高齢化が進む日本では、認知症などによる「資産凍結」のリスクが増大しています。金融機関で認知症発症時に口座凍結が発生し、家族の資産管理が困難になるケースが社会問題化しています。家族信託はこうした問題を解決する手段の一つですが、手続きの複雑さが導入の障壁となっていました。「株式会社ファミトラ」は、家族信託の仕組みを活用しつつデジタル技術で効率化することで、誰でも安心して財産管理できる体制を構築しています。加えて、高齢で貯蓄はあるが支援者がいない方の増加にも着目し、新たなサービス提供にも取り組んでいます。
事業内容：ファミトラの家族信託サービス
ファミトラは主に二つのサービスで家族信託をサポートします。
家族信託組成サポートサービス
ファミトラの家族信託組成サポートサービスは、高齢者やその家族が抱える「認知症による資産凍結」リスクに備えるための信託設計を、ワンストップで支援するサービスです。
家族構成や財産状況、将来的な希望などを専門の担当者が丁寧にヒアリングし、最適な家族信託スキームを提案します。信託契約書の作成から公証役場での手続き、登記までを一貫してサポートすることで、従来複雑だった信託の導入プロセスをスムーズに進めることが可能です。
また、独自の業務フローとテクノロジーを活用することで、コストの最適化と短期間での信託設定を実現しています。初めて家族信託を検討する方でも安心して進められるよう、わかりやすい説明とサポート体制が整っている点が特長です。家族の資産を将来にわたって適切に守り、管理・承継していくための有力な手段として注目を集めています。
信託監督人サービス
信託監督人サービスでは、信託開始後も同社が監督人となり、信託運営を安定化させることで委託者と家族に安心を提供します。さらに同社は組成プロセスのデジタル化によりコストを低減し、従来より手軽に家族信託を利用できる体制を整えています。
利用対象は、認知症などによって資産凍結のリスクがある高齢者やその家族で、個々のニーズに応じた柔軟な財産管理を実現できます。これにより、成年後見制度では対応しづらかった高齢者の資産管理や承継が可能になります。
資金調達
2024年1月、ファミトラは事業基盤強化のため第三者割当増資を実施し、約7億円を調達しました。出資元はT&Dイノベーションファンド（Spiral Innovation Partners運営）を筆頭に、かんぽNEXTパートナーズ、全国保証イノベーションファンド、複数の個人投資家が含まれています。これにより累計調達額は約24億円に達し、契約資産額は前回調達時から7.3倍に拡大しました。
市場規模
土地の信託登記件数は急増しており、2016年4,520件から2022年には約2万件にまで拡大しました。また、上記のグラフを参照していただくとわかるように、認知症患者数の推計も確実な上昇を続けています。「家族信託」というワードも同様に検索数の上昇を続けており、比例して市場規模も拡大し、家族信託普及協会は2017年比で11倍以上の成長を報告しています。
さらに、全国の認知症患者が保有する資産総額は2040年に約345兆円に達すると推計されており、これら膨大な資産凍結問題に備える家族信託への期待は一層高まっています。今後も高齢化に伴い需要が増すと予想されます。
会社概要
- 会社名 : 株式会社ファミトラ
- 所在地 本社 : 東京都港区赤坂1-14-14 第35興和ビル5F
- 横浜営業所 : 〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-12-1 横浜カリオカビル2F BIZcomfort内
- 福岡営業所 : 〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2丁目6番11号 Fukuoka Growth Next内
- 大阪営業所 : 〒530-0057 大阪市北区曽根崎2-16-19 メッセージ梅田ビル1階 ONthe UMEDA内
- 設立 : 2019年11月
- 代表者 : 三橋 克仁（代表取締役CEO）
- 公式HP : https://www.famitra.jp/
まとめ
ファミトラは家族信託を、利用者とその家族の尊厳ある暮らし維持に不可欠な制度と位置づけており、今後も高齢者のニーズに応じたサービスを展開していく考えです。頼れる家族のいない高齢者への身元保証サービスや自治体・企業との連携など、サービス領域の拡大にも意欲を示しています。家族信託をあたりまえにするというビジョンの下、信託DXによる財産管理の進化を目指し続けています。
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