最終更新日 26/05/21
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株式会社ワクワクするベルビアが挑む地方創生|茅野駅前に生まれた共創拠点「8Peaks living」

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(引用:公式ホームページ

地方都市の駅前空洞化は、長年にわたる全国共通の課題です。かつて賑わいの中心だった商業施設が時代の流れで役割を失い、空きスペースとして取り残されるケースは珍しくありません。一方、リモートワークの普及や二拠点生活の広がりを背景に、地方拠点へ新たな価値を見出す動きも加速しています。こうした潮流のなか、長野県茅野市の駅前再生に挑むのが株式会社ワクワクするベルビアです。同社は約2,000㎡の空間を交流・共創拠点へと再生し、地域と都市、ビジネスと暮らしを結ぶ街づくりに取り組んでいます。本記事では、株式会社ワクワクするベルビアの事業内容や資金調達動向、市場規模を詳しく紹介します。

事業内容:駅前再生から生まれた共創拠点「8Peaks living」

(引用:公式ホームぺージ

株式会社ワクワクするベルビアの中核事業は、長野県茅野市ちのに位置する駅前複合施設「8Peaks living」の運営です。2026年4月25日にグランドオープン。約2,000㎡の空間に、市民交流の「リビングエリア」、共創ラウンジ「KNOT LOUNGE」、ワークプレイス「KNOT OFFICE」、地産地消の「フードホール」、地元書店、観光発着機能などが一体的に整備されました。

施設名は茅野市の象徴である八ヶ岳の「8つの峰」に由来し、「KNOT」は英語で”結び目”を意味します。人と人を繋ぎ、新しいコミュニティの形を提案するコンセプトが込められました。

長年の空き床となっていたベルビア1階を、公民連携による駅前再生プロジェクトとして生まれ変わらせた点に、この事業の社会的意義が表れています。商業施設の単純な運営にとどまらず、地域の中心地を再構築し、市民・観光客・ワーカーが自然に交差する公共的な場をつくり出した点が大きな特徴でしょう。

事業内容①:会員制共創ラウンジ「KNOT LOUNGE」

(引用:毎日新聞

「KNOT LOUNGE」は、靴を脱いで”靴下”でリラックスしながら過ごせる会員制ワーキングスペースです。2つの開放的なラウンジ空間に加え、会議室、キッチン、カフェカウンターを備え、コミュニティマネージャーが淹れるコーヒーも楽しめます。

奥へ進むとキッチンスペースや会議室があり、窓越しに眺望できる守屋山の景色も魅力。コラボレーション企画が生まれるBIGテーブルや、会員同士でイベント利用できるキッチンを設置し、単なる作業場ではなく”プロジェクトが生まれる場”として設計されています。地域住民・移住者・ビジネスパーソンが自然に出会い、新たな挑戦が芽吹く土壌を育てる独自の価値を備えました。

事業内容②:個室完備のワークプレイス「KNOT OFFICE」

「KNOT OFFICE」は1名からチーム利用まで対応する個室型のワークプレイスで、全31室を展開します。共創ラウンジやイベント空間と連携した設計により、入居企業同士や地域との協業が自然に生まれる仕組みを整えました。

2026年5月25日に本格稼働を開始し、すでに半数近い区画で申し込みや具体的な相談が進行中。県内企業に加え、首都圏で活躍する企業の入居も決まっています。東京から電車や車で約2時間というアクセスの良さも追い風となり、二拠点生活やリモートワーク拠点を求める層から高い支持を集めています。

資金調達:創業者の経歴と事業拡大戦略

株式会社ワクワクするベルビアについて、外部からの資金調達ラウンドに関する公開情報は確認できません。そこで、創業者の経歴と事業拡大戦略を紹介します。

代表取締役の北原友氏は1984年長野県生まれ。日本大学で建築を学んだ後、インディーズバンドのドラマーとして全国ツアーやCDリリースを経験するユニークな経歴の持ち主です。その後、株式会社イマージに入社し、建築事業に加えて自社経営の飲食店5店舗・物販店舗・フィットネスジム・ホットヨガスタジオのブランドマネージャーを担当。2016年にはブランディング事例コンテストで大賞を受賞しました。

父親の体調不良を機に地元茅野市へUターンし、家業を継ぐ決意を固めます。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会のトレーナーも務め、ブランディング起点の店舗づくりを軸に活動してきました。

設立メンバーは北原友氏、矢﨑高広氏、会長の北原享氏の3名で、設立当初の資本金は69万円。「69(ロック)」な数字へのこだわりからスタートしたという、創業者のバックグラウンドを映すエピソードも残っています。

事業拡大の方向性として、「KNOTエコシステム」を軸に若手とシニア、地域と都市、ものづくりとITが結びつく”であい→むすび→ひらく”の循環を生み出し、八ヶ岳から世界への展開を目指します。施設運営はワクワクするベルビアが担当し、ワークスペース・ラウンジエリアの運営プロデュース協力は地場企業の株式会社Kotobitoが担う体制です。

市場規模:拡大するフレキシブルオフィス市場

世界市場の動向

(引用:FORTUNE BUSINESS INSIGHTS

グローバルなフレキシブルオフィス市場は2025年時点で450億2,400万米ドルと評価されており、2026年の519億9,900万米ドルから2034年には1,947億5,000万米ドルへ達すると予測されています。予測期間中のCAGRは17.95%という高水準です。

シェアオフィススペース市場規模も2024年に413億9,000万米ドルと推定され、2029年までに627億5,000万米ドルへ拡大、CAGRは8.67%で成長する見込みです。

国内市場と背景

日本国内でもコワーキングスペース市場は拡大傾向にあります。株式会社日本能率協会総合研究所のMDB Digital Searchによると、2026年度のコワーキングスペースを含むフレキシブルオフィス市場規模は2,300億円となる見込み。2020年度の実績が800億円だったため、コロナ禍前後で約4倍近い伸びが見込まれます。

背景にあるのは働き方の多様化です。ランサーズ株式会社の調査によれば、2024年時点の日本のフリーランス人口は1,303万人に達し、経済規模は20兆円を超えました。10年前と比較すると、人口は約39%、経済規模は約38%の成長を遂げています。

8Peaks livingのポジショニング

WeWorkやIWGなど大都市型の競合が都市オフィス需要に応える一方、8Peaks livingは市民×ビジネス×観光がゆるやかに交差する公共的拠点として整備された点に大きな差別化要素があります。駅直結のアクセス優位性を活かし、地域内外の事業者が交わる環境を創出することで、地方発フレキシブルオフィスの新たなモデルケースとなる可能性を秘めています。

会社概要

  • 会社名:株式会社ワクワクするベルビア
  • 所在地:長野県茅野市ちの3502番地1 ベルビア内
  • 設立年月日:株式会社ワクワクするベルビアとして法人設立(資本金69万円)
  • 代表者名:北原 友(きたはら とも)
  • 公式HP:https://wakubell.jp/

まとめ

株式会社ワクワクするベルビアは、長野県茅野市の駅前にある空き床を活用し、「8Peaks living」「KNOT OFFICE」「KNOT LOUNGE」という共創拠点を生み出しました。約2,000㎡の空間を交流・ビジネス・観光が交差する場へと再構築し、市民から首都圏ビジネスパーソンまで多様な人々が自然と出会う環境を整えています。

代表の北原友氏が掲げる”ワクワクするまちをつくる”というミッションのもと、八ヶ岳から世界へと広がる「KNOTエコシステム」が動き始めました。地方創生・働き方改革・コミュニティ形成という現代的なテーマを統合する取り組みは、全国の地方都市にとっても示唆に富むモデルといえるでしょう。入居企業や会員のネットワークがどう広がり、新しいプロジェクトが生まれていくのか、今後の展開に注目が集まります。

New Venture Voiceでは、こうした注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社ワクワクするベルビアのように国内外の面白い企業も取り上げていますので、関連記事もぜひご覧ください。

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