
「重要な発言を聞き逃した」「議事録作成に時間を取られる」「顧客ごとの会話履歴が整理できない」——営業や会議の現場で、こうした悩みは尽きません。生成AIの進化により音声を自動で文字起こし・要約するツールも増えてきましたが、専用アプリの起動やサブスクリプション費用が導入の壁になるケースも見受けられます。
そんな課題に、スマートフォンへ磁力で装着できる超薄型AIデバイスで挑むのが、株式会社YScope(以下YScope)が日本展開を担う「Comulytic Note Pro」です。録音から文字起こし、要約、顧客分析までを一気通貫で処理し、営業活動そのものを効率化します。
本記事では、YScopeの事業内容や資金調達動向、市場規模などを詳しく紹介します。
事業内容:AIスマートボイスレコーダー「Comulytic Note Pro」の日本展開

YScopeは、米国カリフォルニア州シリコンバレーに本社を置くスマートオフィスソリューション企業Comulyticの日本代理店として、AI搭載スマートボイスレコーダー「Comulytic Note Pro」を日本市場に投入しています。
超薄型・軽量設計と高精度AI処理
Comulytic Note Pro最大の特徴は、厚さわずか3mm・重量27gの超薄型設計にあります。スマートフォン背面に磁力で装着でき、「持っていることを意識させない道具」として、商談や会議、雑談の場でも自然に使えます。本体には航空グレードのアルミニウム合金を採用し、CNC一体成型による継ぎ目のないボディに仕上げました。
搭載マイクは2基のMEMSマイクと1基のVPUで構成され、AIノイズキャンセル機能がエアコン音や複数人の発言、テーブルを叩く音などの環境音を抑えます。独自AIによる文字起こし精度は最大98%、対応言語は113言語にのぼります。連続録音時間は最大45時間、待機時間は最長107日、内蔵ストレージは64GBと、実務利用に耐える仕様です。
会議管理と顧客管理の両面を支援
ワンボタン録音でその場の会話を記録し、発言者を識別しながらAIが文字起こしを実行。自動要約やToDoリストの生成、AI検索・質問機能により、議事録作成の負担を大幅に減らします。
顧客管理シーンでは、コミュニケーション内容をもとに360°顧客インサイトを自動生成し、次に取るべき最適なアクションまで提案。保険や金融など特定業界の専門用語にも対応するため、営業職や専門職の業務効率化に直結します。
月額0円で使える料金体系
本体を購入するだけで、文字起こしと基本AI要約は月額0円・時間制限なしで利用できます。競合製品では月額1,300〜3,100円程度かかるケースが多く、年間36,500円以上のコスト削減が可能とされています。高度な顧客インサイト分析を求めるユーザー向けには、有料のPremium Planも用意されています。
資金調達:創業初期フェーズと事業拡大戦略
株式会社YScopeは、法人番号(9011501032332)が2025年7月25日に指定された、設立から日が浅いスタートアップです。資本金は100万円で、現時点で公開されている外部資金調達ラウンドや投資家情報は確認されていません。
代表・長野元親氏と創業の背景
代表を務めるのは長野元親氏。株式会社YScopeは「海外ブランドの日本市場進出を『売れる』ところまで伴走するGTM(Go-To-Market)パートナー」を掲げ、言語・商習慣・販路といった海外企業が日本で直面する壁を、現地で動けるチームと信頼できるパートナー網で乗り越えることを使命としています。
同社が着目するのは、150円超の円安水準(2024〜2026年)、経産省や東京都による海外スタートアップ支援の拡充、2030年の対日直接投資目標100兆円といった追い風です。世界第3位のGDP規模を持ちながら、外資比率がGDPのわずか0.4%にとどまる日本市場の「余白」に、大きなビジネスチャンスを見出しています。
事業拡大戦略
Comulytic Note Proに加え、AIスポーツカメラグラス「BleeqUp Ranger」など、複数のスマートデバイス関連商品の日本展開・代理販売も手掛けています。2026年4月の製品発売以降、PR TIMESで継続的に情報発信を行い、同年7月にはAmazonプライムデー先行セールおよびプライムデー本番に参加。10%OFFの20,700円で販売し、日本国内での認知拡大に向けた大型プロモーションを本格化させています。
市場規模:拡大するデジタルボイスレコーダー市場
世界市場は2035年までに4.10億ドル規模へ
デジタルボイスレコーダー市場は、2024年時点でUSD 2.23億ドルと評価されており、2035年までにUSD 4.10億ドルへの拡大が見込まれています。堅調な年平均成長率(CAGR)が予測されるなか、電池寿命の長さ、クラウド互換性、音声認識機能の強化などが市場成長の主要ドライバーとなっています。
競争環境と主要プレーヤー
市場にはソニー、フィリップス、オリンパス、タスカム、ズームなど大手音響機器メーカーが参入しており、各社が独自の付加機能で差別化を図っています。単なる録音機能にとどまらず、AIによる文字起こしや要約、クラウド連携といった高付加価値化が進んでいる点が近年の特徴です。
Comulytic Note Proのポジショニング
Comulytic Note Proは、この市場において「単なる録音機能のアップグレードではなく、商談や顧客対応を支援するAIアシスタント」として位置付けられています。ChatGPT-5やGemini-2といった高性能AIを搭載し、98%の高精度、113言語対応、そして携帯性という強みで従来製品と一線を画しています。
デザイン面での評価も高く、2026年3月に「iF DESIGN AWARD 2026」(Audio部門)、同年5月に「Red Dot Design Award 2026」を受賞しました。iF DESIGN AWARDは68カ国・地域から約10,000件の応募があった中での選出であり、国際的な評価を獲得しています。AI音声処理技術の進化とともに、営業DXやカスタマーサクセス領域での需要拡大が期待される市場です。
会社概要
- 会社名:株式会社YScope
- 所在地:東京都北区東十条2-16-13
- 設立年月日:2025年7月25日
- 代表者名:長野元親
- 公式HP URL:https://yscope.jp/ja/
まとめ
株式会社YScopeは、シリコンバレー発のスマートデバイス「Comulytic Note Pro」を日本市場に展開する、設立間もない注目のスタートアップです。厚さ3mm・重量27gの携帯性、98%の高精度AI文字起こし、月額0円で利用できる料金体系、国際的なデザインアワードのダブル受賞と、プロダクトとしての完成度は際立っています。
海外ブランドの日本進出を伴走するGTMパートナーという独自ポジションを軸に、今後もスマートデバイス領域で存在感を高めていくでしょう。営業や会議の生産性向上を目指すビジネスパーソンにとって、注目すべき企業のひとつです。
New Venture Voiceでは、こうした注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社YScopeのように、国内外の面白い企業についてもまとめていますので、関連記事もぜひご覧ください。
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