
旅行需要が本格的に戻り、国内旅館・ホテル市場は2024年度に5.5兆円規模へ達する見込みです。コロナ禍を経て顕著になったのは、不特定多数と空間を共にせず、自分たちだけの時間を楽しみたい「プライベート志向」の高まり。ところが国内には、富裕層や少人数グループを心から満足させる高級宿泊施設がまだまだ足りません。この隙間に、一棟貸しプライベートヴィラという新しい答えを示すのが、ココザス株式会社(以下ココザス)の「COCO VILLA」です。全物件にプライベートサウナを備え、温泉地を含む全国の魅力ある立地へ拠点を広げています。本記事では、ココザス株式会社の事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。
事業内容①:一棟貸しプライベートヴィラ「COCO VILLA」の全国展開
「COCO VILLA」は、北海道から沖縄まで日本各地に展開する、サウナ付き一棟貸しヴィラブランドです。海のそば、森の中、山あい、温泉地——それぞれの土地の魅力を最大限に引き出すロケーションに物件を配置しています。
最大の特色は、「同じ建物も同じサウナも一つとして存在しない」という設計思想。土地の気候や景観に合わせて、薪サウナか電気サウナか、ストーブの種類やレイアウトまで一棟ずつ丁寧に選び抜いています。景色の良い立地ではガラス張りのサウナを採用し、しっかり冷える水風呂のためにチラー(冷却装置)を導入するなど、細部までこだわり抜きました。すべての物件に「プライベートサウナ」「水風呂」「ととのいスペース」が揃っており、サウナ好きにも特別な体験を届けます。
運営面では無人運営を採用し、チェックインからチェックアウトまで宿泊者自身で完結する仕組みです。人目を気にせず、料理をしたり、サウナを楽しんだり、家族や友人と気の向くままに過ごせるプライベート空間として設計しました。
とりわけ注目したいのが温泉地への展開です。2026年8月12日には、神奈川県湯河原町に「COCO VILLA 湯河原温泉」がグランドオープン。最大16名で利用できる平屋の一棟貸し施設で、露天風呂・サウナ・焚き火・映像鑑賞まで一棟内で味わえる贅沢な設計になっています。那須白河エリアでは天然温泉の露天風呂と大型薪サウナを組み合わせた物件を展開しており、東京から公共交通機関と車で2時間半程度で行けるエリアを重点的に押さえる戦略です。
2025年時点で19拠点を運営し、2026年末には60拠点、2027年末には100拠点への拡大を目指しています。
事業内容②:分割所有型「COCO VILLA Owners」と支援プラットフォーム「&VILLA」

ココザスが独自に展開しているのが、複数名で一棟のヴィラを共同所有できる「COCO VILLA Owners」です。誰もが別荘オーナーになれる新しい選択肢として設計され、自ら泊まらない日は貸別荘として運用することで宿泊収益を得られます。「心の豊かさ」と「経済的豊かさ」を一つの別荘で同時に実現できるユニークなモデルです。
オーナー自身が運営に関わる必要はなく、予約管理・清掃手配・料金調整・集客までココザスがすべて代行。本業が忙しいビジネスパーソンや投資家でも、手間なく別荘所有と資産運用を両立できます。半年に1回のオーナー会議では、売上の内訳などの数字を「ガラス張り」で共有し、OTA(宿泊予約サイト)比率を下げて自社集客比率を上げる利益率改善の戦略も共有されます。
もう一つの柱が、バケーションレンタル運営で培ったノウハウを他事業者へ提供する総合プラットフォーム「&VILLA」。企画・集客・運営・売買を一気通貫で支援する仕組みで、ヴィラ運営に課題を抱える事業者の強力なパートナーとなっています。
資金調達:8年で平均売上成長率250%超の急成長企業
ココザスは、外部VCからの株式調達ラウンドに関する具体的な情報は公開していません。ただし取引金融機関として、りそな銀行・三井住友銀行・千葉銀行・商工中金・山梨中央銀行・足利銀行・武蔵野銀行・東京シティ信用金庫・芝信用金庫といった多数の銀行が名を連ねており、金融機関からの厚い信頼を得ていることがうかがえます。
特筆すべきは、2016年の創業以来、8年間の平均売上成長率が250%を超えるという驚異的な成長ぶり。個人向けライフデザイン事業(資産形成・転職支援・住宅購入支援)からスタートし、その後COCO VILLAを含む新規事業を積極的に立ち上げてきました。
代表取締役CEOの安藤義人氏は、2016年にココザス株式会社を創業。2022年からは活動拠点を海外にも広げ、モンゴルに現地法人を設立し不動産業のライセンスを取得しました。10代から株式投資を始め、新築収益アパート投資、モンゴル不動産投資、国内スタートアップへのエンジェル投資など幅広い投資経験を持つ投資家でもあります。
事業拡大戦略として、資産形成コンサルティング会社・FP会社・人材紹介会社・不動産会社・生命保険代理店・金融関係メディアなど、関連事業者とのM&Aも積極的に検討していることを表明しています。安藤氏は「ココザスグループを時価総額1兆円企業に育てること」を将来目標として公言しており、COCO VILLAを軸とした事業拡大への意欲は極めて強いといえるでしょう。
市場規模:国内旅館・ホテル市場は5.5兆円、高級宿泊は世界で年7.7%成長
国内旅館・ホテル市場の回復と成長

帝国データバンクの調査によると、2024年度の国内旅館・ホテル市場(事業者売上高ベース)は5.5兆円に到達する見込みです。コロナ禍で宿泊需要が落ち込んだ2020年度(約3兆円)と比べると1.8倍の規模まで拡大しており、コロナ禍前の2018年度(約5.2兆円)を上回ることも確実視されています。
市場成長を後押ししているのは、訪日外国人観光客(インバウンド)の回復と、国内旅行支援策による地方観光地の稼働率回復です。円安を背景に日本旅行の割安感が続いており、訪日客需要は今後も高水準で推移すると予測されています。
世界の高級宿泊市場と国内の需給ギャップ
グローバルに目を向けると、高級ホテル市場は2025年時点で1,124億ドル規模と評価されており、2035年には2,191億ドルへ拡大すると予測されています。年平均成長率(CAGR)は7.7%と高水準です。牽引しているのは、世界的な富裕層の増加、体験型・パーソナライズされたホスピタリティへの需要、そしてウェルネス志向の高まり。
一方、国内では富裕層向け高級宿泊施設の供給が需要に追いついておらず、特に高級プライベートヴィラは1拠点あたり売上1億円以上・営業利益率50%超という高収益ビジネスとして、グランピングを超えるペースで開発が進んでいます。
COCO VILLAのポジショニング
星野リゾート「界」のような高級温泉旅館チェーンとは違い、COCO VILLAは「完全プライベート・無人運営・分割所有」という独自の軸で市場に参入しています。サウナ・温泉・自然という日本ならではの魅力を凝縮した体験価値と、投資商品としての性格を併せ持つビジネスモデルは、今後の市場成長の波に乗る大きな可能性を秘めています。
会社概要
- 会社名:ココザス株式会社(COCOZAS Co., Ltd.)
- 所在地:東京都港区西新橋2-39-3 WAW SVAX西新橋ビル 3F
- 設立年月日:2016年
- 代表者名:代表取締役CEO 安藤 義人
- 公式HP URL:https://cocozas.jp/
まとめ
ココザス株式会社が展開する「COCO VILLA」は、日本の自然や温泉文化を最大限に活かした一棟貸しプライベートヴィラとして、宿泊業界に新しい価値を提示しています。全物件へのサウナ設置、土地ごとに異なる建築デザイン、無人運営による完全プライベート空間の提供に加え、分割所有型オーナーモデル「COCO VILLA Owners」という投資家との共同所有スキームは、他社にはない大きな差別化ポイントです。
2025年時点で19拠点、2027年末には100拠点という展開計画は野心的ですが、8年間平均成長率250%超の実績と、代表・安藤氏の投資家としての知見を考えれば十分に現実味があります。国内における高級プライベートヴィラの需給ギャップを埋めつつ、ウェルネス志向という世界的なトレンドにも乗る同社の今後には、宿泊業界関係者だけでなく投資家からも熱い視線が注がれるはずです。
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