最終更新日 25/06/23
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【株式会社タイミー】1000万人突破!スキマバイト市場で急成長の理由と未来戦略を徹底解説

ITアプリ開発人材
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(引用:PR TIMES

隙間時間に働けるスキマバイトの代名詞として、今や登録者数1,000万人を超えるまでに成長した株式会社タイミー

2017年の創業からわずか8年足らずで、アルバイト市場の常識を覆すほどの存在感を放つようになりました。

なぜタイミーは、ここまで急速に広まり、社会インフラとも言えるサービスへと進化したのか?そして、今後はどこへ向かおうとしているのか?

本記事では、タイミーの創業背景から成長の裏側、最新サービスや資金調達の状況、そして今後の展望までを詳しく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

タイミーとは

タイミー(Timee)は、スマートフォンのアプリでスキマ時間に働きたい人人手が欲しい企業を即時マッチングするサービスです。

利用者は履歴書や面接なしで好きな時間・案件を選んですぐ働き、勤務後すぐに報酬を受け取れます。一方、企業側も必要な日時やスキルを入力するだけで条件に合う人材を自動マッチングでき、最短1時間単位から当日採用・当日勤務が可能です。

この手軽さとスピード感により、学生や主婦、副業希望者など幅広い層に支持され、急な人手不足や繁忙期の穴埋めに役立つプラットフォームとなっています。ユーザーと企業がお互いに評価し合うシステムも導入しており、信頼性の高いマッチングを実現しています。

タイミーの特徴

引用元:https://corp.timee.co.jp/service/

タイミーは「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスです。業種は、飲食や物流、小売を中心に、ホテル、農業、ブライダルなどの多業種が掲載されています。マネタイズは主に、事業者から、ワーカーへ支払う報酬の30%にあたる額をサービス利用料として徴収することで行なっています。

以下がタイミーの特徴です。

「タイミー」の特徴ワーカーのメリット事業者のメリット
報酬の立て替え即時で報酬を受け取れる支払い事務の軽減
相互評価機能面接・履歴書が不要面接・履歴書が不要
充実した労務機能労務コストの削減
  • 報酬の立て替え
    「タイミー」はワーカーへの報酬を一時的に立て替えます。ワーカーはすぐに報酬を受け取ることができ、事業者は各ワーカーへの報酬とサービス利用料が毎月一括で請求され、支払い事務が軽減されます。
  • 相互評価機能
    ワーカーと事業者の相互評価機能により、面接や履歴書が不要です。アプリ上で、ワーカー・職場の客観的評価を見た上でマッチングすることができ、信頼性の確認ができます。
  • 充実した労務機能
    タイミーでは、事業者の様々な労務コストが削減されるシステムが搭載されています。
    • QRコードでの雇用契約締結
    • 労働通知書の自動生成
    • 源泉徴収不要
    • 社保適用・マイナンバー不要
    • 給与支払い報告書不要

創業経緯

(引用:Wantedly

株式会社タイミーは2017年8月に創業され、代表の小川嶺(おがわ りょう)氏が立教大学在学中に立ち上げました。小川氏自身は学生時代にアルバイトで感じた「求人応募から採用までの非効率さ」に着目し、「働きたいときにすぐ働ける環境を作る」というビジョンのもとサービス開発を開始しました。創業前にはアパレル事業の起業失敗も経験し、「経営者自身の熱意と市場ニーズの合致(創業者マーケットフィット)」の重要性を学んだといいます。タイミーのアイデアは小川氏の熱意と社会の課題が一致したもので、立ち上げ時から「一人ひとりが働きたいように働けるインフラを作る」という明確なミッションが掲げられました。2018年8月にサービス「タイミー」を正式リリースすると、当時22歳だった小川氏のもとにはサイバーエージェントの藤田晋氏ら先輩起業家からの出資支援が集まり、サービス開始からわずか1年で数十万ユーザーを獲得する順調なスタートを切りました。

爆発的な普及の理由とは?

タイミーが創業から数年で爆発的に普及しています。その背景には、戦略的側面社会的な追い風の両方があると考えられるため、その両面から解説していきます。

新市場開拓と、社会的な追い風

まず、タイミーはこれまでになかった「スキマバイト」という新市場を切り開き、そこで先行者優位のポジションを確立しました。短期・単発労働へのニーズは元々潜在的に存在しましたが、従来のアルバイト募集は手続きに時間がかかり即戦力確保が困難でした。タイミーはこの課題を解決し、「最短10分でマッチング成立・即日勤務」「勤務後即日払い」という他にない柔軟性を武器にユーザーと企業双方の支持を獲得しました。

また、サービス開始当初の2018年前後はちょうど日本で働き方改革や副業解禁の動きが進みつつある時期で、コロナ前から少子高齢化による人手不足も深刻化していました。こうした「Why Now(なぜ今このサービスが必要か)」の文脈があったことも、タイミー成長の追い風となっています。実際、飲食・観光業界がコロナ後に需要急回復する中で、物価高を背景に本業を持つ会社員が副業としてタイミーを利用し始めるケースも増え、ユーザー層が拡大しました。ワーカー登録者数は2024年12月時点で1000万人を超えています。

プロダクトの信頼性と仕組みの合理性

また、これだけのスケールに成長した要因として、利便性と信頼性を両立したプロダクトであることが大きいと言えます。互いの評価システムにより質の高いマッチングを維持し、採用企業は実際に働いた分の成果報酬のみ支払えばよい完全成功報酬型を採用するなど、無駄のない仕組みも企業利用のハードルを下げました。その結果、「タイミーで募集すれば安心」というブランドが醸成されつつあります。

徹底したマーケティングと現場主義

タイミー自身の成長戦略も功を奏しました。創業者の小川氏は「競合に圧倒的な差をつける」ため、売上がまだ数百万円規模の創業初期から大胆にマーケティング投資を行い、橋本環奈さん起用のテレビCMを業界の常識に先駆けて打ちました。これにより認知度が数ヶ月で5倍、10倍と急拡大し、競合スタートアップとの差を一気に広げています。同時に、小川氏自身が学生コミュニティでの影響力を活かし、初期ユーザー10万人規模までは広報・紹介を中心に低コストで獲得、その後は企業側の開拓に注力しました。

サービス認知が低いうちはウェブ広告よりテレビ・YouTube出演などPR露出で知名度を上げる戦略を採ったのも奏功し、短期間でユーザー基盤を築いています。プロダクト面でも改善を重ね、創業者自らプログラミングを学んで開発に関わるなど細部まで拘り抜き、ユーザー目線の使いやすさを追求しました。こうした泥臭い努力と迅速なPDCAが、利用者からの支持拡大と定着率向上に繋がったのです。

コロナ禍で示した柔軟な事業転換

さらに、タイミーは逆境への対応力も評価されています。2020年、新型コロナ禍で飲食業中心だった売上が一時3分の1以下に激減する危機に直面しましたが、すぐに方針転換を図りました。具体的には、コロナ下でも需要が衰えない物流業界小売業界へのシフトを急速に進め、飲食依存を下げる戦略を取ったのです。同時に「タイミーデリバリー」という新サービスを立ち上げ、デリバリー需要を取り込む挑戦も行いました。

これらの施策により業績はわずか半年でV字回復を遂げ、逆境下でも柔軟に事業モデルを変化させられる組織力を示しました。こうした成長戦略の巧みさ社会環境のニーズを捉えたタイミングが、タイミーをここまで大きく押し上げた成功要因と言えるでしょう。

利用シーンの広がり

タイミーはコロナ禍で物流業界小売業界へ新たに事業を展開していましたが、その後も導入先を着々と拡大し、2024年9月時点で136000社297000拠点に達しました。また、2025年時点現在さらに新展開を進めており、ホテル業界レンタカー業界、さらには農業分野にも進出するなど、新たな広がりを見せています。

さらに、日本全国に7つの拠点を設け、地方企業の開拓を進めるとともに大都市圏での積極的なテレビCM展開も行い、利用者層を都市部から地方まで拡大しました。従業員数は2025年6月時点で1500名を超え、サービス拡大を支える体制を強化しています。

最新のサービス

サービス機能面においても、最近追加・改善された注目機能があります。

バッジ機能

(引用:公式HP

2023年12月には、働き手のスキルや実績を可視化する「バッジ機能」が導入されました。

この機能により、ワーカーはタイミー上で得た評価や経験に応じてバッジを獲得し、自身のプロフィールに表示することが可能です。

これにより、地道なアルバイト経験が「実績」として可視化され、ユーザーのモチベーション向上や企業からの信頼獲得に繋がり、将来的なキャリア形成にも役立つ狙いがあります。

アルムナイ機能

(引用:PR TIMES

また、2024年4月には企業が自社の元従業員(OB・OG)に限定した求人を出せる「アルムナイ機能」も導入されました。

企業はタイミー上で自社OB・OGのグループを作成し、そのグループにのみ見える短期求人を掲載す。可能です。

この機能により、事情を熟知した元スタッフがスポットで戻りやすくなり、人材確保と活用の新しい形が生まれています。離職者側も、空いた時間に古巣で働けるため、自分のスキルを活かして収入を得る手段として好評を得ています。

ほかにもタッチでチェックインアウト機能ミッション機能など、ユーザーの利用を便利にする機能が次々と追加されています。

タイミーキャリアプラス:新たなキャリア支援サービス

(引用:公式HP

中でも注目すべき新サービスは、2024年2月に発表された「タイミーキャリアプラス」です。 これはタイミーでの短期就労経験を正社員採用につなげるマッチングサービスで、タイミー登録者(累計1000万人超)の中から、正社員就職を希望する人に対して、これまでの勤務実績や評価をもとに企業の正社員求人を紹介する仕組みです。

ユーザーは希望する企業で一定期間アルバイトとして実際に働き、その後双方合意すれば正社員として入社することができます。これにより、企業側はミスマッチを減らし、働き手側は自分の実績を活かして正社員へのハードルを下げられるというメリットがあります。実際に、大手物流の日本通運では、タイミーユーザーとして累計100時間以上働いた46歳の男性が正社員登用される成功例も出ています。

採用が決まれば、タイミーは紹介先企業から想定年収の30%を紹介手数料として受け取るビジネスモデルで、人材紹介事業としての収益を見込むことが可能です。小川社長はこの新サービスについて、「タイミーに並ぶ第二の柱になり得る」と期待を寄せています。また、ヒルトンやパレスホテルといった企業でも試験導入を開始しており、タイミーキャリアプラスは、単発バイト市場にとどまらず転職・採用市場にも事業領域を広げる重要な試みとなっています。

タイミーキャリアプラスは、単なる短期労働のマッチングに留まらず、キャリア支援へと提供価値を拡大し、今後の成長をさらに後押しするサービスとなることが期待されています。

資金調達:5年で約400億調達!東証グロース市場へ上場も

タイミーは、サービスローンチから5年ほどで約403億円もの資金調達に成功しています。注目すべきは、2022年11月の183億円、2023年9月の130億円の調達が、大手金融機関からの長期借入や融資枠の確保などによるもので、無担保・無保証かつ金利も年1.0%未満という大手企業並みの条件である点です。スタートアップが無担保・無保証でこれだけの金額を借入できるのは異例で、調達が成功した背景には、「成長の実績と、今後の成長の蓋然性の高さ」があるとタイミーCFOの八木智昭氏は語っています。

東証グロース市場への上場

(引用:日経ビジネス

またタイミーは、2024年7月26日東京証券取引所グロース市場へ株式上場(IPO)を行いました。上場により公募増資で新たな資金調達を行うとともに、株式公開企業となることでブランド信頼性の向上や内部統制の強化を図りました。上場承認時の有価証券報告書によれば、調達資金新規事業開発システム強化人材採用などに充当し、さらなる成長加速を目指すとしています。また、上場直前の2024年2月には戦略的資本提携として、物流大手4社(丸和運輸機関、セイノーHD、日本通運、福山通運)がタイミー株主に加わりました。これはタイミーが実施したセカンダリー取引(既存株の一部譲渡)によるもので、深刻な人手不足が懸念される物流業界と強固なパートナーシップを築く狙いがあります。上場に向けた準備段階でこうした業界リーダー企業の支援を取り付けたことも、今後の事業展開に向けた財務・戦略両面の追い風となりました。

実績:ワーカー数1000万人突破

(引用:公式HP

タイミーは2025年1月8日のプレスリリースで、サービス開始から今までに登録したワーカー数の累計が2024年12月時点で1,000万人を達成したと発表しています。2023年12月時点の667万人から、1年間で1.5倍に増加し1,000万人という節目を突破しましたが、登録ワーカー増加の勢いは衰えることなく、高水準で成長を続けています。今までになかった“スキマバイト”、“スポットワーク”という働き方の認知が広がり利用いただく機会が増加していること、また自治体との連携協定締結などを通して、都市部のみならず地方部での利用も着実に広がっていることなどが、この高成長の背景として考えられます。

(タイミー登録者数推移 引用:公式HP

今後の展望

(引用:https://note.com/jun_takeuchi0430/n/na4140a82701a

タイミーは、2025年10月期の戦略方針としてAA数AA当たりの流通総額稼働率を向上させ、スキマバイト市場で圧倒的なNo.1を維持することに加え、新規事業で非連続成長を生み出すことを掲げています。

(AA数:「アクティブアカウント数」の略で、サービスを利用している事業所の数を指します。)

1. 固定観念を超えたマッチング機会の創出

今期、タイミーが最も注力しているのは、「働きたいのに条件が合わず働けない」というミスマッチの解消です。
企業側が「深夜の求人は集まらない」などといった固定観念にとらわれている一方で、実際には多様な働き手が就業機会を求めています。
このギャップを埋めるのがタイミーの存在意義であり、求人側と働き手双方の視野を広げる介在価値を、今後さらに強化していきます。


2. 値引きではなく“選ばれる店舗”づくりの支援

飲食業界では、短期的な集客のために価格競争に頼る動きが加速していますが、タイミーはそれに代わる中長期的な顧客体験価値の向上を提案しています。
たとえば、清掃や非生産業務といった「見えにくいけれど店舗の印象に直結する仕事」を外部化し、正社員が本来注力すべきサービスや接客に集中できる環境を整えることが、結果として「また来たい」と思える店舗づくりにつながります。
働き手との協働を通じて、価格以外の“理由ある来店”を生み出すサポートに注力していきます。


3. 働き手の声を起点にした市場拡大と顧客価値の再定義

現在の労働市場は、企業主体から働き手主体へと大きくシフトしています。
タイミーは、面接不要・即日勤務といった利便性だけでなく、“誰もが働ける環境づくり”を目指しており、シニアや未経験者にも門戸を広げています。
実際に、ある企業では90代のワーカーが業務を担う例もあり、年齢や属性に関係なくマッチングできる現場力が強みです。
今後は、こうした成功事例をもとに、単なる「人材確保」に留まらず、「業績向上に貢献する人材活用」へと価値定義を広げていく方針です。


これら3つの柱を軸に、タイミーは“働く選択肢を広げ、企業と働き手の双方にとって豊かな未来を描ける仕組み”を、飲食業界をはじめとする現場に提案し続けていきます。今後さらなる成長が期待されるタイミーからますます目が離せません。

会社概要

  • 会社名:株式会社タイミー(Timee, Inc.)
  • 所在地:東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 35階(東京本社)
  • 設立:2017年8月
  • 代表者名:小川 嶺(おがわ りょう)
  • 事業内容:スキマバイトアプリ「タイミー」の企画・開発・運営
  • 資本金:36億3千万円(資本準備金含む、2023年8月現在)
  • 公式HPhttps://timee.co.jp (タイミー[働き手向け]公式サイト)/ https://corp.timee.co.jp (コーポレートサイト)

まとめ

本記事ではタイミーの急成長の背景と最新動向をご紹介しました。

「New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社タイミーのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。」

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