
2025年の訪日外国人客数は約4,268万人と過去最高を更新し、旅行消費額は約9.5兆円に到達しました。一方で現場は「言語の壁」「人手不足」「OTA(オンライン旅行代理店)への高額な手数料負担」に苦しんでおり、せっかくの需要を取りこぼす事業者が後を絶ちません。
この構造的な課題に挑むのが、株式会社ikuraです。同社はAIと世界最大のメッセージングアプリ「WhatsApp」を掛け合わせた多言語インバウンド対応プラットフォーム「AIインバウンド担当」を展開。問い合わせから予約・決済・アフターフォローまでを24時間・50言語で自動化し、観光・宿泊・飲食事業者の収益最大化を後押ししています。
本記事では、株式会社ikuraの事業内容、資金調達動向、市場規模を詳しく紹介します。
事業内容:AIインバウンド担当による多言語接客・予約の自動化
「AIインバウンド担当」は、訪日外国人対応に特化したAIエージェント型SaaSです。
世界で月間30億人以上が利用するWhatsAppや、訪日客が日常的に使うInstagram DMと連携し、問い合わせ・予約・決済・キャンセル・クレーム対応・レビュー収集までを一貫して自動処理します。

解決する課題:機会損失と人手不足のダブルパンチ

全国の観光事業者からは「英語対応できるスタッフがいないため夜間の予約を取り逃している」「OTAに頼ると手数料が重く利益が残らない」といった声が多く寄せられます。
ikuraはこれらを一挙に解消し、追加採用なしで24時間体制のインバウンド接客を可能にします。自社サイト、Google Maps、Instagram、AI検索、店頭QRコードなど、訪日客との接点をすべて「OTA手数料のかからない直販予約」への入口へ変換できる点も大きな特長です。
独自性:WhatsApp公式テックパートナー × 旅行業登録
ikuraはMeta社のテック・プロバイダーとして認定されており、欧米・豪州・アジア・中東の高付加価値層に標準的に使われるWhatsApp経由で直接リーチできます。第二種旅行業の登録も取得済みで、独自の体験予約システム・カレンダー・承認制受付を内蔵。JTBの予約プラットフォーム「BOKUN」とも連携し、予約・顧客情報・売上をチームで一元管理できます。AIは対応を重ねるほど学習し、対話データからニーズや成約傾向を分析。次の打ち手をデータドリブンに判断する仕組みも備えます。
ターゲットと導入メリット
体験ツアー、宿泊、飲食、テーマパーク、観光施設など、訪日客と接点を持つあらゆる事業者が対象です。導入により、営業時間外の予約機会創出、スタッフの業務負担軽減、OTA依存からの脱却、顧客体験の向上を同時に実現できます。実際に東京都のスマートサービス実装促進プロジェクト「Be Smart Tokyo」に採択され、新橋のフードエンターテインメントビル「グランハマー」への導入実績も生まれています。
資金調達:1.5億円の調達でAI機能強化と導入拡大へ

株式会社ikuraは、2026年6月25日に総額1.5億円の資金調達を実施しました。
調達概要
- 調達日:2026年6月25日
- 調達額:総額1.5億円
- 調達方法:第三者割当による新株予約権の発行
- 調達先:WPower Fund、HearstLab
調達資金の用途は、プロダクト開発・AI機能の高度化、営業および導入支援人材の採用、マーケティング・PR活動の強化です。なかでも、宿泊や飲食店を運営する中小企業・個人事業主への導入拡大に注力するとしています。
投資家からの評価
リード投資家の一社であるMPower Partnersは、「AIの進化はホスピタリティ業界に大きなディスラプションをもたらしつつあり、予約や問い合わせがOTAを介さずAI経由で直接行われる流れは今後加速する」とコメント。OTAに依存せず地域に収益を残す直販モデルにおいて、ikuraが「独占的なポジションを築きうる」と高く評価しています。
女性起業家への投資・支援活動を行う米国HearstLabは、国内第4号投資先としてikuraを選定しました。海外投資家からの評価は、グローバル展開を見据えるikuraにとって大きな後押しとなっています。
受賞・実績

2026年2月には、愛知県主催のビジネスプランコンテスト「AICHI NEXT UNICORN LEAGUE」最終審査会で第2位(賞金300万円)と「地域連携賞」をダブル受賞。全国200社以上の観光・地域事業者へのヒアリングを通じて磨き上げたソリューションが、現場の機会損失という課題への解として高く評価されました。
市場規模:拡大続くインバウンド市場と多言語対応ニーズ
訪日外国人市場は過去最高を更新中

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年の訪日外国人客数は約4,268万人で過去最高を記録。前年比で約580万人増加し、月別でもすべての月で前年を上回りました。旅行消費額は約9.5兆円(前年比+16.4%)に達し、2012年の1.1兆円からわずか13年で約8.6倍に拡大しています。
「東アジア偏重」から多市場分散へ
2025年は23市場のうち20市場が年間過去最高を記録し、欧米豪では訪日客数が2019年比で200%超に達する市場も出ています。市場構造が「東アジア偏重」から多市場分散へとシフトしており、より幅広い言語・文化への対応が不可欠になりました。
政府目標と多言語対応市場の将来予測
政府は「2030年に訪日客数6,000万人、消費額15兆円」という目標を掲げており、市場の成長スピードはさらに加速する見込みです。多言語対応市場は、2027年までに10兆円規模に達するとの予測もあり、予約導線における多言語・多チャネル対応は、売上機会と集客力を大きく左右する経営課題となっています。
ikuraのポジション
訪日客の予約行動は、従来のOTAからメッセージアプリやInstagram経由へと急速にシフトしています。WhatsApp公式テックパートナーとして50言語に対応するikuraは、この潮流の中心に位置し、AI接客×直販モデルという新カテゴリーの先駆者として、ユニークかつ強固なポジションを築いています。
会社概要
- 会社名:株式会社ikura
- 所在地:東京都(詳細は公式HPをご参照ください)
- 設立年月日:2021年
- 代表者名:中澤 英子(代表取締役社長)
- 公式HP:https://www.ikura.io/
代表の中澤英子氏は、香港・シンガポールで育ち、慶應義塾大学法学部を卒業後にソニー株式会社へ入社。海外マーケティングや韓国赴任を経てスタンフォード大学MBAを取得し、ソニー米国支社でグローバルブランディングを担当しました。その後、Point Taken, LLC、Dearest, Inc.を共同創業し、米国Forbes「Next 1000 Entrepreneurs」にも選出された連続起業家です。
まとめ
訪日外国人市場が過去最高を更新し続ける裏で、現場の事業者は「言語の壁」「人手不足」「OTA依存」という構造的な課題に直面しています。
株式会社ikuraが提供する「AIインバウンド担当」は、AIとWhatsAppという世界標準のインフラを組み合わせ、これらを一気通貫で解決する革新的なソリューションです。
1.5億円の資金調達を成功させ、国内外の有力投資家から高い評価を集める同社は、政府目標である「2030年訪日客6,000万人」時代に向け、地域の事業者と世界の旅行者をつなぐ重要なインフラとなる可能性を秘めています。テクノロジーの力で地域に価値を還元する同社の歩みから、今後も目が離せません。
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