最終更新日 25/06/11
国内スタートアップ

メンタルケア×スタートアップ最前線!注目企業3社の革新事例

ヘルスケアまとめ記事
Share this post

近年、メンタルヘルス(心の健康)の問題が大きな社会課題として注目されています。世界保健機関(WHO)などの報告によれば、生涯で5人に1人が何らかの心の病気を経験するといわれるほど、誰にとっても身近な問題です。特にビジネスの現場では従業員のメンタルヘルス支援が企業経営の重要課題となっており、メンタル不調による生産性低下や離職リスクに備える必要性が高まっています。また市場面でも、世界的にメンタルヘルス関連の需要は拡大しており、ある調査では米国のメンタルヘルス市場規模が約80兆円を超えるとも報じられました。

こうした背景の中、デジタル技術を活用して心のケアを支援するメンタルケア系スタートアップが国内外で台頭し始めています。オンラインプラットフォームやAI(人工知能)を駆使した新サービスによって、これまで専門家にアクセスしづらかった人々にも手軽なデジタルメンタルヘルスのソリューションが提供されつつあります。

本記事では、メンタルケア分野で注目を集める以下のスタートアップ企業3社(国内企業2社・海外企業1社)を紹介します。それぞれの個別記事もあるためそちらも併せてご覧ください。

  • 株式会社Awarefy
  • 株式会社カケミチプロジェクト
  • Lyra Health

Awarefy(アウェアファイ):AI×心理学でセルフケアを支援

(引用:公式HP)

株式会社Awarefy(アウェアファイ)心理学とAIを組み合わせたデジタルメンタルヘルスサービス「Awarefy」を提供する日本発のスタートアップです。「大切と向き合う自分をつくる」をモットーに掲げ、ユーザーの毎日に寄り添うAIメンタルパートナーとしてセルフケアを支援しています。

スマートフォン向けの専用アプリを通じて、利用者は日々の出来事悩みそのときの感情を記録すると、AIが内容を分析・可視化して自己理解を促してくれるのが特徴です。状況に応じたメンタルケアの方法やエクササイズも提案してくれるため、忙しい日常の中でも手軽に心のコンディションを整える習慣づくりに役立ちます。

具体的には、チャットボットとの対話機能で感情や体調を記録・振り返りできるほか、心理の専門家が監修した瞑想ガイドやセルフケアのワークコンテンツもアプリ内で利用可能です。こうした機能により、自分のストレス状態を客観的に把握し、落ち込みや不安を軽減するトレーニングを日常的に続けられる点が利用者から評価されています。また、同社は2022年にGoogle Playベストアプリ「隠れた名作部門」で大賞を受賞、など、「Forbes JAPAN」にて「次世代インパクトスタートアップ30社」に選出、「Studio Design Award 2024」にてアウトカム賞を受賞するなど、サービスの質が高く評価されメディア掲載も相次いでいます。さらに近年では、企業向けメンタルヘルス支援サービス「Awarefy for Biz」の提供準備も進めており、職場で働く人々のメンタルケアにもソリューションを拡大する計画です。成長著しいAwarefyは2024年末約4億円の資金調達(シリーズA)を実施し、AI機能強化やリアルの相談拠点開設などサービス拡充に取り組んでいます。

詳しく知りたい方は、こちらの個別記事ご覧ください。

カケミチプロジェクト:児童向け訪問看護で「生きづらさ」に寄り添う

(引用:「ナンナル」公式HP)

株式会社カケミチプロジェクト(以下、カケミチプロジェクト)は、児童思春期のメンタルヘルス支援に特化した日本のスタートアップです。現代の日本では、不登校の児童生徒が年々増加し、いじめや児童自殺の深刻化も相まって、子どもの心のケアが大きな社会課題となっています。しかし児童精神科医の数は国内で約500名程度と非常に少なく、専門治療を受けるまで数か月待ちになるケースも珍しくありません。カケミチプロジェクトはこうした課題を解決するため2020年末に設立された企業で、日本初の児童精神科専門の訪問看護ステーション「ナンナル」を運営しています。

「ナンナル」では看護師や作業療法士といった専門スタッフが定期的に子どもの自宅を訪問し、本人と家族に寄り添ったメンタルケアを提供します。1回あたり30分以上、週1~2回のペースでじっくりと向き合うことで、クリニック外来では難しいきめ細かな支援を実現している点が特徴です。自宅という環境下で継続的にケアすることで、子どもの日常生活や家庭状況に即したサポートが可能となり、家族全体を含めたケア体制を築いています。現在、東京都内に4か所の「ナンナル」拠点を展開し、設立から累計28,000回以上の訪問支援を提供するまでに事業を拡大しました。このような革新的取り組みは高く評価されており、カケミチプロジェクトはForbes JAPANの「世界を変える次世代インパクトスタートアップ30社」にも選出されています。医療・福祉・教育を橋渡しする独自モデルで、メンタルヘルス分野の社会課題に挑むインパクト企業として注目を集める存在です。

詳しく知りたい方は、こちらの個別記事ご覧ください。

Lyra Health(ライラヘルス):企業と従業員をつなぐデジタルメンタルプラットフォーム

(引用:https://www.lyrahealth.com/

Lyra Health(ライラヘルス)は、米国シリコンバレー発の企業向けメンタルヘルス支援プラットフォームを提供するスタートアップです。元Meta(旧Facebook)のCFOが2015年に創業したことで話題となり、現在では評価額10億ドル超のユニコーン企業として知られています。

Lyra Healthのサービスでは、契約企業の従業員その家族オンラインで適切なメンタルヘルスケアを受けられるようサポートしています。具体的には、従業員がストレスや悩みについて専用アプリ上で簡単な質問に答えると、AIが内容を分析してニーズに合ったカウンセリングやコーチングのプランを提示します。マッチングされたセラピストやメンタルヘルスコーチとの1対1オンライン面談がすぐに予約・実施でき、忙しいビジネスパーソンでもスキマ時間に専門的な相談が可能です。

Lyra Healthは認知行動療法(CBT)など科学的エビデンスに基づいたプログラムを採用している点も強みで、従来の社員支援プログラム(EAP)では届きにくかった深刻なうつ病や不安障害のケースにも適切な治療アクセスを提供しています。また、サービス導入企業の従業員利用率が高いことや、有効性の高さからリピート契約が進むなど、ビジネス的にも成功を収めています。市場からの期待も大きく、2022年までにシリーズFラウンドまでの累計で約7億ドル約900億円超)の資金調達を完了しました。これは世界的にも最大級のメンタルヘルス系スタートアップの一つであり、その資金をもとにサービス拡充やグローバル展開を加速しています。デジタルメンタルヘルスのリーディングカンパニーとして、従業員の心の健康と企業の生産性向上を両立させるソリューションをグローバル規模で提供する存在といえるでしょう。

詳しく知りたい方は、こちらの個別記事をご覧ください。

まとめ:メンタルケア市場を拓くスタートアップの共通点と今後の展望

今回紹介した3社はいずれも、従来十分に行き届いていなかった領域に革新的なアプローチでメンタルヘルス支援を提供している点が共通しています。それぞれ対象とするユーザー層や手法は異なりますが、「テクノロジーや新モデルを活用して心のケアへのハードルを下げ、人々が抱えるメンタルヘルス課題を解決する」というミッションを共有していると言えるでしょう。

メンタルヘルス分野のスタートアップへの注目は今後ますます高まると予想されており、企業経営者や新規事業担当者にとっても、従業員のメンタルヘルス対策や関連サービスとの提携は無視できないテーマとなっています。ぜひ各社の詳細記事や関連情報もチェックしていただき、急速に進化するメンタルケア×スタートアップの動向を引き続き追ってみてください。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

目次に戻る

タイトルとURLをコピーしました