最終更新日 26/08/20
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株式会社スカイディスクが挑む製造業DX|生産計画AIで中小工場を変革

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(引用:公式HP

日本の製造業を蝕む人手不足と就業者の高齢化。なかでも生産計画の立案は熟練者の経験と勘に強く依存する領域であり、属人化の解消は長年の宿題として残されてきました。既存の生産スケジューラは大企業向けの高額システムが主流を占め、中堅・中小企業には手を出しにくい状況が続いています。この構造的な課題に真っ向から挑むのが、福岡発のAIスタートアップ「株式会社スカイディスク」です。同社はAI×SaaSを武器に、製造現場のDXを誰もが取り組める形へ再定義しようとしています。本記事では、株式会社スカイディスクの事業内容や資金調達の動向、市場規模などを詳しく紹介します。

事業内容:AI生産計画SaaS「最適ワークス」で製造業DXを実現

スカイディスクの主力プロダクトが、製造業向けAI×SaaS型の生産計画自動立案システム「最適ワークス」です。2022年4月のリリース以降、大手から中堅・中小まで累計150社以上に導入され、製造業DXの新しいスタンダードとして急速に存在感を高めています。

「いつまでに、何個、何を作るか」をAIが瞬時に立案

最適ワークスは、オーダー情報を入力するだけで、設備稼働と人員配置の割付け計画をAIが自動立案します。従来この領域のシステム化には数千万円規模の初期投資と1年以上の開発期間、加えて整備されたデータが必要とされ、多くの中小製造業には手が届きませんでした。

一方の最適ワークスは、サブスクリプション型で提供され、低コストかつ短期間で導入できます。システムエンジニアを抱えていない企業でも、外部のSI企業に頼ることなく自社でデータ設定や更新ができる直感的なUIも大きな特長です。

(引用:公式HP

独自エンジンと特許出願技術による差別化

最適ワークスには、生産計画立案に特化した独自開発エンジンが搭載され、特許出願技術によってマスター設定にかかる手間を劇的に改善しました。製品ごとに柔軟な生産工程を作成できる機能を備えており、少量多品種生産にも対応します。

スモールスタートで大きな成果

システム化に必要なデータが十分に整っていない中小製造業でも、わずか2ヶ月足らずで運用を開始した事例があります。導入後には納期遵守率の向上、残業時間の削減、不良品率の低下、有給取得率100%達成など、経営指標に直結する成果が報告されています。

同サービスは「ASPICクラウドアワード2023」AI部門で総合グランプリを受賞し、経済産業省が選ぶ「行政との連携実績のあるスタートアップ100選」にも選出されるなど、社会的評価も高まっています。

事業内容②:地域金融機関との共創による全国展開

スカイディスクの戦略で特徴的なのが、地域金融機関との強固なパートナーシップです。国内製造業の拠点は全国の地域に数多く分布し、地方経済の中核を担っています。そこで同社は、地域企業と深く結びつく地方銀行との連携を積極的に進めてきました。

具体的には、西日本シティ銀行(福岡)、佐賀銀行、肥後銀行(熊本)、大垣共立銀行(岐阜)、碧海信用金庫などとビジネスマッチング契約や業務提携を締結。地銀傘下のベンチャーキャピタルを第三者割当増資の引受先として迎えることで、資本面でも地域と結びついています。

製造業の産業集積地である愛知県には、名古屋市の国内最大級オープンイノベーション拠点「STATION Ai」に支社を開設しました。福岡本社、東京、浜松のサテライトオフィスに続く4拠点目です。大阪府とは事業連携協定を締結し、「大阪府DX推進パートナーズ」にも参画しています。

事業会社との協業も加速しています。株式会社プロジェクトカンパニーとはDX企画・実行推進とAI SaaS提供を組み合わせた中小製造業支援を、ホンダトレーディングとはIoT導入サポートやサプライチェーン可視化に向けた実証実験を海外拠点で開始しました。地域と業界の垣根を越えた共創モデルは、スカイディスクの成長エンジンとなっています。

資金調達:東京ガスによるグループ会社化で新章へ

スカイディスクは、2025年7月25日付で東京ガス株式会社との資本業務提携を発表し、東京ガスが同社株式の過半を取得してグループ会社化しました。既存株主も引き続き参画する形です。

東京ガスとのシナジー

今回の提携により、東京ガスが展開する製造業向けソリューション「Joyシリーズ」との販売連携、顧客・代理店ネットワークを活かした「最適ワークス」の販売促進、人材交流による営業・開発シナジー創出など、包括的な連携が推進される予定です。エネルギー大手のネットワークを得ることで、全国の製造業へのリーチが飛躍的に広がると見込まれます。

これまでの調達実績

直近の大型資金調達は2023年5月に実施されました。DG Daiwa Ventures、NCBベンチャーキャピタル、佐銀キャピタル&コンサルティング、ゼンリンフューチャーパートナーズ、肥銀キャピタルなどを引受先とする第三者割当増資に加え、日本政策金融公庫・あおぞら企業投資からのデットファイナンスを含め、総額約8億円を調達。累計資金調達額は約25億円に達しました。

同社は日経新聞社のNEXTユニコーン調査に2017年から5年連続で選出されるなど、国内スタートアップシーンで長期的な注目を集めてきた存在です。今回の東京ガスとの提携は、単なる資金調達を超えて事業成長を加速させる、戦略的マイルストーンといえるでしょう。

(引用:公式HP

市場規模:工場DXは2兆円市場へ、世界の製造業AIはCAGR35%

国内の工場DX市場は2兆円規模へ

矢野経済研究所が2025年4月に発表した調査によれば、国内の工場DX市場規模は2023年度に1兆7,670億円、2030年度には2兆1,800億円へ拡大すると予測されています。自動車を中心とする製造業での旺盛な投資、半導体工場の国内新設、製造業の国内回帰といったトレンドが追い風となっています。

富士キメラ総研の調査でも、2024年度の製造業におけるDX関連投資額は前年度比22.2%増の見込みとされ、人手不足や高齢化への対処として投資は今後も拡大していく見通しです。

世界の製造業AI市場はCAGR35.3%で急拡大

視野を世界に広げると、「AI in Manufacturing(製造業向けAI)」市場は2025年の341億ドルから2030年には1,550億ドルへ成長し、CAGR(年平均成長率)35.3%という驚異的なペースで拡大すると予測されています。

「隠れた巨大市場」に挑むスカイディスク

スカイディスクによれば、生産計画領域の国内市場規模は約1兆円、周辺領域まで含めれば数兆円規模に上ります。同社はこの領域を、30年ほど大きなイノベーションが起きていない「隠れた巨大市場」と位置づけています。

従来の生産スケジューラは大企業向けの高額・高難易度な製品に偏り、中堅・中小製造業には手が届きませんでした。最適ワークスはSaaS型・低コスト・短期間導入という軽量アプローチで、この空白領域を切り拓くポジションを確立しています。東京ガスとの提携で販路が広がれば、市場獲得のスピードもさらに加速していくでしょう。

会社概要

  • 会社名:株式会社スカイディスク(SkyDisc Inc.)
  • 所在地:福岡県福岡市中央区渡辺通5-10-18 ibb Bloom Tenjin 101
  • 設立年月日:2013年10月
  • 代表者名:代表取締役CEO 内村 安里
  • 公式HPhttps://skydisc.jp/

まとめ

株式会社スカイディスクは、AIとSaaSの力で製造業の生産計画DXという「隠れた巨大市場」に挑み続けるスタートアップです。累計150社以上への導入実績、地方銀行や事業会社との共創モデル、そして東京ガスとのグループ化という節目を経て、次の成長ステージへ踏み出しました。

人手不足や技能承継といった構造的な課題を抱える日本の製造業にとって、スカイディスクの取り組みは単なる業務効率化にとどまらず、地域産業の持続可能性そのものを支える意義を持ちます。東京ガスとの連携によって全国へと導入が広がれば、日本の「ものづくり」の在り方を大きく変える存在となるかもしれません。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社スカイディスクのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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