
慢性的な睡眠不足や睡眠の質の低下は、いまや深刻な社会課題です。日本国内における睡眠負債の経済的損失は年間約15兆円にのぼると試算され、ビジネスパーソンの多くが「眠れない夜」を抱えています。
そんな状況に一石を投じるのが、岩手県発のスタートアップ・株式会社Sottです。地元・東北産ホップを活用したオーガニックフレグランスで、眠る前の時間を「整えるリチュアル」へと変える試みを進めています。地域資源と現代人のウェルネスニーズを結びつけるユニークな取り組みは、業界からも注目を集め始めました。
本記事では、株式会社Sottの事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。
事業内容:東北産ホップで睡眠前の時間をデザインする
株式会社Sottは「大地のぬくもりに抱かれて、心と体がほどける夜を」をブランドビジョンに掲げ、睡眠の質に着目したオーガニックフレグランスブランド「Sott(ソット)」を展開しています。最大の特徴は、ビールの原料として知られる東北産ホップを主原料に採用した点。ホップには入眠作用やストレス軽減、女性ホルモンのゆらぎをサポートする成分など、多面的なウェルネス効果があるとされ、未病ケアに寄り添う素材として活用されています。

主力プロダクト:ピローミストとバスパウダー
主力商品「ピローミスト(DEEP Earthy/CALM Woody)」(30ml・税込5,830円)は、ベースとなるエタノールまで全て天然由来成分で設計された100%ナチュラル仕様。一日の終わりに枕やシーツへ軽く吹きかけると、眠りへ向かう時間に静かにスイッチが切り替わります。
一方の「Bath powder(入浴剤)」(50g・税込550円)は、とろみのある湯肌と炭酸成分が血管を広げ、入浴後もぬくもりを持続させる設計です。ピローミストとセットになったギフトボックス(税込8,800円)など、贈答用ラインナップも揃えています。2026年5月のポップアップでは新商品クラフトティーの先行試飲会も実施し、「香る・飲む・整う」という一連のナイトルーティンを五感で体感できる体験型ブランドへと進化しました。
既存のアロマセラピーとの違いとは?
一般的なアロマテラピー製品との違いは2点。第一に、東北産ホップという地方産業資源を活用した原料の独自性。第二に、「入浴〜就寝」の一連のナイトルーティンをトータルでデザインする体験型アプローチです。岩手県はホップ生産量が全国No.1ながら産業は縮小傾向にあり、新規就農者不足と収益性確保が課題となっています。Sottは「六次産業×D2C/卸売モデル」を確立し、ホップの高付加価値化と農家への直接還元を通じて、地域の一次産業を下支えする役割も担います。

ターゲット層は、忙しい毎日のなかで心身の疲れを感じているビジネスパーソンや、自然由来のウェルネス製品を求める層。香水のように強く主張せず、空間や身体に自然に溶け込む優しい香りで「ひと呼吸の余白」を届けるブランドコンセプトは、現代人の繊細なニーズに丁寧に応えています。
資金調達:創業者・高橋舞衣氏の経歴と事業展開フェーズ
創業者プロフィール:MBA取得後にUターン創業
代表取締役の高橋舞衣氏は1993年生まれ、岩手県北上市出身。早稲田大学大学院経営管理研究科(MBA)を修了後、新卒で大手HR企業に入社しました。その後、スタートアップ支援会社EXPACTのCOOとして資金調達・採用支援・組織構築に従事。豊富なスタートアップ支援経験を積んだのち、2024年8月にSottを創業しています。
起業の直接の契機は、代表自身が気づかないうちに身体を壊した原体験にありました。「忙しい日常のなかでも身体にそっと寄り添えるプロダクトを開発できないか」と模索するなかで出会ったのが、地元・岩手をはじめとする東北産ホップだったのです。22年間育ててもらった地元への恩返しとしてUターンを決意し、地域資源を活かしたウェルネスブランドの立ち上げに至りました。
販路拡大と最新ニュース
2025年9月30日には、ブランド第一弾プロダクト「ピローミスト」をクラウドファンディングサイト「Makuake」で先行販売開始。これが外部向け販売チャネルの第一歩となりました。盛岡アクセラレータープログラムにも参加し、専門家のメンタリングや地域ネットワーク構築を通じて事業基盤を強化しています。
2026年5月8日には、仙台市・藤崎百貨店にて発酵スキンケアブランド「1684 AZUMAMINE」との初の共同ポップアップイベントを開催(5月14日〜20日)。「香り」と「発酵」という異なるアプローチから整える体験を提案する東北発ブランドのコラボとして話題を呼びました。今後は宿泊施設・百貨店・サロンなど多様なチャネルで販路を拡大し、岩手発ブランドとして全国・海外展開を目指します。

市場規模:拡大する睡眠ウェルネス市場とSottのポジション
世界の睡眠市場は110兆円規模へ
Emergen Researchの調査によると、2023年の睡眠ビジネス市場は世界全体で約72兆円。健康意識の高まりや睡眠研究の進歩を背景に、年平均成長率6.3%で拡大し、2030年には110兆円規模に到達すると予測されています。
世界全体のスリープテック市場では、2024年に205億2,200万米ドルと評価され、2033年には646億9,180万米ドルへ成長する見込みです。特にアジア太平洋地域は年平均成長率が 10.5%と高成長が期待されており、日本市場の拡大余地は大きいといえます。
国内市場と社会課題
矢野経済研究所の調査では、国内スリープテック市場は2027年に160億円規模に達する見込みです。法人向けサービスや睡眠のエンタメ化が新たな成長ドライバーとなっています。一方、日本における睡眠不足・睡眠負債による経済的損失は年間約15兆円と試算され、対策ニーズは社会全体で高まっています。

Sottの市場ポジション
ミンテルジャパンのレポートでは、消費者は「睡眠習慣だけを変える」のではなく、「睡眠をより広範な健康やウェルネスと融合させて改善する」傾向が強まっていると分析されています。Sottが提案する「入浴〜就寝までのナイトルーティン全体をデザインする」アプローチは、このトレンドにぴたりと合致するものです。
消費者のメンタルヘルスやホリスティックなウェルネスへの意識の高まりにより、天然・オーガニックのエッセンシャルオイル市場も拡大中。地域資源活用・100%天然由来・体験型ブランドという独自性を備えたSottは、競争激しいウェルネス市場で明確なポジションを確立する可能性を秘めています。
会社概要
- 会社名:株式会社Sott
- 所在地:岩手県
- 設立年月日:2024年8月
- 代表者名:高橋 舞衣
- 公式HP:https://sott.jp/ja
まとめ
株式会社Sottは、東北産ホップという地域資源を活かしながら、現代人の睡眠の質という普遍的な課題に向き合うユニークなウェルネスブランドです。100%天然由来のオーガニック設計、入浴から就寝までを一貫してデザインする体験型アプローチ、地元産業の下支えという社会的意義。これらを兼ね備えた事業モデルは、単なる商品販売を超えた価値を生み出しています。
睡眠市場が今後さらに拡大していくなかで、Sottのように「自然と地域に根ざしたウェルネス」を提案する企業の存在意義は、ますます高まっていくでしょう。代表・高橋氏のUターン創業ストーリーや、香りと発酵のコラボレーションといった独自の取り組みからも、今後の展開に大きな期待が寄せられます。眠りに悩むビジネスパーソンの一夜にそっと寄り添うブランドとして、これからの成長を見守りたい企業のひとつです。
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