最終更新日 26/05/13
国内スタートアップ

株式会社マイベスト|月間3,000万人が使う商品比較サービスのAI時代戦略

システム開発・サービスライフスタイル
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(引用:公式HP

 ネット上には商品レビューや比較記事があふれていますが、「結局どれを選べばいいのかわからない」という悩みを抱えた経験は誰しもあるのではないでしょうか。情報量が増えるほど、信頼できる一次情報を見極めるのは難しくなります。生成AIの普及で、消費者の比較検討プロセスはさらに複雑化しているのが現状です。
 こうした課題に挑むのが、商品比較サービス「マイベスト」を運営する株式会社マイベストです。徹底した自社検証と独自の評価アルゴリズムによって「最高の選択体験」を提供し、月間ユニークユーザー数は3,000万を突破。日本人の4人に1人が利用するサービスへと成長しました。
 本記事では、株式会社マイベストの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。

事業内容①:自社検証に基づく国内最大級の商品比較メディア「マイベスト」

 「マイベスト」は、家電・日用品・化粧品・ファッションなど37カテゴリーにわたって商品を比較・検証する国内最大級の商品比較サービスです。同社施設での検証ランキング、売れ筋ランキング、専門家・タレントによる紹介コンテンツなど、多彩な切り口で「選択の悩み」をサポートします。

(引用:公式HP

 最大の特徴は、人的・時間的・金銭的リソースを惜しまず投下した徹底検証です。ドラム式洗濯機のような高額家電も社内で買い揃えて検証し、検証済み商品は2023年11月時点で約2,000ジャンル、累計購入数は3万個以上、商品購入には月間平均1,000万円を費やしているといいます。「ガイド」と呼ばれる専門知識を持つ社員が検証を担当し、各コンテンツに監修者を配置することで信頼性と専門性を担保しています。

 中立性を保つ仕組みとして、個人の主観による「絶対評価」ではなく、すべての商品を同じ軸で点数化する「相対評価」を採用。この評価手法は経済学者の坂井豊貴氏らと社会選択理論を応用して設計されたもので、各検証項目の満足度を「幾何平均」で算出します。「1項目でも致命的な欠点がある商品は総合評点が低くあるべき」という思想に基づき、2024年には特許も取得しました。

 ユーザー側のメリットも大きく、好みに合わせて「おすすめ順」「コスパ順」「○○な人向け」などにランキングをカスタマイズでき、自分に合った商品をすばやく見つけられます。認知度が低い商品でもランキング上位に紹介されると売上が急伸する「マイベスト売れ」現象が生まれ、同サービス経由の流通金額は2022年時点で月間64億円以上に達しています。

事業内容②:AIコンシェルジュ構想と消費者比較検討プロセスの解析

 マイベストは、生成AIの普及によって変化する消費者行動を捉えるべく、AI関連の取り組みも加速させています。すでに、のべ30,000商品以上の検証データベースから最適な商品を提案する「mybest GPT」を提供開始しているほか、大規模言語モデルを活用した対話型接客の概念実証も進行中です。
同社が目指すのは、ユーザーの好みと商品情報を熟知した「AIコンシェルジュ」がアプリ内に存在し、最適な選択を伴走する世界観。2025年9月には全社員を対象に月額10万円のAIエージェント利用補助制度を導入し、全社AI活用タスクフォースを立ち上げるなど、組織全体でAI活用を推進しています。

 外部からの評価も高く、Ahrefs社が2025年9月に公開した調査レポートでは、マイベストはGoogleの「AI Overviews」「AIモード」の双方で引用される主要ドメインとして認定されました。YouTubeやWikipediaと並び、AI検索が信頼する情報源に位置づけられています。

(引用:公式HP

 加えて同社は、Cookie規制や生成AI普及で見えづらくなった消費者の比較検討プロセスを解明するため、ヴァリューズ社と共同で消費者行動の分析にも取り組んでいます。マイベストが実施した「AI時代の買い物に関する調査」によれば、約5割がAIで選んで「後悔・失敗した」と回答し、AIへの信頼度は49.3%と全情報源中最下位でした。一方、「専門家・編集部が実際に商品を検証・比較した商品比較サイト」への信頼度は62.7%と高水準。AI時代だからこそ、人による検証データの価値が高まっていると言えます。

資金調達:LINEヤフーグループとの資本業務提携で成長を加速

 株式会社マイベストは、2020年6月にZホールディングス株式会社(現LINEヤフー株式会社)と資本業務提携を締結し、同社の連結子会社となりました。この提携によりヤフー株式会社との事業連携が進み、グループの総合力を活用した飛躍的なサービス展開が可能となっています。

(引用:page.line.me)

 現在の資本系列ではソフトバンクグループの傘下に位置づけられています。Yahoo!・LINE・PayPayといった日本最大規模のユーザー基盤を持つグループと連携することで、ユーザーデータと自社の商品データベースを掛け合わせ、パーソナライズされた選択体験の実現を目指しています。

創業経緯

 創業者である代表取締役CEO・吉川徹氏の経歴を紹介します。1985年生まれの吉川氏は慶應義塾大学経済学部を卒業後、大和証券SMBC(現・大和証券)でIPO引受業務に約6年従事。その後、株式会社カカクコムの新規事業準備室で事業責任者を経験し、マイベストを創業しました。

 創業のきっかけは、激務の中商品検索をしていた際に、「ネット検索で信頼できる情報にたどり着くことの難しさ」を痛感した経験でした。商品情報誌の最新性にも疑問を感じ、「選択」に特化した世界に通用するサービスを作ることを志したといいます。現在は経済学者の坂井豊貴氏、商品レビュー誌「MONOQLO」「家電批評」元編集長の浅沼伊織氏、消費者庁出身の弁護士である染谷隆明氏らも参画・協力しており、専門性の高い体制が築かれています。

市場規模:拡大を続ける比較検討領域とAI検索市場

国内EC・比較検討市場の現状

 マイベストが活躍するフィールドは、EC市場と比較検討メディア市場の交差点にあります。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によれば、2024年の日本国内BtoC-EC市場規模は26兆1225億円に達し、年々拡大を続けています。EC化が進むほど、購入前に「どの商品を選ぶべきか」を比較検討するニーズも高まり、商品比較メディアの重要性は増す一方です。

(引用:経済産業省

グローバルに拡大するAI検索・コマース市場

 世界的にも、AIを活用したコマース・検索市場は急成長しています。各種調査機関の予測では、生成AI市場は2030年に向けて年平均成長率は30〜40%台で拡大するとされ、検索行動そのものが大きく変化する見通しです。マイベストはこの変革期において、AI Overviews・AIモードの引用元として認定される「信頼できる一次情報源」というポジションを確立しつつあり、AI時代の情報インフラとしての可能性を広げています。

マイベストのポジションと成長余地

 2026年時点でマイベストの月間利用者数は3,400万人、月間セッション数は5,200万を突破し、国内最大級のサービスへと成長しました。さらに米国を含む8つの国と地域で海外展開を進めており、グローバルでも急成長を遂げています。「Googleが検索を、Amazonが購買を変えたように、マイベストは選択の領域を変える」というビジョンのもと、世界中で利用される生活インフラを目指す同社の市場機会は非常に大きいでしょう。

会社概要

  • 会社名:株式会社マイベスト
  • 所在地:東京都渋谷区
  • 設立年月日:2016年12月
  • 代表者名:代表取締役CEO 吉川 徹
  • 公式HPhttps://my-best.com/company/

まとめ

 株式会社マイベストは、徹底した自社検証と独自の評価アルゴリズムを武器に、月間3,000万人以上が利用する国内最大級の商品比較サービスを築き上げてきました。LINEヤフーグループの一員としてユーザーデータと商品データを掛け合わせ、AI時代における新たな「選択体験」の創造に挑戦しています。
生成AI普及により消費者行動が大きく変わるなか、人の手による検証と中立的な評価を貫く同社の姿勢は、むしろその価値を高めていると言えます。AIコンシェルジュ構想や海外展開の進展など、今後の動向からも目が離せません。

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