
ChatGPTやGeminiといった生成AIが情報収集の入り口になりつつある今、検索エンジンで上位表示されるだけでは企業ブランドを守りきれなくなってきました。ユーザーはAIが提示する回答をそのまま受け取るため、その中で名前が挙がらなければ存在しないも同然の扱いを受ける時代がすぐそこまで来ています。こうした変化を受け、AI回答上での自社露出を「見える化」する新たなマーケティング領域が急速に立ち上がりつつあります。株式会社ipe(以下ipe)は、この課題にいち早く着目し、国産のGEO/LLMO分析ツール「AKARUMI」を開発・提供している注目のスタートアップ。本記事では、同社の事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。
事業内容:AI検索時代のブランド露出を可視化する「AKARUMI」

ipeが提供する「AKARUMI」は、ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claude・Google AI Overviewsなど主要な生成AI・AI検索において、自社ブランドがどのように語られているかを可視化する国産SaaSツールです。従来のSEOが「検索結果に載る」ことを目的としてきたのに対し、AKARUMIは「AIの回答文の中でどう扱われているか」を経営指標へと変換する点に大きな特徴があります。
具体的には、AI回答における「採用率」「表示順位」「言及文脈」を数値化し、競合ブランドとの比較を通じて自社の立ち位置を明確化します。加えて、AIが参照している元ページを特定する「ソース分析」、AIクローラーの挙動を解析する機能、過去の回答文を時系列で保存する「LLM回答アーカイブ」など、多角的な分析軸を備えています。
独自の強みと最新機能
AKARUMIの差別化ポイントは、国産ツールの中でも分析機能数が非常に多く、LLMO分析に特化した見やすい日本語UIを備えている点にあります。ITreviewでは満足度4.9という高評価を維持しており、「日本語での導入がスムーズ」「サポート対応が早い」といった声が寄せられています。
2026年5月にはキーワードと検討フェーズを入力するだけでプロンプトを自動生成できる機能と、AI検索需要を可視化する「AI検索スコア」機能を追加。同年8月には、分析データから最適なLLMO施策を自動提案する「AI施策提案」機能もリリースされました。言及率や順位が基準値を下回るとアラートを発火し、課題を自動抽出する仕組みも搭載されています。
ターゲットと利用メリット
主なターゲットは、大規模サイトを運営する企業や、ブランド認知を重視するBtoB・BtoC企業のマーケティング担当者。無料プランでは最大25プロンプトまで1日1回の計測が可能で、有料プランは3段階構成となっています。日本語サイト中心の運用を行う企業にとって、時差のない国内サポートと請求書払いに対応した国産ツールは、海外製にはない安心感をもたらします。
資金調達:13年のSEO知見を武器にSaaS事業へピボット
ipeについて、公開情報では明確な資金調達ラウンドは確認されていません。資本金は1,000万円、従業員数は51〜100人規模で、外部資本に依存しすぎず、既存事業の収益で新規サービスを立ち上げている点が特徴です。ここでは、AKARUMI誕生の背景となった創業者の歩みと事業拡大戦略を紹介します。
創業者のバックグラウンド
ipeは、代表取締役の沖田純一氏と土井直哉氏の共同創業により、2013年3月に設立されました。土井氏はデイトレーダーやアフィリエイターとしての活動を経て、SIer(CSK)、ベンチャー企業、フリーランスと多彩なキャリアを積み、起業に至ります。両氏はSEOコンサルティングのベンチャー企業で出会い、目先の数字だけを追う業界の風潮に違和感を抱いた末、「真にクライアントのためになるコンサルティングを提供したい」という思いで意気投合し、ipeを立ち上げました。
SEOからLLMOへの事業シフト
ipeは創業以来13年以上にわたり、大規模サイト・データベース型サイトを中心にSEO支援を行い、300社を超える企業を支援してきました。アンファー、LIXIL、ユーキャン、セイバンなど大手企業を主要取引先とし、コンテンツマーケティングやUI/UXコンサルティング、開発、広告運用へと支援領域を段階的に拡大してきています。
そして2026年1月、AI検索・LLM時代の到来を見据えて分析プラットフォーム「AKARUMI」を正式リリース。長年のSEO支援で培った知見をLLMO領域に転用する形で、SaaS事業へのピボットを進めています。継続率90%以上という数字が示すとおり、既存クライアントとの強固な関係を基盤に、着実な成長を遂げている点も強みです。
市場規模:急拡大するGEO/LLMO市場のポテンシャル
世界の生成AI市場は急成長フェーズへ

AKARUMIが属するAI関連市場は、世界的に高い成長が見込まれている分野です。総務省の情報通信白書によれば、世界のAI市場規模は2023年の約1,359億ドルから拡大を続け、2030年には約8,267億ドルと、2023年比で約6倍の規模に達すると予測されています。
国内のGEO/LLMO市場と競合環境
国内でも、AI検索対応マーケティング市場が急速に立ち上がりつつあります。2026年8月時点で、国産のLLMO/GEO対策ツールとしてはGenview、DolphinX AIO、AKARUMI、ミエルカGEO、SUPER ACT、User Insight、BringRiteraなどが台頭。海外ではProfound、Peec AI、OtterlyAI、AthenaHQといったツールが競合となりますが、いずれも英語UI・ドル建てが基本で、日本市場での定着には課題を抱えています。
AKARUMIのポジショニング
こうした市場において、AKARUMIは「幅広い分析軸」と「日本語UI・国内サポート」を武器に独自のポジションを築いています。特に、13年以上のSEO支援を通じて得た知見をLLMOに転用できる点は、他の新興ツールにはない強みです。日本国内のブランドマーケティング市場全体が数千億円規模とされるなか、AI検索対応領域はその一部として急拡大しており、AKARUMIが取り込める余地は非常に大きいと考えられます。
会社概要
- 会社名:株式会社ipe
- 所在地:東京都港区南青山 青山タワービル5F
- 設立年月日:2013年10月
- 代表者名:沖田純一、土井直哉
- 公式HP URL:https://ipeinc.jp/
まとめ
株式会社ipeは、13年以上のSEO支援で培った知見を武器に、生成AI時代の新たなマーケティング領域「LLMO/GEO」へ大胆にピボットを進めるスタートアップです。同社が提供する「AKARUMI」は、ChatGPTなどのAI回答上での自社ブランドの見え方を可視化し、経営指標へと変換する画期的なツールとして、多くの企業から注目を集めています。国産ならではの日本語UIと手厚いサポート、そして継続的な機能追加による進化のスピードは、今後さらに多くの企業のAI検索対応を後押しするはずです。AI検索が当たり前になる時代において、ipeが日本のブランドマーケティングをどう変えていくのか、その動向から目が離せません。New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社ipeのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。
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