最終更新日 26/07/08
国内スタートアップ

日本メーカーの南米進出を加速するAndesの越境EC戦略とは

AIプラットフォームライフスタイル
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(引用:公式HP

日本国内市場が成熟するなか、海外、特に南米へ販路を広げようとする企業が増えています。とはいえ、南米最大の経済圏ブラジルは、高い輸入関税、複雑な通関、独自の決済慣習が立ちはだかり、「世界で最も難しい越境EC市場」と呼ばれてきました。

この構造的な壁に挑むのが、日系ブラジル人の藤田徹氏が創業したAndes株式会社(以下、Andes)です。同社は越境ECプラットフォーム「J-Planet」を通じて、アジアとラテンアメリカの経済距離をゼロに近づけようとしています。

本記事では、Andes株式会社の事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。

事業内容:ブラジル向け越境ECプラットフォーム「J-Planet」

(引用:PR TIMES

「J-Planet」は、日本や韓国のメーカーが最短30日でブラジル市場へ商品を届けられる越境ECプラットフォームです。従来、ブラジル向け輸出には最大60%に達する輸入税、煩雑な通関手続き、ポルトガル語対応、現地固有の決済インフラなど、越えるべきハードルが山積みでした。しかしJ-Planetは、物流・通関・決済・マーケティング・税制対応を一体化し、企業が「商品を預けるだけ」でブラジル7つのモールへ同時出品できる仕組みを構築しています。

最大の特徴は、ブラジルの簡易通関制度「PRC(Postal Remessa Correios)」に対応する唯一の日本発プラットフォームである点です。条件を満たす商品なら輸入関税0%で届けられ、ブラジルの消費者は国内購入と変わらない感覚で日本製品を受け取れます。現地法人を持たない企業でも、Amazonなど大手モールでは実現しにくい販売網を築ける点が、J-Planet独自の強みです。

料金プランも柔軟で、1商品から始められる「セラープラン」と、完全委託型でエンタープライズ向けの「ベンダープラン」を用意しています。越境EC初挑戦の中小メーカーから大量出荷を想定する大手企業まで、幅広い層に対応可能です。

さらにAndesは、AIエージェントを活用した次世代の買い物体験にも取り組んでいます。ユーザーが欲しい商品を伝えるだけで、商品の発見から価格・税の計算、購入、通関、配送までを一気通貫で自動実行する仕組みを構想中です。ブラジルではWhatsAppを通じた会話型の購買文化がすでに根づいており、AIエージェントとの親和性はきわめて高いといえます。日韓メーカーにとってラテンアメリカは既存売上と競合しない「純増市場」であり、参入コストを最小化できるJ-Planetは市場開拓の切り札となるでしょう。

資金調達:シードラウンドで累計2億4,000万円を達成

(引用:PR TIMES

Andesは2026年5月1日、シードラウンドのセカンドクローズを完了し、シード累計調達額が2億4,000万円に達したことを発表しました。

1stクローズでは第三者割当増資により1億円を調達、その後のセカンドクローズで累計2.4億円に到達しました。この過程で「LAUNCHPAD SEED 2025 Powered by 東急不動産株式会社」に出場し、審査員賞3位、東急不動産賞、オーディエンス賞のトリプル受賞を果たしています。

調達資金は、「J-Planet」の事業拡大、購買エージェントを実装する自社モバイルアプリの開発、初期コアメンバーの採用に充当される予定です。長期的には、物流・税務・法務・通関・ERPなどラテンアメリカ商業インフラ全体をAIエージェントが利用可能な形に抽象化し、「LATAM Agentic Commerce Protocol」としてオープンソース化する構想も掲げています。OpenAIやStripeらが推進するグローバル標準「Agentic Commerce Protocol(ACP)」との相互運用性を確保しつつ、ラテンアメリカ固有の制度に対応した次世代EC基盤の標準化を進める計画です。

【本資金調達概要】

  • 日付:2026年1月(1stクローズ)/2026年5月(セカンドクローズ)
  • 調達額:累計2億4,000万円
  • 調達方法:シードラウンド(第三者割当増資)
  • 調達先
    1stクローズ
    ・TRUST SMITH & CAPITAL 安藤
    ・Finance Ace.入江
    ・匿名海外VC
    セカンドクローズ
    ・デライト・ベンチャーズ(リード投資家)
    ・複数のエンジェル投資家

市場規模:急成長するブラジルEC市場

(引用:JETRO公式レポート

JETROの公式レポートによると、ブラジルのBtoC EC市場は、2019年の売上1,220億レアルから、2029年には約3倍の3,448億レアルへ拡大する見通しです。業界団体ABCommの予測によれば、今後も年10〜15%台の持続的な成長が続くとされ、南米最大のEC市場として世界中の企業から注目を集めています。

また、ブラジルには約270万人の日系人が暮らし、特にサンパウロ州を中心に日本文化や日本製品への親和性が高い市場が形成されています。ブラジル消費者の越境EC購入先としても、日本は中国(57%)、アメリカ(31%)に次ぐ第3位(8%)に位置し、地理的距離を超えた根強い需要があります。

会社概要

  • 会社名:Andes株式会社
  • 所在地:〒150-0041 東京都渋谷区神南1-11-4 FPGリンクス神南 5階
  • 設立年月日:2025年3月13日
  • 代表者名:藤田 徹
  • 公式HPhttps://andes.global/

まとめ

Andes株式会社は、越境EC「J-Planet」を通じて、参入困難とされてきたブラジル市場への扉を日韓メーカーに開こうとしています。日系人としてのルーツと日本発スタートアップの技術力を掛け合わせた挑戦が、南米の巨大市場をどう変えていくのか、今後の展開に期待が寄せられます。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

Andes株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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