひ注目してみてください。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社パワーウェーブのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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