
日本の寄付市場は、米国や英国と比べて大きく後れを取っています。CAF World Giving Index 2024によれば、日本の寄付者率はわずか17%。米国61%・英国67%と比較すれば、伸びしろは相当なものがあります。この差の背景として「文化の違い」が語られがちですが、実際には寄付を支える「仕組み」そのものが未整備という構造的な課題が横たわっています。
コングラント株式会社は、この課題に正面から挑む社会課題解決型スタートアップです。
NPOやソーシャルセクター向けに寄付DXシステムを提供する一方、京都大学との共同研究を通じて寄付促進の障壁解明にも取り組んでいます。
本記事では、同社の事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。
事業内容①:国内No.1の寄付DXプラットフォーム「congrant」

主力サービス「congrant」は、寄付募集ページの作成からオンライン決済、支援者管理、領収書発行まで、ファンドレイジングに必要な機能を一通り備えたオールインワン型の寄付DXシステムです。
現在3,300以上の団体に利用され、累計流通額は100億円を突破。「寄付のDX化」を担う国内No.1サービスへと成長しました。
これまで多くのNPOにとって、Web上でクレジットカード決済による寄付を受け付けるのは容易ではありませんでした。カード会社の審査通過が難しく、通過してもシステム組み込みには専門知識が要る─参入障壁は高い状態が続いてきました。コングラントはこうしたボトルネックを解消し、団体規模を問わず誰でも寄付募集を始められる環境を整えたのです。
ターゲット層は、小規模団体から中規模・大規模のNPOまで多岐にわたります。小規模団体はフリープラン、中規模はライトプラン、大規模はスタンダードプランと段階的に選択でき、業界最安水準の決済手数料3.4%を実現。3年以上利用する団体の多くが寄付額を2倍以上に伸ばした実績もあり、費用対効果の高さが評価されています。
事業内容②:京都大学との共同研究による「制度資本」の解明

コングラントは2018年から寄付DX事業を展開してきた実績を活かし、2026年4月1日から2027年3月31日にかけて、京都大学 成長戦略本部と「日本の寄付を促進するための制度資本の充実に関する研究」を実施します。
京都大学側からは渡邉文隆氏(特定准教授)、占部まり氏(連携研究員)、小木郁夫氏(連携研究員)が参加。「病院にはなぜ寄付が必要か」「寄付行動を遠ざけるものは何か」を出発点に、寄付を集めにくい要因や寄付行動を阻む要因を明らかにしていきます。ここでの「制度資本」とは、寄付行動および寄付受入活動を促進する制度・規範・知識・研究知見・運用基盤を指す概念です。
研究テーマは主に2軸で構成され、①病院領域における寄付の影響評価、②若年層を含む一般市民の寄付行動を対象としています。寄付白書2025によれば、寄付先を選ぶ際に「手続きの簡便さ」を重視する人は19.8%、「税優遇措置」を重視する人は19.7%。制度的要因が寄付判断に大きな影響を及ぼしていることが読み取れます。
事業と研究を両輪で回す取り組みは、単なるサービス提供にとどまらず、日本の寄付市場の構造そのものを変えようとする意欲的なアプローチだと言えます。
資金調達:シリーズAで総額3億円を調達
コングラントは2024年11月、シリーズAラウンドとして総額3億円の資金調達を発表しました。詳細は以下の通りです。
- 調達日:2024年11月
- 調達額:総額3億円
- 調達方法:第三者割当増資(シリーズA)+日本政策金融公庫からの融資
- 調達先:ジェネシア・ベンチャーズ、Sony Innovation Fund(共同リード投資家)、株式会社ペイフォワード、ミライドア株式会社ほか
これに先立つ2024年7月には、デザインカンパニーのグッドパッチからも出資を受けており、既存システムのUI/UXアップデートや新規事業開発を共同で進めています。投資家陣にはソニーグループをはじめとする事業会社と実績あるVCが名を連ね、事業の社会的意義と成長性の双方が高く評価されていることが伺えます。
事業成長の面でも、2025年3月時点で3,000団体以上が利用、累計寄付金額は約100億円に到達。2024年12月にはクラウドファンディング大手のREADYFORとの業務提携を発表し、社会課題に取り組む組織への相互連携を強化しています。
さらに2025年5月からは、スマート寄付アプリ「GOJO」をリリース。
初年度10万人のユーザー獲得を目標に掲げ、認定NPOへの寄付に対する税制優遇手続きをアプリ内で完結できる機能や、将来的にはマイナポータルとの連携、企業向けのボランティア活動マッチング機能の提供も計画されています。
経済産業省「J-Startup KANSAI」採択(2023年)、東洋経済「すごいベンチャー100」選定(2024年)、Forbes JAPAN「NEXT IMPACT STARTUPS 30」選出(2025年)と、外部評価も年々高まっています。

市場規模:日本の寄付市場は約1.2兆円、拡大余地は米国比70倍
国内寄付市場の現状
日本の個人寄付推計総額は約1兆2,000億円規模にとどまり、米国の個人寄付市場(約80〜90兆円規模)と比較すると約70倍もの差があります。人口比を考慮しても、日本の寄付市場には極めて大きな成長余地が残されているのです。
CAF World Giving Index 2024によれば、日本の寄付者率は17%で、米国61%、英国67%と大きく水を開けられています。ただしこれは「日本人が寄付をしない」のではなく、寄付を行うための制度・仕組みが未整備であることが主要因だと指摘されています。
寄付DX市場の成長性
寄付市場全体の裾野が広がる中、特にオンライン寄付・寄付DX領域は急成長を続けています。
コングラント自身が3,300団体以上の利用実績と累計流通額100億円超を達成し、3年以上利用する団体の多くが寄付額を2倍以上に伸ばしている実績からも、DX化による市場拡大効果は明らかです。
コングラントの市場ポジション
コングラントは、小規模団体から大規模団体までを一気通貫でカバーする、日本国内で唯一の総合的ファンドレイジングサービスと位置付けられています。競合には日本財団系サービス(決済手数料5〜5.5%)や大手クラウドファンディング(手数料12〜17%)が存在しますが、業界最安水準の3.4%という決済手数料、オールインワンの機能設計、NPO実情に即したサポート体制が明確な差別化要因となっています。2026年には医療機関向けの「寄贈品指定寄付」機能を国内初としてリリースするなど、業界特化型の機能拡張にも積極的です。

会社概要
- 会社名:コングラント株式会社
- 所在地:大阪府大阪市(本社)
- 設立年月日:2020年(リタワークス株式会社よりスピンオフ設立)
- 代表者名:代表取締役CEO 佐藤 正隆
- 公式HP:https://congrant.com/jp/index.html
まとめ
コングラント株式会社は、「日本に寄付文化がないのではない。寄付システムの構造がないのだ」という代表・佐藤正隆氏の信念のもと、寄付DX事業を通じて日本のソーシャルセクターを支え続けてきました。3,300団体以上の利用、累計寄付金額100億円超という実績に加え、京都大学との共同研究による制度資本の解明、シリーズA3億円の資金調達、スマート寄付アプリ「GOJO」の展開など、社会課題解決に向けた挑戦は止まるところを知りません。
寄付市場が拡大すれば、NPOや医療機関、教育機関など多くの組織がより持続的に社会課題へ向き合えるようになります。そのインフラを支えるコングラントの動向は、これからの日本社会の在り方を左右する重要な要素となるはずです。今後の展開に大きな期待が寄せられます。
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