最終更新日 26/07/24
国内スタートアップ

株式会社Doogの協働運搬ロボット「サウザー」が物流自動化を変える理由

製造
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(引用:公式HP

現代ではEコマース市場の拡大、2024年問題による労働時間規制、深刻な人手不足——物流業界ではこれらが重なり、現場の自動化が待ったなしの状況となっています。工場や倉庫、整備場での「モノを運ぶ」作業は今なお人手頼みが多く、非効率が大きな課題です。

この現場課題に挑むのが、筑波大学発ベンチャーの株式会社Doog(以下Doog)です。同社が開発する協働運搬ロボット「サウザー(THOUZER)」シリーズは、すでに国内外200社以上に導入されています。人が働くすぐそばで安全かつ確実に動くロボットを、汎用かつ普及価格帯で届けるという独自路線が特徴です。

本記事では、Doogの事業内容や資金調達動向、市場規模について詳しく紹介します。

事業内容:協働運搬ロボット「サウザー」シリーズによる現場の自動化

Doogの主力事業は、協働運搬ロボット「サウザー(THOUZER)」シリーズの開発・製造・販売です。工場・倉庫・整備場・作業現場など、人が働く現場で「モノを運ぶ」作業を自動化するソリューションを提供しています。

(引用:RoboStep

3つの走行モードで多様な現場に対応

サウザーの最大の特徴は、自動追従・ライントレース・メモリトレースの3つの制御方式を1台で切り替えられる点です。なかでもメモリトレース機能は「教示再生」と呼ばれるDoog独自の自律走行技術で、作業者が一度歩いてルートを教えるだけで地図と経路が構築されます。速度や一時停止、外部機器の制御なども同時に記憶できるため、専門技術者やPCによるマップ編集は不要です。

ラインナップと基本性能

サウザーEシリーズは、「サウザーミニ」(積載60kg・牽引150kg、横幅45cm)、「サウザースタンダード」(積載120kg・牽引300kg・最大速度7.5km/h)、「サウザージャイアント」(積載300kg)の3サイズを展開。スタンダードモデルであれば、荷台への積載と牽引を合わせて最大420kgの搬送に対応します。レーザセンサで周囲320度の距離データを取得し、独自アルゴリズムで解析することで安全性と俊敏性を両立しました。

導入しやすさとカスタマイズ性

「サウザーベーシック」は200万円ほどで購入でき、毎月の維持管理費やサポート費用も発生しません。倉庫管理システム(WMS)との無線連携による自動配車、経路の分岐・合流を実現する「ハイウェイ機能」など、上位機能への拡張も可能です。中小の製造業者や物流事業者にも導入しやすい価格帯でありながら、大規模現場にも耐える拡張性を備えている点が、幅広い業界から支持される理由でしょう。

なおJR東海の車両基地をはじめとする整備場での活用実績も報告されており、鉄道・車両分野への展開も進んでいます。

自立型の黒字化戦略:大型調達に依存せず黒字化を実現する独自路線

Doogは、ロボットベンチャーとしては珍しく、大規模な資金調達や先行投資に頼らず、自社製品による独自のビジネスモデルで成長を続けています。すでに安定的な黒字化を達成していると公表しており、スケール拡大を急ぐより産業発展への貢献を重視した長期志向の経営が特徴です。

創業者・大島章氏の背景

同社を2012年に創業した大島章氏は、「人が仕事や生活をする近くで、安全かつ確実に動作する移動ロボットを開発する」というコンセプトを掲げて起業しました。2017年には筑波大学発ベンチャーとして正式承認を受け、大学発のロボット技術を実用化・普及させることをミッションに据えています。社名「Doog」には日本語の「道具」の意味を重ね、「Good(優れた性能)」「Dog(人の意志に従順に働く)」というニュアンスも込められました。

戦略的な提携ネットワーク

資金調達に依存しない代わりに、Doogは強力な提携ネットワークを築いてきました。ブルーイノベーションとは移動ロボットの自動制御・連携ソリューションを共同開発。2024年にはスズキ株式会社から電動モビリティベースユニットの試作機の貸与を受け、新たな協働運搬ロボット「サウザークロス」を製作しています。国内販売と保守についてはシャープマーケティングジャパンと協同し、全国エリアでのサービス提供体制を整備しました。加えて2024年、中小企業庁の「中小企業省力化投資補助金」において、サウザーは無人搬送車(AGV・AMR)カテゴリの製品カタログに登録され、公的支援策の追い風も受けています。

市場規模:拡大が続く物流自動化・ロボティクス市場

グローバル市場は10%超の高成長

Straits Researchによれば、グローバルの物流自動化市場規模は2025年は837億米ドル2034年には1,634億1000万米ドルへ、年平均成長率7.7%で拡大すると予測されています。アジア太平洋地域はCAGR13.8%で最速成長地域となる見込みです。

日本市場は労働力不足を背景に急拡大

日本市場の伸びはさらに顕著です。IMARC Groupのレポートによれば、日本の物流自動化市場は2025年に57.6億米ドルに達し、2020年の29.4億米ドルから96%拡大しました。2034年には192.3億米ドルに達すると予測され、2026〜2034年のCAGRは14.35%と見込まれています。

矢野経済研究所の調査では、国内の物流ロボティクス市場(事業者売上高ベース)は2024年度見込みで前年度比113.1%の404億3,000万円、2027年度に733億3,000万円、2030年度には1,238億円に達する見通し。深刻な人手不足、急速な高齢化、物流2024年問題に基づく規制義務が、この爆発的成長を後押ししています。

Doogのポジション

急成長市場のなか、Doogのサウザーシリーズは中小企業省力化投資補助金の無人搬送車カテゴリに登録され、15以上の国と地域で導入されるなど、汎用型・普及価格帯というユニークなポジションを確立しました。2020年の日本ロボット学会実用化技術賞、2021年のロボット大賞中小・ベンチャー企業賞をダブル受賞するなど業界内での評価も高く、今後の市場拡大局面で存在感を増していくと期待されます。

会社概要

  • 会社名:株式会社Doog
  • 所在地:茨城県つくば市吾妻3丁目18番4号
  • 設立年月日:2012年11月26日
  • 代表者名:大島 章
  • 公式HP URLhttps://doog-inc.com/

まとめ

株式会社Doogは、「現場で役立つ実用的な技術を社会の隅々まで効率的に届ける」という理念のもと、協働運搬ロボット「サウザー」シリーズを国内外の多様な現場に届けてきました。大規模な資金調達に頼らず黒字経営を実現しつつ、スズキやブルーイノベーション、シャープマーケティングジャパンといった有力企業と連携する独自の成長モデルは、ロボットベンチャーの中でも稀有な存在といえます。

物流自動化市場が今後10年以上にわたり年率10%以上で拡大していくなか、汎用性・操作性・カスタマイズ性の三拍子がそろったサウザーが、日本の物流・製造・整備現場をどう変えていくのか。JR東海の車両基地をはじめ多様な現場で活用が広がる同社の今後に、ぜひ注目したいところです。

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