
現代では働き方が多様化するにつれ、ビジネスウェアに求められる役割も様変わりしてきました。リモートワークの定着で既製スーツの需要は伸び悩む一方、「ここぞ」という場面で着る高品質なオーダースーツや、夏場のビジカジ需要は着実に拡大しています。
こうした変化を捉えているのが、創業から100年近い歴史を持つオーダースーツ専門店「GINZA Global Style」を展開する株式会社グローバルスタイル(以下グローバルスタイル)です。「ENJOY ORDER!」をコンセプトに、「高い」「入りづらい」というオーダースーツのイメージを刷新し、20〜30代の若年層からベテランビジネスパーソンまで幅広く支持を集めています。
本記事では、グローバルスタイルの事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。
事業内容①:オーダースーツ専門店「GINZA Global Style」
グローバルスタイルの中核事業が、オーダースーツ専門店「GINZA Global Style」です。生地のラインアップは約5,000種類以上にのぼり、リーズナブルな国内生地からロロ・ピアーナやゼニアといった高級インポート生地まで、幅広い価格帯と素材から選べる点が大きな特徴となっています。
サービスは、スタイリストによる丁寧なカウンセリングから始まります。ライフスタイルや着用シーン、好みのスタイルを聞き取ったうえで、生地・デザイン・ディテールを一着ずつカスタマイズ。パターンオーダー業界では最多クラスとなる10型以上のモデルを取り扱っており、イタリアンスタイル、ブリティッシュスタイル、サルトリアモデルなど、好みや体型に合わせた選択ができる点も他社にない強みです。
オーダースーツに対する「敷居が高い」イメージを払拭するため、価格設定にも工夫を凝らしています。1着あたり税抜き24,000円から100,000円未満というミドル〜アッパーレンジを中心に、「2着で4万円台」といったボリュームゾーンを意識したプライシングを実施。結果として、現在の顧客層は20〜30代が全体の約52%を占める、業界では珍しい若年層支持の構造を実現しました。
初回来店時に「GS倶楽部会員」へ登録すれば、2回目以降はオンラインでの注文も可能です。実店舗の安心感とECの利便性を両立させた仕組みは、忙しいビジネスパーソンから高い評価を得ています。2024年7月末時点の会員数はGSアプリ倶楽部で39.1万人、GS倶楽部で15.8万人と、堅調に伸びています。
事業内容②:新商品『ビューティーポロ』でビジカジ市場を開
2026年6月から取り扱いを開始した新商品が、オーダーポロシャツ「ビューティーポロ」です。リモートワークやクールビズの定着により、夏場のビジネスシーンでポロシャツを着る場面が増えていることを背景に、20店舗で先行スタートしました。
最大の特徴は、シーン別に最適化された3つの素材ラインアップです。ビジネスシーン向けには防シワ性と吸水速乾性を備えた素材を採用し、ジャケットとのコーディネートでも上品な印象を演出。プライベートシーン向けには触れた瞬間に冷たさが伝わる接触冷感素材、フォーマルシーン向けには希少なオーガニックコットン糸を用いた上質ラインを揃え、1着で複数のシーンに対応できる設計としました。
価格帯は3着コンビ価格で7,000円〜(税込7,700円〜)と、まとめ買いを促す設定。オーダーメイドでありながら、既製品とほぼ変わらない価格で1着あたり購入できる点は、これまでオーダー文化に触れてこなかった層にも訴求力があります。
ターゲットは、夏場のビジカジ需要が高まる20〜40代のビジネスパーソン全般。スーツに加えてシャツ・ジャケット・シューズ・ポロシャツまでをトータルでオーダーできる体制は、顧客生涯価値(LTV)の向上にも直結します。オーダースーツ専業企業として培ったフィッティング技術と生地調達網を活かし、ビジネスカジュアル市場への本格進出を図る象徴的なプロダクトと位置づけられます。

最新の動向:上場後の自己資金による積極的な店舗展開
グローバルスタイルは、2021年8月24日に東京証券取引所ジャスダック市場(現スタンダード市場、証券コード:7126)へ新規上場(IPO)を果たしました。上場以降、外部からの新規資金調達ラウンドや特定の機関投資家との資本業務提携は公開情報からは確認されておらず、内部留保資金を活用した新規出店と既存店改装が成長戦略の柱となっています。
業績面では着実な成長を続けており、売上高は2022年7月期の約90億円から、2023年7月期は約104億円、2024年7月期は約111億円と連続増収を達成。2024年12月時点の開示情報によれば、2025年7月期の通期修正売上高予想は約118億7,700万円と、引き続き右肩上がりの成長を見込んでいます。第1四半期は前年同期比10.88%増と好調なスタートを切りました。
店舗展開も着実に進んでおり、2024年7月末時点で全国39店舗(オンラインサービスを除く)を運営。主な業態は「GINZA Global Style」「GINZA Global Style COMFORT」「GINZA Global Style PREMIUM」で構成され、2023年10月には高価格帯の「PREMIUM」業態を新たに加えました。女性向けの「GINZA Global Style Ladies」も2018年に立ち上げ、32店舗で展開しています。
なお、現代表取締役社長の田城弘志氏は、銀行から株式会社オンリーへ転職し紳士服専門店の経営を経験。その後経営コンサルタントを経て、2008年に旧タンゴヤ株式会社の立て直しに参画し、2017年に社長に就任しました。事業立ち上げから上場、社名変更(2022年11月にタンゴヤからグローバルスタイルへ)まで一貫して指揮を執っています。
市場規模:オーダースーツ市場の成長と二極化トレンド
グローバル市場:2032年に73億ドル規模へ
世界のオーダーメイドスーツ市場は、2025年に約52億1,000万米ドルと評価されており、CAGR(年平均成長率)約4.96%で成長し、2032年までに73億1,000万米ドルに達すると予測されています。ライフスタイルの多様化や、自分に最適化された一着を求める消費者意識の高まりが、市場拡大を後押ししています。
国内市場:既製スーツは縮小、オーダーは成長エンジンに
一方、国内の主要紳士服7社のスーツ事業売上高合計は、2025年度で3,386億円と2年連続で前年度比減少。リモートワークの定着により、従来型の既成ビジネススーツやドレスシャツの売れ行きは鈍化しています。日本のビジネスウェア市場全体は2022年時点で約4,200億円と推計されており、市場全体としては伸び悩んでいるのが実情です。
しかし、その中でも「勝負スーツ」需要や、手ごろな価格のパターンオーダーへの関心は確実に高まっており、オーダースーツ分野は新たな成長エンジンとなっています。市場は「機能性重視の安価セットアップ」と「自分に最適化された高品質オーダー」へと二極化が進行中です。
グローバルスタイルのポジショニング
グローバルスタイルは、オーダー専業ブランドとして後者の需要を取り込む立ち位置にあります。2025年に展開した「ガチスーツ」をテーマとしたショートドラマがSNSで爆発的なヒットとなり、潜在的なニーズの掘り起こしにも成功。20〜30代を中心に新規顧客層の獲得が進んでおり、縮小する既製スーツ市場から拡大するオーダー市場へのシフトを象徴する存在となっています。
会社概要
- 会社名:株式会社グローバルスタイル
- 所在地:大阪府大阪市中央区
- 設立年月日:1949年(前身:1928年田丸正二氏により創業)
- 代表者名:田城 弘志(代表取締役社長)
- 公式HP:https://www.global-style.jp/
まとめ
株式会社グローバルスタイルは、創業から100年近い歴史を持つ老舗でありながら、「ENJOY ORDER!」のコンセプトのもと、オーダースーツ業界の常識を塗り替え続けてきた企業です。約5,000種類の生地、業界最多クラスの10型以上のモデル、20〜30代が過半を占める若年顧客基盤、そして新商品「ビューティーポロ」によるビジカジ市場への展開と、成長ドライバーは多岐にわたります。
既製スーツ市場が縮小するなかで、オーダー専業として独自のポジションを築き、上場後も連続増収を達成している点は、ビジネスモデルの強さを物語ります。今後の出店拡大や、ビューティーポロを起点としたビジカジ領域での展開がどのように業績を押し上げていくのか、引き続き注目したい一社です。
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