最終更新日 26/09/11
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球駆動ロボットで工場を革新するTriOrb株式会社の全方向移動技術

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(引用:公式HP

日本の製造業や物流の現場では、深刻な人手不足と高齢化を背景に、搬送作業の自動化ニーズが年々高まっています。ところが既存の搬送ロボット(AGVやAMR)では、狭い通路や凹凸のある床、重量物の搬送といった現場特有の課題に対応しきれないケースが少なくありません。こうした状況で注目を集めているのが、九州工業大学発のスタートアップ、TriOrb株式会社(以下TriOrb)です。同社が開発した「球体」を使った世界初の全方向移動プラットフォーム「TriOrb BASE」は、既存ロボットが苦手としてきた領域の自動化に挑んでいます。本記事では、TriOrbの事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。

事業内容:球駆動式全方向移動プラットフォーム「TriOrb BASE」

(引用:公式HP

主力製品「TriOrb BASE」は、3つの球体と3つのモーターというシンプルな構成で、あらゆる方向へ自在に移動できる球体駆動式の全方向移動プラットフォームです。全高わずか15cm、最小全幅45cmという低床・コンパクトな筐体ながら、1台で最大300kgの搬送・けん引をこなし、ミリ単位の高精度な位置決めも実現しました。

従来ロボットの課題を克服する独自技術

これまでの全方向移動ロボットには、車輪の回転方向で移動を制御する「メカナムホイール」が広く用いられてきました。ただし進行方向によって運動特性が変わってしまい、狙った位置に正確に止めるのが難しいという弱点があったのです。TriOrb BASEはクルマの四輪駆動のように各球体が独立して駆動力を持つため、床の凹凸や外乱にも強く、指定した場所にピタリと停止できます。「全ての方向に正確に動く」移動機構を世界で初めて実現したロボットとして、業界から高い注目を集めています。

拡張性の高いプラットフォーム設計

TriOrb BASEは、球径やモーター出力、フットプリントを現場環境に合わせて柔軟にカスタマイズできる点も特徴です。可搬重量は300kgから1,000kgまで対応し、360°Visual SLAMを活用した環境認識により自律走行の高度化も可能となっています。2023年12月にはROS2ベースの自律移動ソフトウェアもリリースされ、ユーザー自身が用途に応じてアプリケーションを構築できる柔軟性を備えています。

メンテナンス性と耐久性

消耗品は球体とベルトのみで、球体にはジェットコースターのローラーにも使われる高耐久のウレタン素材を採用しました。部品点数が少なく既製部品を活用しているため、メンテナンスコストを抑えられる点も現場にとって大きなメリットです。半導体工場や建設現場、鉄鋼業の重量物搬送など、複雑な環境での自動化を目指す製造業・物流業のユーザーに最適といえるでしょう。

資金調達:累計45.3億円を達成したシリーズB完了

TriOrbは創業以来、複数回にわたる資金調達を実施しており、累計額は45.3億円に達しています。

主な調達履歴

  • 2023年4月(シード):みらい創造機構よりJ-KISS型新株予約権発行により4,000万円を調達
  • 2023年12月(シリーズA):東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、みらい創造機構、DRONE FUNDを引受先とする第三者割当増資により3.3億円を調達。UTECの坂本教晃氏が社外取締役に就任
  • 2025年3月(プレシリーズB2):みずほ銀行からの5億円融資とUTECからの1.6億円出資を合わせ総額6.6億円を調達
  • 2026年6月(シリーズB ファーストクローズ):スパークス・アセット・マネジメント(未来創生3号ファンド)、みずほキャピタルが新たに参加し、みずほ銀行・三菱UFJ銀行からの融資5.9億円と合わせ28.8億円を調達
  • 2026年8月(シリーズB セカンドクローズ):国際協力銀行(JBIC)、豊田通商を引受先とする第三者割当増資と三井住友銀行からの融資により3億円を追加調達

PoCから量産化フェーズへ

シリーズBの完了により、TriOrbはPoC(実証実験)フェーズから市場への本格導入・量産化フェーズへ移行することを宣言しました。調達資金はTriOrb BASEの量産体制構築、自律走行技術のさらなる開発強化、エンジニアを中心とした人材採用に充てられる予定です。豊田通商との協業による製造現場への導入や、JBIC出資を活用した米国市場への展開加速など、グローバルな事業拡大も進行中です。国内外の有力VC・金融機関・事業会社が名を連ねる調達体制からも、同社への期待の高さがうかがえます。

市場規模:拡大を続けるサービスロボット・AMR市場

世界の自律移動ロボット市場は急成長中


(引用:Fortune Business Insights)

TriOrb BASEが属する自律移動ロボット(AMR)市場は、世界的に高い成長が見込まれています。Fortune Business Insightsによると、世界のAMR市場は2025年の約27.7億ドルから、2034年には約103.6億ドルへ拡大すると予測されており、2026〜2034年の年平均成長率(CAGR)は15.8%とされています。人手不足への対応や物流・製造現場の自動化、スマートファクトリー化の進展などを背景に、今後も市場の拡大が期待されています。

TriOrbの市場ポジション

TriOrb BASEは、既存のAMRが苦手としてきた「狭所」「段差」「重量物」「高精度位置決め」といったニッチかつ需要の大きい領域に強みを持つプラットフォームです。半導体工場の格子状の床、建設現場の未整地、鉄鋼業界の重量物搬送など、既存ロボットで解決が難しかった市場を新たに開拓できるポテンシャルを秘めています。米国デトロイト拠点の開設に見られるように、グローバル市場への展開も本格化しており、今後の成長余地は非常に大きいといえるでしょう。

会社概要

  • 会社名:TriOrb株式会社
  • 所在地:福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目8-1 AIMビル6階
  • 設立年月日:2023年2月
  • 代表者名:石田 秀一(代表取締役CEO)
  • 公式HPhttps://triorb.co.jp/

まとめ

TriOrb株式会社は、九州工業大学発の独自技術を核に、世界初の球駆動式全方向移動プラットフォーム「TriOrb BASE」を開発するロボティクススタートアップです。従来のAGV・AMRでは難しかった狭所・段差・重量物への対応を実現し、製造業から建設業まで幅広い産業のDX・自動化ニーズに応えています。累計45.3億円の資金調達によって量産化フェーズへ移行し、米国拠点の開設や豊田通商との協業を通じてグローバル展開も加速中です。人手不足という社会課題の解決に真正面から取り組む同社の技術と挑戦は、日本発のロボティクス産業を牽引する存在として、今後ますます注目を集めるでしょう。

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