
医療現場では、少子高齢化に伴う人手不足と医療需要の増加が深刻な課題となっています。限られたスタッフが受付・予約管理・電話対応といった定型業務に追われ、本来注力すべき医療サービスの質にも影響が及びかねません。 こうした状況下、クリニック向けに24時間対応のAI受付チャット「SuguDesk(スグデスク)」を提供し、医療機関のノンコア業務を効率化しているのが株式会社exmore(エクスモア)です。
本記事では、株式会社exmoreの事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。
事業内容:クリニック向け24時間AI受付チャット「SuguDesk」

exmoreの「SuguDesk」は、医療機関の公式サイトに設置するAI問い合わせ対応サービスです。
診療時間・予約方法・アクセス・料金など、患者から寄せられる定型的な質問に24時間自動で回答し、クリニック受付業務の効率化を実現します。
医療現場の「ノンコア業務」を自動化
医療機関の受付には、電話や問い合わせフォームを介して似たような質問が繰り返し寄せられます。人手が限られる中でこうした対応はスタッフの負担となり、長時間労働や患者サービスの低下を招きかねません。SuguDeskはAIで問い合わせ対応を省人化し、スタッフが本来のコア業務に集中できる環境を整えます。
継続的なFAQ改善と安全設計
SuguDeskの特徴は、専任チームによるFAQ設計にあります。各クリニックへのヒアリングや公式サイトの情報をもとに初期データを構築し、その後もチャットログを活用して「よくある質問」を自動生成・改善していきます。導入して終わりではなく、運用を重ねるほど回答精度が高まる仕組みです。
医療的な判断は行わない設計となっており、診断に関わる質問には来院を促す案内にとどめています。生成AIによるハルシネーションが医療分野で懸念される中、安全性を担保した設計は大きな安心材料となるでしょう。
幅広い診療科での導入実績
美容皮膚科・歯科・内科など、すでに複数の診療科の医療機関で運用されています。既存の電子カルテや予約システムを置き換える必要はなく、公式サイトに追加設置するだけで導入できるため、低摩擦で始められる点も評価されています。CLINICSのようなオールインワン型プラットフォームとは異なり、「受診前の問い合わせ対応」に特化した軽量なSaaSとして、幅広いクリニックにフィットするサービスです。
資金調達:シードラウンドで事業拡大へ

exmoreは2026年5月にシードラウンドの資金調達をクローズし、2026年7月7日に正式発表しました。ラウンドの概要は以下の通りです。
- 調達日:2026年5月クローズ/2026年7月7日発表
- 調達方法:シードラウンド
- リード投資家:Oikaze Ventures
- 参加投資家:佐藤雄介氏、高槻洋介氏(個人投資家)
調達資金の使途
調達資金はまず、フラッグシッププロダクトである「SuguDesk」の機能開発と全国展開の加速に充てられます。すでに複数の診療科での運用実績があるなか、導入医療機関数のさらなる拡大を目指す方針が示されています。
加えて、SuguDesk以外の医療機関向けノンコア業務効率化プロダクトの研究・開発にも投資される計画です。具体的には、採用支援・事務代行・集患支援といった領域での新たなソフトウェアプロダクトが検討されています。
「医療DXの横展開」を見据えた戦略
exmoreは「誰もが安心して医療にアクセスできる社会」をビジョンに掲げ、受付・問い合わせ対応を起点に、医療機関が抱える幅広いノンコア業務にAIとソフトウェアで切り込む戦略を描いています。今回のシード調達は、その第一歩となる基盤づくりを支える資金と位置付けられます。医療DX市場における今後のプロダクトラインナップ拡充に、大きな期待が寄せられています。
市場規模:拡大する医療AIチャットボット市場
世界の医療向け対話型AI市場
世界の医療向け対話型AIソリューション市場は、2026年に約214億9,000万米ドル規模へと達し、予測期間中に年平均成長率25.7%で成長し、2033年までに1,067億米ドルに到達すると見込まれています。

AI医療チャットボット市場ではソフトウェアが2025年時点でシェアの64.27%を占めており、2031年まで年平均成長率26.92%での拡大が予測されています。フォーチュン・ビジネス社の別調査でも、2034年に126億3,000万米ドル規模、年平均成長率23.01%との予測が示されており、複数の調査機関が高成長を見込む結果となっています。
国内医療AI市場の動向
国内に目を向けると、医療AI市場は2026年時点で約2.5兆円規模に成長しています。AI問診、電子カルテAI、画像診断AIなど多様なカテゴリで急速に普及が進んでおり、日本の医療現場におけるDXは加速局面に入っています。
成長を後押しする要因
市場成長の主要因は、医療提供者の事務作業負荷を軽減するデジタル医療サービスの採用拡大です。チャットボットは患者受付、予約調整、フォローアップなどの業務を効率化し、医師や看護師が本来のケア業務に注力できる環境を整えます。政府による医療DX推進策も追い風となっており、SuguDeskのような受付特化型AIプロダクトの需要は今後さらに高まるでしょう。
会社概要
- 会社名:株式会社exmore
- 所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル 2F-C
- 設立年月日:2024年12月13日
- 代表者名:根来 杏奈
- 公式HP:https://exmore.jp/
まとめ
株式会社exmoreは、クリニック向け24時間AI受付チャット「SuguDesk」を通じて医療機関のノンコア業務を効率化するスタートアップです。医療的判断を行わない安全設計、専任チームによる継続的なFAQ改善、そして既存システムを置き換えない軽量なSaaS設計により、幅広い診療科で導入が進んでいます。
シード調達を経て、今後はSuguDeskの全国展開に加え、採用支援・集患支援など新プロダクトの開発も計画されており、「医療DXの横展開」を推進する存在として注目されます。少子高齢化が進む日本社会で、医療従事者の負担軽減と患者体験の向上を両立させるexmoreの挑戦は、今後ますます重要性を増していくはずです。
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