最終更新日 25/06/02
国内スタートアップ注目企業

【株式会社みんがく】教育DXを進める生成AI・オンライン学習室の注目企業

AI教育
Share this post
(引用:株式会社みんがく 公式HP)

昨今、学校教育の現場では、教師の長時間労働生徒の家庭学習不足が深刻な課題となっています。その解決策として、AI技術やオンラインプラットフォームを活用した教育DXが求められている状況です。

株式会社みんがくは、学校向けの生成AIプラットフォームスクールAI」とオンライン学習室サービス「みんがくLIVE」を通じて、こうした課題に挑むEdTechスタートアップ企業です。

本記事では、同社の提供する基本サービスに焦点を当て、その特徴や今後の展望について紹介します。

事業内容①:生成AI搭載の教育支援ツール「スクールAI」で学校DXを加速

(引用:PR TIMES)

スクールAI」は生成AIを活用した教育DX支援サービスで、先生向けには授業準備や教材作成をAIが支援し、児童・生徒向けには対話型の学習支援機能で思考力を深めるプラットフォームを提供します。自治体ごとの教育方針や学校のニーズに応じてカスタマイズ可能で、既に全国の学校で導入が進んでいます。

例えば教師はAIが自動提案する指導案やテスト問題を活用でき、生徒はAIとの対話を通じて探究課題へのヒントを得ることが可能です。これにより教材作成にかかる教員の負担軽減や、生徒一人ひとりに寄り添った探究学習サポートが実現し、教育現場の効率化・質の向上に貢献します。

実際、スクールAIの普及によって「社会課題である教員の業務負担軽減や教育現場の効率化」が進むことも期待されています。対象ユーザーは主に小中高等学校や教育委員会であり、経済産業省の「探究・校務改革支援補助金2025」にサービスが採択されたことで、2026年3月末まで全国の学校へ無償提供が可能となりました。

これにより学校現場は費用負担なく先進的なAIツールを導入できるチャンスを得ており、教育のデジタル化を促進する追い風ともなっています。

事業内容②:塾・学校向けオンライン学習室「みんがくLIVE」で家庭学習を習慣化

(引用:PR TIMES)

みんがくLIVE」は、「塾では勉強を頑張る生徒が、自宅に帰ると勉強しない」という多くの塾が抱える悩みを解決するために立ち上がった、業界初の合同オンライン自習室サービスです。

全国の塾講師・塾経営者らが協力して運営していたオンライン自習室プロジェクトが発展して生まれたサービスで、現在では学校など教育機関向けにも提供されています。専用のオンライン学習室は365日平日夜18時〜22時30分(休日午前にも開室)に開放されており、その時間帯は必ず管理人が常駐します。

生徒は自宅にいながら他の参加者から刺激を受け、管理人からの声かけで緊張感を維持しつつ勉強に取り組めるため、家庭学習の習慣化につながる仕組みです。各塾の先生側ではクラウド上で生徒の学習記録(ログ)をいつでも確認でき、従来は把握が難しかった家庭での学習状況を可視化できる点も特徴です。

このオンライン学習室サービスにより、塾や学校は自前で教室を開放したり人員を配置したりせずとも、生徒の家庭学習をサポートできます。生徒の学習量増加やモチベーション維持により学力向上が期待でき、塾であれば満足度向上による退塾防止にもつながるメリットがあります。操作面もシンプルで、生徒はPCやスマートフォンから学習室に入室するだけで利用可能です。

管理人による運営代行型のサービスのため導入ハードルも低く、利用料に対する効果(生徒の成績向上や継続率改善)という点でも費用対効果の高い取り組みと言えるでしょう。

資金調達:サクシード子会社化で事業成長を加速

(引用:PR TIMES)

みんがくは2021年5月の創業以来、オンライン自習室事業から出発して教育DXサービスを拡充し、業界内で徐々に注目を集めてきました。こうした中、2025年4月には東証グロース上場企業で教育人材支援大手の株式会社サクシード(証券コード:9256)からの出資を受け入れ、みんがくは同社の子会社となっています。

サクシードは教員の長時間労働問題に対応するICT支援事業や人材サービスなど4事業の柱を持つ企業で、生成AIで教育現場の課題解決を目指すみんがくとのビジョンが一致したことから子会社化が決まりました。この資本提携により、みんがくは事業成長に必要な資金を確保するとともに、サクシードとの協業によるシナジーでサービス普及を加速する狙いがあります。

実際、提携後は「教育特化の生成AI活用プラットフォーム『スクールAI』の普及を加速させ、教員の業務負担軽減や教育現場の効率化の実現」が目指されており、両社の協力による教育DXのさらなる推進が期待されています。

また、みんがくは創業間もないながら各種アワードで高い評価を受けています。

同社はこれまでにAsia EdTech Summit(AES)で金賞・銀賞を受賞し、日本eラーニング大賞では経済産業大臣賞を受賞するなど業界内で注目を集めてきました。また経済産業省のEdTech支援事業やGoogle for Startupsプログラム、Microsoft for Startups Founders Hub等にも採択されており、大学との共同研究や教育AIイベントの主催を通じて技術・知見を蓄積しています。

こうした実績が評価され、今回の出資・子会社化につながったと言えるでしょう。

市場規模:2032年までに世界の教育テクノロジー市場規模は約3,249億ドルに達する見通し

(引用:Straits Research「オンライン教育市場レポート」(世界)

オンライン教育(EdTech)市場は国内外で急成長を続けています。

世界の教育テクノロジー市場規模は2020年に約895億ドルに達し、以降2030年頃まで年平均19.9%のペースで成長すると予測されています。特にオンライン学習分野は2032年まで年率23.1%という高いCAGRで拡大し、2032年には市場規模が約3,249億ドルに達する見通しです。

日本国内に目を向けても、デジタル教育関連市場は2024年に約45億米ドル(約6,000億円)規模となり、今後2033年まで年平均8.4%で成長して約94億米ドル(約1.3兆円)規模に達すると予測されています。

このように市場全体が拡大基調にある中で、みんがくの事業ドメインである「教育×AI」領域への注目度も一段と高まっていると言えるでしょう。

みんがくは国内EdTechスタートアップの中でも、生成AIの活用にいち早く取り組んだ先駆者として独自のポジションを築いています。代表の佐藤氏自ら教育AIハッカソンやサミットを主催し、東京大学や東京学芸大学など複数の大学研究者と共同研究を進めるなど、産学官を横断した取り組みにも積極的です。また前述の通り各種アワード受賞や自治体からのサービス導入実績もあり、教育現場で高まるAI活用ニーズに対し、実践的なソリューションを提供できる企業として存在感を放っています。

会社概要

  • 会社名:株式会社みんがく
  • 所在地:東京都新宿区高田馬場1-4-15 大樹生命高田馬場ビル8階
  • 設立:2021年5月
  • 代表者名:佐藤 雄太
  • 公式HPhttps://mingaku.net/

まとめ

次世代教育のスタンダードを創る」というビジョンを掲げる株式会社みんがくは、生成AIやオンラインプラットフォームを通じた教育ソリューションをさらに発展させ、今後も提携企業とのシナジーや技術開発を通じてサービスを着実かつ継続的に拡充し続けていくでしょう。

今後はAI技術の進化に合わせてサービスを高度化し、学校教育から学習塾・家庭まで幅広い学習シーンを支えるプラットフォームへと成長していくことが期待されています。

こうした同社の挑戦には、教育関係者のみならず社会全体からも一層の注目が集まることでしょう。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社みんがくのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

目次に戻る

タイトルとURLをコピーしました