最終更新日 25/06/12
国内スタートアップ

働き方改革やコスト削減を実現!建設業界DXを加速するスタートアップ3選

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日本の建設業界は自動車産業に次ぐ約60兆円超の巨大市場ですが、IT化が遅れ生産性の低迷や深刻な人手不足が指摘されています 。紙の書類やFAXによる手続きが今も残り、建設業界のDXが喫緊の課題となっています。現場の効率向上や安全性確保のため、AIやクラウドなど最先端技術の活用が期待されていますが、他業界と比べ「建設テック」と呼ばれるITソリューションの浸透率は未だ低い状況です 。

こうした背景から、建設業界の課題解決に挑む建設スタートアップ企業が注目されています。大手ゼネコンや行政もスタートアップとの連携を進め、業界全体でDX推進への機運が高まっています。本記事では、以下の建設業界DXを牽引する国内スタートアップ3社を紹介します。それぞれの企業がどのようなサービスで現場の課題に挑み、どんな独自技術や実績を上げているのかを見てみましょう。企業ごとの個別記事もあるため、そちらも併せてご覧ください。

  • SORABITO株式会社
  • 株式会社フォトラクション
  • 株式会社EdgeLab

SORABITO株式会社 – 建機レンタル業務をクラウドで効率化

(引用:公式HP

SORABITO(ソラビト)株式会社は、2014年創業の建設業界DXスタートアップです。建設機械レンタル業者向けのクラウドサービス「i-Rental(アイ・レンタル)」を提供し、煩雑な建機レンタル業務の効率化を実現しています 。同社は一過性のプロダクトではなく、業界全体を長期的に支える「仕組み」をつくることを目標に掲げており、建設現場の生産性向上に貢献しています 。

「i-Rental」は建機レンタル会社と建設会社双方の業務をオンライン化するプラットフォームです。具体的には以下のような機能モジュールを備えています:

  • 「i-Rental 注文 」– 建設会社向けのオンライン注文アプリケーション。レンタル機材の電子カタログから見積依頼・発注・返却依頼までをスマホやPC上で完結でき、電話やFAX中心だった従来のやりとりを削減します。これにより「電話注文による伝達ミス」や「注文の言った言わないトラブル」を防止し 、現場担当者の負担軽減につながります。
  • 「i-Rental 受注管理」 – 建機レンタル会社向けの受注・在庫管理システム。複数拠点の在庫を一元管理し、予約重複や注文変更にもリアルタイムに対応することで、レンタル業者の業務効率を飛躍的に向上させます 。
  • 「i-Rental 点検 」– 建機レンタル会社における機械点検業務をデジタル化するシステム。点検記録や修理履歴をクラウド上で一元管理し、紙の点検表や写真整理にかかる手間を大幅に削減します 。過去の点検・修理履歴も機械ごとに即座に検索でき、保守の効率と精度が向上します 。

創業以来の累計資金調達額は約39億円に達しており、戸田建設住友商事といった大手企業からの出資・連携も得て着実に事業を拡大中です。今後は株主である商社のネットワークを活かしてアジア市場への進出も視野に入れており、成長する海外の建機レンタル需要にソリューションを展開していく計画です。SORABITOは建設業界の足腰を支えるレンタル領域でDXを推進することで、業界全体の効率化と持続可能性向上に寄与している注目企業です。

詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。


株式会社フォトラクション – 現場クラウド「Photoruction」で施工管理をスマート化

(引用:公式HP

株式会社フォトラクションは、建設現場向けクラウドサービス「Photoruction(フォトラクション)を提供する2016年創業のスタートアップです。「建設の未来をスマートにする」という理念のもと、現場作業の効率化や業務のデジタル化を支援するソリューションを展開しています 。主力プロダクトのPhotoructionは建設業界専用の統合クラウドプラットフォームで、工事写真や書類・図面の管理からプロジェクト進捗の可視化まで多岐にわたる機能を備えています 。従来は膨大な紙資料や手作業で行われていた施工管理プロセスをデジタル化し、現場の煩雑な作業を効率化するとともに生産性向上を目指しています 。

Photoructionの主な機能は、工事写真の自動整理・共有図面や書類のクラウド一元管理リアルタイムな進捗・タスク管理、そして近年重要性が増すBIM(Building Information Modeling)データへの対応です 。これらにより、関係者間で情報をスムーズに共有し、ミスや手戻りを防ぐことで工期短縮やコスト削減の効果ももたらしています 。実際に同サービスはゼネコン各社や専門工事会社など幅広いユーザーに支持され、今となっては国内で累計30万件以上の建設プロジェクトに導入されている業界最大規模のサービスです 。テクノロジーの力で従来比10倍以上の業務効率化を実現しうるとの評価もあり、施工管理におけるデファクトスタンダードの一つとなりつつあります 。

またフォトラクションは、製品力・提案力が評価され国土交通省の「インフラDX大賞」においてスタートアップ奨励賞を受賞するなど公的な認知も得ています。さらに2023年にはヒューリックなどからの資金調達も実施し、さらなるサービス強化と業界内外との協業によって「世界最大の建設プラットフォーム」を形成するビジョンを掲げています。実際、自社サービスの拡充のみならず他の建設テック企業や建設会社との連携を積極的に進め、業務標準の共通化やプラットフォーム間の連携にも注力しています。創業者の中島氏は「建設テック分野が新たな産業として成立する規模まで成長させる」必要性を訴えており、同社は業界全体を巻き込んだエコシステムづくりにも貢献しようとしています。フォトラクションは現場発の知見と先端ITを融合し、建設業界の働き方改革生産性向上を牽引する存在として今後も発展が期待される企業です。

詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。


株式会社EdgeLab – AIエージェントで遅れる建設DXに革新を

(引用:PR TIMES

株式会社EdgeLab(エッジラボ)は、東京大学発の建設テック系スタートアップです。建設業界に特化したAIシステムの開発に取り組んでいます 。2024年11月に創業したばかりの新鋭ながら、「建設業界でAIエージェントが当たり前に活躍する世界を実現する」というミッションを掲げ、遅れている建設現場のDXをAI技術で一気に推し進めようとしています 。具体的には、ChatGPTのような対話型AIエージェント画像解析AIを駆使し、現場監督の業務支援、安全管理の強化、施工図面チェックの自動化など、建設現場で生じる様々な課題にAIでアプローチしています 。

EdgeLabの大きな特徴は、その産学融合チームとコンサル型の導入支援です。同社には東京大学でAIを研究していたエンジニアや外資系コンサルティング会社出身者、さらに大手ゼネコン出身の一級建築士といったメンバーが集結しています 。高度なAI技術力と建設現場のドメイン知見をあわせ持つことで、単なる汎用AIツールではなく現場の実情に即したカスタムAIソリューションを設計・開発できる点が強みです 。

ビジネス面でも、EdgeLabは創業後スピーディーに成果を上げています。2025年5月にはシードラウンドの資金調達を実施し、創業半年程度でベンチャーキャピタルから出資を受けるという異例の速さで投資家の期待を集めました。調達額は非公表ながら数千万円規模とみられ、獲得した資金はAI開発エンジニアや建設分野の専門人材の採用強化、AIエージェント機能の高度化に充てられる予定です。さらに大手建設企業との提携を深め、本格導入案件の拡大や、新サービス開発、将来的には海外プロジェクトへのAI適用も視野に入れるなど、長期的な産業変革に挑む意気込みを示しています。

詳しく知りたい方はこちらの個別記事をご覧ください。


まとめ:建設DXが拓く未来とスタートアップの役割

今回紹介した3社はいずれも建設業界の非効率をテクノロジーで解決しようとしている点で共通しています。従来アナログ作業が中心だった建設業において、業務フローそのものを刷新し、働き方改革やコスト削減を実現する建設DXは今後さらに需要が高まり、市場が拡大していくことが予想されます。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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